第11話 どっかの韓流スターっぽい
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結局オレはリンダルさんの隠し玉の「腕利き調査員」ということで落ち着いた。
年齢もあって今までその存在を隠していたが、今回の騒ぎでデビューした。
山賊の討伐は偶然で、相手の数が多いことからスキル「ワイヤー使い」を発動したことであのバラバラ現場になった、という設定だ。
多少無理はあるがそれならあの現場も説明がつく、らしい。
らしいというのはオレ自身に「ワイヤー使い」というスキルがないからどんなものか分からないのだ。
ただ、リンダルさんがそのスキルの使い手だということでサポートしてもらうことになった。
リンダルさんと打ち合わせした後に浄化班への説明することになったが、何とか事なきをえた。
「はあああああ。つかれた」
オレは説明会を終えてテントへと戻ってきた。
もう陽もすっかり傾いている。
説明会でスキルを実際に見せてくださいと言われたときは肝が冷えた。
リンダルさんのサポートがなければ乗りこえられなかっただろう。
オレの動きに合わせてリンダルさんが丸太を切断してくれたのだ。
ナイスリンダルさん!!
流石はギルド長!!
彼がいなければ言い訳もできずにオレの正体がばれていたかもしれない。
「召鬼道士」というジョブは絶対に人に知られるわけにはいかないのだ。
「そういえば生存者のおねーさんたち、口裏合わせてないけど大丈夫かな……」
オレは生き残った村娘たちを思い浮かべる。
確か五人くらいだったはずだ。
彼女たちがオレの秘密について口に出していないといいのだが。
「ん?」
テントでゴロゴロしているとテントの外に複数の足音がやってきた。
「あ、あの、ヴォン様。いらっしゃいますか?」
小さく潜めた声だったが女性のものだ。
リンダルさんではない。
「あの私たち、村の者です」
「村の?」
そういえば聞き覚えのある声だった。
アジトで戦闘を始めるときに保護した女性のものの様に聞こえる。
オレはつい返事をしてしまう。
「いらっしゃるのですね!」
テントの外からはどことなく嬉しそうな声が聞こえてくる。
しまった。
つい反応してしまった。
こうなってしまっては仕方がない。
オレはゆっくりとテントの外へと向かった。
「ヴォン様!!」
オレが顔を出した途端にわき上がる歓声(控えめ)。
オレはあっという間に五人の女性に囲まれた。
「え、えっと。どうしたんですか皆さん」
いずれも見覚えのある顔だった。
というかヴォン様って。
どっかの韓流スターっぽいな。
そんなどうでもよい感想を抱いていると、村の娘の代表が前へ出てきた。
昨日山賊の相手をさせられそうになっていた人だ。
「まずお礼を。ヴォン様のおかげで私ども一同、奇跡的に生還することができました!」
五人は一斉に頭を垂れた。
おおふ。
若い女性にこんな風に感謝されることなど今まであっただろうか。
いや、ないはずだ。
この子達くらいの年齢の女性従業員には何度も叱られた記憶しかない。
あれはなんで叱られたのだったか。
そうだ、年末調整用の資料提出が遅くなったからだ。
あれは本当にすみませんでした。
オレはここにはいるはずのない事務員さんに心の中で謝った。
どうやらオレがぽやんとしているのは今も昔も同じようだ。
女性たちは顔を上げる。
「申し遅れました。私は村長の娘リューナと申します」
リューナと名乗った女性は色白でものすごくナイスバディ……
…………間違えた。
すごくきれいな人だった。
二十歳前後だろう。
黄緑色の大きな眼に水色の長い髪。
唇はポテッとして赤々と実っている。
……。
やめてっ!!
蔑んだ目で見ないで!!
しょうがないじゃんかよ!
オレだって健全な男子なんだから!!
あ、でも体はショタだから。
まだ大人の階段上っていないから。数段先だから。
悲しいかな、おねショタ展開なんて期待できるはずもない。
泣いてない。泣いてなどいないぞ。
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