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第10話 oh……やっちまったぜ

数ある物語の中から選んでくださりありがとうございます!

どうぞお楽しみくださいませ(*´ω`*)


 



 彼は床に腰を落ち着けると口を開いた。


「まずはこの度は素早い調査、ありがとうございました。貴方様のおかげでこの付近では感染爆発することなく抑えられました」


「いえ、オレでは浄化は出来ないですし、手を回して貰って助かりました」


 リンダルさんはオレと二人になると途端に敬語になる。

 それも最上級の。


 父さんとご対面させてしまったことが効いているのだろう。

 もしかしたらオレに対して恐怖心があるのかもしれない。


 困ったな~。恐怖政治なんてするつもりなどないのだが。


 まあ今言ったところで効果はないということは分かっているので黙っているが。




「それにこの辺りで厄介者だった山賊まで討伐していただけて感謝してもしきれません」

「あれ、あの山賊たちって意外と有名だったんですか?」


 初耳だ。

 こういう時、事前知識って大事だなと思う。


 オレはいつも行き当たりばったりが多いので、今後は気を付けたいところだ。



 オレが一人でうなずいているとリンダルさんは不思議がりながらも話の続きを口にしだした。


「有名も何も、ここいらでは恐れられていた悪党ですよ。いたるところに出没するやつらで腕もたつ。付近ではかなり警戒される奴らで懸賞金もかかっている。ちなみにランクでいえば山賊一味でBランクが付けられています」


「Bランク!!?」


 オレは呆然ぼうぜんと口を開いた。

 だって今のオレのランクはDランク。


 あの山賊たちのランクの方が二ランクも上なのだ。


「えー、嘘でしょう?」


 村娘たちの逆襲ぎゃくしゅうで滅んでいたし、そんな大した強さではなかったと思うが。


 それともあれか?

 死体が強すぎるとかそういうあれなのか?



 不思議がっているとリンダルさんは残念ながら、と首を振った。


「いいえ、嘘ではありません。ですから困っているのです」


 リンダルさんの話ではDランクのオレがBランクの山賊を一人で討伐したというのは前代未聞ぜんだいみもんなのだそうで、浄化班も困惑しているとのこと。



 oh……やっちまったぜ。


 目立たずに、という目標がことごとくダメになっていく。



 どうやらリンダルさんはその言い訳を考えるためにここへやってきたようだ。

 一緒に言い訳を考えてくれるとは、やはりいい人だ。



「あーー。一応聞きますが、本当にBランクなんですよね? そんな大した強さではなかったんですが」

「はい、残念ながら。おそらくはヴォン様の力がそれほどにお強いのだと。それこそそんじょそこらの人間では太刀たち打ちできないほどに」


「マジ?」

「マジです」


 言い切られてしまった。

 そっか~。もしかしてとは思っていたけど、一度死んだら強くなる法則は確実にあるんだなぁ。


 オレは白目をむいた。


 どんどん平穏とは遠ざかってしまっている。

 その原因を作っているのはオレなのだから、文句の言いようもないのだが。


「こちらも一応お聞きしますが、今回の件で新しく呼び起こした人がいたりしますか?」

「……」


 リンダルさんは疑いの眼だ。

 オレは視線をそっとそらした。



 やはりポンポンと呼び起こすのはだめだっただろうか。



「ええーと、ほら山賊の数が多かったから」

「多かったから?」


「……アジトに積まれていた死体を呼び起こしました」

「何体ですか?」


「……十数体ですかね? で、でも解除して元の位置に戻しておきましたよ?」


 オレはなんとなく正座をする。

 リンダルさんがため息をこぼした。


「あのですね」

「はい」


「そもそも論ですがそんなポンポンと呼び出されると困るんですよ」

「はい。すみません」


 教師の説教を食らう小学生の心持ちだ。


 オレはシュンとうなだれてリンダルさんの話に耳を傾ける。


「今回、貴方様はお一人で複数人の山賊を討伐したとなります。まだ年端としはもいかない少年が、ですよ? しかも冒険者に登録したばかりの」

「う、はい」


「しかもメインウェポンはクロスボウなのに矢が刺さっていた山賊は一人もおらず、その死体はとんでもなく散らかされていた」

「……」


「明らかに異常な現場でしたよ」


 ぐうの音も出ない。


 今回オレは直接手を下していない。

 村人たちの恨みを晴らさせようと彼女たちに任せっきりだったのだ。


 つまり現場には矢が落ちていないどころか、大の大人たちの体がバラバラと落ちている状態だったという訳だ。



 浄化班の皆さん、大変グロい現場にしてしまって申し訳ありません。



 オレは心の底から謝罪した。


「で、でもさ。矢は回収したっていえば何とかなるくない?」

「死体に矢傷は一つもありませんでした」


「う、じゃじゃあさ、山賊たちは呪いで弱っていたから楽に倒せたっていうのはどう?」

「その場合貴方様が弱って動けない相手を引きちぎってなぶり殺した異常者になりますが、よろしいですか?」


「よろしくないです」


 そんなレッテルいりません。

 熨斗のしを付けてお返しします。


「う、うえええええ! どうにか! どうにかなりませんか!?」


 オレは前に座るリンダルさんの顔を見上げる。

 彼は静かに目を閉じて何かを考え込んでいた。


「……一つだけ案がございます」

「!!」


 やがてリンダルさんは静かに空気を震わせた。


「ただし、それをすれば平穏な生活とはかけ離れてしまいますが、よろしいですか?」


 既に平穏とはかけ離れている。

 今更そんなことを気にしてはいられないだろう。



「教えて下さい!」


 オレは力を込めて言い放った。


ここまでお読みいただきありがとうございました!


「面白そう・面白かった」

「今後が気になる」

「キャラが好き」


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