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第8話 おお、まぶしい

数ある物語の中から選んでくださりありがとうございます!


 


 翌日かんかんと照り付ける太陽の下、砂漠では激しく砂が巻き上げられている。


「もぐった!! そっちに誘導するから出たら切ってくれ!」

「分かったよぉ~!!」


 ――ヒュン、ヒュン


 オレはクロスボウを打ち、砂の下に隠れているデザートスネークを追い詰めていく。


 デザートスネークとは砂漠に広く生息するモンスターで、大きさによって討伐ランクが変わる。


 今回受けた依頼はそんなデザートスネークの中くらいのサイズ以上、ランクでいえばCランクの大きさの鱗をとってくるものだった。



 デザートスネークの鱗は保湿効果があり質の良いものは化粧品に使われたり、装飾品に使われたり、はたまたカモフラージュ効果があることから冒険者用の防護服などにも使われる。


 使用用途の多い人気の品だ。




 今のオレのランクはBランク。

 Cランクの依頼だって受けることもできるのだ。


「でたっ!! アレク頼む!!」

「うん!!」


 クロスボウを何本か放つとデザートスネークが飛び出してきた。

 そこに待ち受けるのはアレク。


 一閃いっせん


 彼は腰に下げていた諸刃もろはつるぎを抜き放つと目にもとまらぬスピードでデザートスネークを切りつけた。


 前世でいえば“居合”だろうか。


 その技は鮮やかで、剣の動きに沿ってデザートスネークの首が弧を描いて落ちていく。


 ボスン、という音と共に砂に落ちた首と胴。

 これにて戦闘終了だ。


「お疲れアレク。やっぱりアレクはすごいよ!」

「えへへ~。ありがとう」



 オレの予想に反してアレクの戦闘能力はとても高かった。


 彼曰く、彼の家がある場所はもっとモンスターの出現率が高かったらしく、子供はある程度の年齢になれば剣術を仕込まれるのだという。


 それに父親が剣の扱いに長けた人だそうで、アレクも幼いころから剣の腕を磨いてきたのだそうだ。



 普段のアレクのおっとりさが嘘のように華麗な剣さばきでモンスターを仕留めていく。

 何故Dランクなのか謎なレベルだ。




「やっぱりランクの解放してもらった方がいいんじゃないか?」


 オレたちはデザートスネークの鱗をはぎ取る作業をしながら話題はアレクのことになった。


「いや~。僕一人だとモンスター倒せないから難しいんじゃないかなぁ~」

「でもCランクのモンスターも討伐できてるよ?」

「それはヴォンの支援があってこそだよぉ。僕だけだとモンスターに逃げられちゃうし」


 アレクは攻撃力はあっても俊敏さが足りずモンスターを狩れないらしい。


 そのことに気が付いたのはギルドに登録してからだったようで、パーティーに入ろうにも止めを刺せない剣士など必要とされなかったそうだ。


「見る目ないなー。アレクにそれを言った奴ら。得意不得意は誰にでもあるだろうに」

「そう言ってもらえると本当に嬉しいよぉ」


 オレだって一人でモンスターを狩るには火力不足だし、それを補うためにパーティーを組むのが定石だろう。

 それなのに目先の利益だけを見てアレクを無能呼ばわりするとは。


 そいつらの方がよほど使えないのではないか。


 ……というかもしかしてそれを言った奴って、オレにも絡んできたあのオッサンではないか?


 なんとなくそんな気がする。



「でもそのおかげでこうしてヴォンと組めているんだし、悪いことばかりじゃなかったよぉ」


 アレクははがした鱗をかごに入れながら笑う。


 それを言われると……まあ、そうなのだが。

 何というかむず痒い。



 オレは話題を変える様に頬をかいた。


「……それにしてもオレ、アレクと相性いいのかもな」

「え?」


「だってオレの武器はクロスボウだからさ。追い込みは得意でも決め手に欠けるんだよな。今までは弱らせたところをこっちのナイフで、って感じだったけど時間もかかっていたし。それをアレクが補ってくれているんだよな」


「本当~!? だとしたら嬉しいなぁ」


 ぱあっとアレクの顔が輝く。


 おお、まぶしい。

 アレクの顔は少し女の子よりというか、可愛い系なので笑顔を向けられると少し浮ついてしまう。


 ……“男の娘“という言葉がなんとなくしっくりくる。


「僕もヴォンと相性いいと思う! でもこの調子だとすぐにお金溜まっちゃってコンビ解消は早そうなのが残念だよぉ」


「はは、それはオレもそう思う。けど両親が待っているんだろ? なら早くしないとな」

「うん!」


 デザートスネークの鱗を採り終わり、ついでに肉や牙も取って街へと帰る。

 売れるものは全部売るのだ。




「おかえりなさい。ヴォンさん、アレクさん。聞きましたか? 近くにダンジョンが出たそうですよ!」

「え、ダンジョンが?」


 ギルドに戻り依頼品を納品しているとギルド員がにこやかに対応してくれる。

 そのまま話題は次なる依頼のことに移った。


 聞くところによると、オリヴィエの街から数キロのところに今日の朝ダンジョンが生まれたとのこと。


 ダンジョンとは時空の切れ目のことで、その中にはモンスターが大量発生している。

 どういう現象なのかはイマイチ解明されていないが、ダンジョンの下層にはお宝が眠っていることが多く、冒険者にとっては一攫千金も狙える場所だ。


 それがなくとも珍しいモンスターなども出てくるので、素材が高値で売れる


 もちろんオレはゲームでもよく潜っていたし、今回のダンジョンも行ってみようと思う。


「なあアレク。行ってみないか?」

「うん。僕もちょうどそう思っていた~」


 オレたちは顔を見合わせて笑う。

 どうやら息が合っていたようだ。



 そのためにもまずは腹ごしらえ。

 オレ達はいつもの食堂へと向かった。



ここまでお読みいただきありがとうございました!


「面白そう・面白かった」

「今後が気になる」

「キャラが好き」


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