第13話 ……おねショタの気配!!?
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「……それで、なにかオレに御用があってきたんじゃないですか?」
「そうでした! ……ヴォン様に折り入ってお願いがございまして」
「お願い?」
何だろうか。
死んだ家族に会わせてくれとかそういうやつ?
それはちょっとタイミング的に難しいと思う。
それにグロ注意だ。
オレ的にもあまりやりたくはない。
そのお願いが来たら断ろう。
続く言葉を待つ。
「その、お願いというのは、私たちを旅のお供にしてくれませんかっ!!」
「んん??」
予想していたのとだいぶ違う言葉が飛び出てきた気がする。
旅のお供って。
……。
オレは彼女たちと旅するところを考えてみた。
これは……おねショタの気配!!?
いや、いやいやいや。
落ち着けオレ。
現実を見ろ。
死体を集める旅だぞ。
無理だろう。
普通に考えて。
「いや、あの。オレの力はリューナさんたちが思っているようなきれいなものじゃあないですよ?」
「承知しております!」
「ええ……。それに倫理的に反することだってするかもですよ?」
「そちらも承知しておりますよ!」
「ええ……」
どうしよう。
ものすごく食いついてくるよこの子。
「いや、だって……気持ち悪くないの? 初めオレの母さんを見て悲鳴を上げていたじゃないか」
確かリューナさんは悲鳴を上げていたはずだ。
「はい。ですがヴォン様の母君はとてもお優しかったです。震えるしかできなかった私たちをずっと守ってくださっていましたし、今はもう怖くありません!」
「……そうですか」
ダメだ。妄信者になっている予感しかしない。
確かに母さんには彼女たちを守るように言っていたけれど、それはオレが命令していたからにすぎない。
オレがいつか害を為すとか考えないのだろうか。
「……やはりだめでしょうか」
「うっ」
シュンとうなだれるリューナさんたち。
そんな表情をされたら断りにくいではないか。
オレは女性の寂しそうな顔は苦手なのだ。
それもこれほどまでに美人だと余計に。
「……」
だが、なあ。
流石にうら若き乙女たちの前でR18Gを繰り広げる訳にはいくまい。
「そうだ! ついていくのがダメでしたら、私たち情報を提供するギルドを作って貴方様を影からサポートいたします!!」
「ええ……?」
「安心してください! 私たちは『アレーン』の混血者ですので情報戦は得意なのですよ!」
「『アレーン』?」
聞いたことのない名前だ。
聞き返されたリューナさんはとてもうれしそうに口を開いた。
「はい! 村の規則で余所者には口外してはだめなのですが、ヴォン様は大恩人ですのでお教えしておきますね」
そんな大事なことをオレにしゃべっても良いのだろうか。
心配になってくる。
大丈夫かこの子。
そんなオレの心配をよそに彼女は説明を始めた。
曰く、アレーンとは音楽家の精霊族のことで、歌うことで眠りを誘ったり洗脳したり、情報を引き出したりできるらしい。
その混血の末裔がこの村の者達なのだそうだ。
純血じゃないにしても村の人たちは情報戦には長けているという。
確かに話を聞いている限りでは情報ギルドで大活躍しそうな力であった。
「情報をくれるのは大変ありがたいけど、そのやり取りはどうするの?」
「それはこちらをお使い下さい!」
「これは?」
リューナさんが差し出してきたのは15cm程度の一本の杖だった。
俺はそれを受け取り軽く振ってみる。
ぽうっと明かりが灯りその中にリューナさんたちが映っていた。
「これは『伝えの杖』です。私たち一族に先祖代々伝わるもので、対の杖を持っている者同士が距離を無視してやり取りができるものなんです」
もう一本はもちろん私たちが持っていますと言って懐から取り出して見せてきた。
確かに模様が左右逆転している。
これはかなり使えるアイテムではないか。
素直に嬉しい。
「でも、そんな貴重なものオレが持っちゃっていいの?」
「ぜひお使いください! 私たち、これでヴォン様のサポートをさせていただきますね!」
ああ、それは決定事項なのかと思ったオレだったが、彼女たちの嬉しそうな顔を見ているともう反対もできない。
ダメな男なんだ、オレは。
女性の笑顔にも弱いのさ。
まあ、彼女たちの気が済むまでやらせてあげよう。
早く彼女たちに笑顔が戻るといいなと思いながらオレは杖を受け取ったのだった。
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