第12話 はい、今小さいって思った奴は身長が縮む呪いを掛けました~
数ある物語の中から選んでくださりありがとうございます!
今あげられるところまでアップしたので一旦休憩期間挟みます!
続きは3月後半からアップを予定していますので今しばしお待ちください(*´꒳`*)
「それじゃあ、ボス部屋の奥に行ってみようか」
ダンジョン攻略の醍醐味。
それは攻略のご褒美である宝部屋だ。
オレは早くそこに行きたくて仕方がない。
はやる気持ちは抑えられないのだ。
さあ宝物をオレに寄越せぇえ!!
オレはゲス顔になった(※主人公)。
え? こんな主人公嫌だって?
オレも嫌だ。
だからさ、オレも主人公なんて位置にはいたくないの。
モブでいたいの。
「あれ? ウィンドサーバルは起こさなくていいの?」
そんなことを考えているとアレクが声を上げた。
「え?」
「旅するのなら仲間は多い方がいいでしょう? ヴォンは人間の仲間を増やせられないじゃない」
「アレク天才?」
言われてみれば確かに。
オレはモンスターの死体を集めようとしていたのにいろいろ巻き込まれ過ぎてすっかり忘れていた。
どうせなら可愛くてモフモフなモンスターがいいと思っていたのを思い出す。
そういう意味ではウィンドサーバルはまさにうってつけだった。
「え、じゃあ起こしてみようかな」
「うん、それがいいよぉ」
オレはウィンドサーバルに近寄り、止まった。
胴体と頭がお別れしているからだ。
この場合、どっちに行くべきなのか。
少し迷って頭の方に行くことにした。
転がっている頭に近寄り、懐から札を一枚取り出す。
これを使って死者を呼び出すのだ。
オレはなるべく切断面を見ないように札を張り終えると印を結ぶ。
『――死せるもの達よ、目覚めの時だ』
周囲に紫色の魔法陣が浮かび、バチバチという音と共に光が落ち着く。
だが、体も頭もピクリとも動かなかった。
失敗か?
そういえばビリーベアの時も頭と体が離れていたら無反応だったっけ。
やはりオレの能力にも制限があるということか。
恐らくは頭と体が別々になっていては使えないのだろう。
アグニルはまだ何とか頭と体があったから無事に起こせたようだ。
オレはそう当りを付けてウィンドサーバル(首)を置く。
「うーん、ダメだったみたい」
「そっかぁ。残念だね。じゃあ奥の部屋に行こうか」
「そうだね」
そうしてオレ達は奥の部屋に向った。
奥の部屋には宝箱が二つあった。
赤い宝箱と金色の宝箱だ。
赤色の宝箱は武器が、金色の宝箱にはお金が入っているはずだ。
まずは金色の箱をあけることにした。
オレとアレクは顔を見合わせて頷き合う。
パカリ。
ジャラジャラと音を立ててなだれてくるお金。
軽く見積もっても五十万セレナはあるだろう。
どうやってこのサイズの箱にこれだけの大金が入っていたのか気になるところではあるが。
「「う、うおおおおお!!!」」
オレ達は叫んだ。
二人で割っても二十五万セレナはある。
一気に目標金額達成だ。
グヘヘヘ。やっぱりお金の重みはたまらんのぉ~!
どこぞの悪代官のような感想を抱く。
別にオレだけが悪代官になったわけではない。
アレクだって食い入るように箱の中を見ているのだからお互い様だ。
アレクの動機が親の為で、オレは悠々自適に暮らすためという差はあるが、理由などどうでもいいのだ。
うん。
「すんごいね」
「本当にぃ! これだけあればお父さんとお母さんを神殿に連れていけそうだよぉ」
あ、やめて。
それ言われるとオレの同期の不純さが浮き彫りになる!
オレはなんとなくきまりが悪くなってもう一つの箱に手を伸ばした。
ゲームでは赤い宝箱にはレアな武器が入っていたはずだが、さて何が出るか。
パカリ。
「おお? アレク見てみてよ」
中には古ぼけた剣が入っていた。
随分古そうな代物だけど、使えるのだろうか。
「んん?」
オレは剣を取り出そうとしたがびくともしない。
錆びついてしまっているのだろうか。
「アレク、オレじゃ取れないんだけど」
「僕がやってみるよぉ。これでも剣士のはしくれだから力はあるんだぁ」
オレの体は幼いままで力はさほどない。
スピード重視なのだ。
いいわけではない。本当だぞ?
アレクは宝箱に手を突っ込むと一思いに抜く。
するとあれだけ固かった剣はするっと抜けたではないか。
「抜けたぁ」
「抜けたね」
あれだよ。
選ばれしものだけが抜ける剣なんだよ、きっと。
見ればどうやって箱に収まっていたのか分からない長めの剣だ。
装飾も宝石みたいな石が埋まっていて豪華そうである。
「その剣、オレには向いてないみたいだからアレクが使いなよ」
「え!? いいの?」
「うん。オレは剣術を使えないし」
何よりあの長さではオレが扱うのは無理がある。
小さいとか言うな。
しょうがないだろう、背が伸びないのは。
はい、今小さいって思った奴は身長が縮む呪いを掛けました~。
呪われろ。
小さい奴らの身長に対する怨念は凄まじいのだ。
敵に回さないことをお勧めする。
それはさておき。
アレクは金と剣を手に入れたし、オレは金銭的な余裕が持てたし、今回のダンジョンは大成功といってもいいだろう。
オレたちは収穫物をもってボスの部屋へ移動する。
「ん?」
先ほどウィンドサーバル(首)を置いておいた位置がずれているような気がしたのだ。
――ズズ
ふいに不気味な音が聞こえる。
音のする場所はウィンドサーバル(首)。
見れば切断面がごぼごぼと膨れ上がって再生を始めていた。
肉が盛り上がって首が前進してくる。
その頭は飛び出していた舌がのたうち回っていて気味が悪い。
いや、それ以上に……。
「いやあああああああああ!!!! グロいいいいいい!!!」
オレの叫び声がボス部屋にこだました。
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