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第3話 いや、ダメじゃん!!

数ある物語の中から選んでくださりありがとうございます!


 

 テーブルの上に所せましと乗せられた料理たちはものすごい勢いでアレクの胃袋へと収まっていく。


 ええ……どこに消えているの?

 どこに入っていってるの?


 次々と運ばれる料理は机に置かれた順にどんどん減り、空になった皿が積み上げられていく。


 オレはそれを引きながら見ていた。

 女将さんも半笑いでそれを眺めている。


 あれ? さっきまで遠慮していた子だよね?


 ……まあ食べる子は育つからいいのだが。



「ごちそうさまでしたぁ!!」



 元気な声が響く。

 かれこれ三十分ほど食べ続けたアレクはようやく満足したようで手を止めた。


 わあ、会計が怖いぞ!!


 オレはひそかに金の入った袋を確認した。



 たぶん大丈夫なはず。

 まあそれは置いておいて、食事の手も落ち着いたことだし本題に入るとするか。



「あのさ、アレク」

「うん。どうしたの?」


「さっきさ、魔王がどうのって話をしていたと思うんだけど」

「ああ、それね。そうそう、何でも各国の占い師たちが一斉に予言したらしくて」



 オレの記憶では魔王と勇者が激突するまであと五年程度の時間があったはずだ。

 こんなにも早く目覚めるなんて聞いていない。


 本当にオレの知る魔王のことなのか、少しでも情報を集めたいところだ。



 アレクの話ではその占い結果が出た時に世界会議が開かれ、各国から強者をつのり魔王が完全に復活する前に打って出る方針になったそうだ。


 おいおいマジか。

 原作でそんな設定あったか?


 オレが知らないだけなのか。

 それともゲームの内容が変わってきているのか。


 分からないことが多い。

 もう少し何か情報が欲しいところだ。


「それで始まりの国であるここ“オリヴィエ”に集まってきている訳さぁ」

「待って」


 オレはタンマを掛けた。


 今オリヴィエって言った?

 それってゲームで勇者の冒険が始まる街じゃない?


 オレは嫌な予感に冷や汗を流す。


 もしかしてここは「始まりの国」なのか?

 もしかしたら勇者も既にこの国にいるのでは……。



 これはまずいぞ。

 オレは原作とは関わらずに穏やかに暮らすと決めていたのに、意図せずシナリオ通りの動きをしているのかもしれない。



 い、いや落ち着け。

 まだ原作より五年も前なんだ。


 勇者がこの国に現れるのにはまだ時間があるはず。


 それに勇者なら何かオーラとかですぐにわかるはず。

 それを避けていけば問題ないだろう。



 オレはそう落ち着かせてアレクを見る。


「魔王が目覚めたんなら勇者も現れたの?」


 魔王が目覚めたとなればそれに対する勇者も現れているはずだ。


「それがね、まだ現れてないみたい。伝承通りに勇者なんて人が出てくるのかも謎だし、それよりも腕利きの人を集めて先手必勝って感じで攻め込むつもりみたいだよ?」


「はあ!? マジかよ」


 勇者が不在にも関わらず魔王にいどむって!?

 そんなことできるのか?


 前世でも魔王に対抗できるのは勇者のみっていうのが定石じょうせきだろうに。


 一件無謀むぼうにも思えるが、本当に大丈夫なのだろうか。




 ……そういえば、ゲームでは「勇者が現れる前に挑んだ者達は誰も帰ってこなかった」とかナレーションが入ってたっけ。



 いや、ダメじゃん!!

 完全にダメな奴じゃん!!


 何ということだ。

 ここにいる大半の冒険者がこれから死地におもむくことが確定してしまった。


「な、なあ。アレクはいかないよな?」

「僕? いかないよぉ。いっても無駄死にだろうし」

「だ、だよな。……よかった」


 関わりを持った人が死地におもむくことを知っていて送り出すのは嫌だったし。

 少しほっとした。



「それよりヴォンは宿探さないといけないんじゃない?」

「あ、そうだった」


 街についてから直行で食堂に来たのでまだ宿をとれていない。

 早いところ今晩の宿を見つけないと。


 少し休んでから会計を済ませ、アレクと別れて宿を探す。


 懐事情は少し寂しくなってしまったが、良い情報を得られたし良しとしよう。


 オレは夕方の街道をゆっくりと歩き出した。




ここまでお読みいただきありがとうございました!


「面白そう・面白かった」

「今後が気になる」

「キャラが好き」


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