第9話 立派な目標だろうが
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翌日。
リンダルさんが神聖力(毒治療や呪い解除などの力)のある聖職者の部隊を率いてやってきた。
どうやら睨んでいた通り、謎の症状で街が被害を受けるという案件が各地で起きていたようで、オレの連絡を受けて直ぐに治療専門の部隊を組んでくれたのだ。
この症状は聖職者たちが祈りをささげると消えることから、呪いのようなものではないかと言われているらしい。
そして人から人へとうつり、体中に回ると体中を黒く染め上げ命を落とす。
……呪いかあ。
先ほどオレと生き残りの女性たちも浄化してもらったところだが、イマイチ実感がない。
オレには症状も出ていなかったし、その呪いがうつっていたかどうかは分からない。
ただ呪いにかかった者と接触することでうつっていくというのは厄介極まりないだろうな。
世間では症状が出る人数が多すぎて神殿でも手が回っていない状態だというし。
近々、大神官様および大聖女様が神聖力を使い、大々的に世界の治療を行うようだからそれまでは各国で予防するしかないらしい。
それを聴けば村一つは残念ながら滅んでしまったが、他の町に広がる前に食い止められたのはまだよかったと言えるだろう。
オレはそれを隔離部屋から見ていた。
簡易テントだった。
「暇だな~」
オレは部屋の中でじっとしている。
本当ならば今すぐにでも父さんたちを召喚してレベルの確認をしたいところだが、まさか聖なる皆さんの前でそんなことできやしない。
そんなことしたらオレが討伐の対象になってしまうかもしれないのだから。
今はまだオレに「召鬼道士」の力があるということを知っているのはリンダルさんと村の生存者くらいだ。
だからまだ追われる身になっていないが、これがより多くの人に知られればオレの目標が達成できなくなる。
それは嫌だ。
オレは悠々自適に楽して暮らしたいのだ。
クズい?
何を言うか。立派な目標だろうが。
じゃあ聞くが今まで普通に感受してきたものをある日突然できなくなったら、諸君らはどうする?
答えは簡単。
元の生活に戻そうとするだろう。
オレの場合、それは風呂とトイレの付いた家で日本基準の生活をすることだった。
それはともかく。
浄化魔法を受けた時父さん母さんが浄化されないか少し不安だった。
だってなんか浄化されそうじゃないか。
まあ結果的に無事だったからよいのだが。
オレの影に入っていたから無事だったのか、それとも出ていても浄化魔法では消え去らないのか。
それも分からなければ、父さんたちの種族のこともまだよくわからない。
キョンシー属だったか。
とにかく父さんたちには謎が多い。
早いところすべての謎を解明したいところだ。
そんなことを考えながらベッドに寝転んで天井を見ていると、ザッザと足音が聞こえてきた。
「こんにちはリンダルです。いらっしゃいますか?」
「リンダルさん?」
オレはベッドから起き上がりテントの入口に向う。
一体何の用だろうか。
もしかしてオレが力を使ったことがばれたとか?
そうだとするのならいつでも逃げ出せるように準備をしなくては。
オレは少しだけ警戒しながらリンダルさんを受け入れた。
「すみませんお休み中に」
リンダルさんは申し訳なさそうな顔で立っていた。
周りに他の人はいない。
「いえ、暇していたので大丈夫ですよ。どうかしましたか?」
「ええ、それが……」
リンダルさんは辺りを気にするそぶりをした。
どうやらオレと会っているところを見られたくないようだ。
何か秘密の話でもしそうな雰囲気に、心臓が早くなる。
もしかしたら本当にバレてしまったのだろうか。
とにかく早く入ってもらおう。
オレは体をずらし彼を招き入れる。
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