第6話 泣いてはいないぞ!!
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オレはアジト内にいた裸の女性にマントを着せながら外で行われている戦いを見ていた。
オレは攻め入る前に裏手に捨てられていた死体を呼び起こした。
そしてアジトをぐるりと囲み、誰一人として逃がさないようにしたのだ。
その結果が今現在繰り広げられているバーサーカーパーティーだ。
「うわあ……」
死んだはずの女性と子供たちが山賊たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ(物理)を繰り返している。
動きはゆっくりだが体は固くナイフ程度では傷もつかないし、力も大男を投げ飛ばせるほど強い。
やはりというか、一度死ぬと強くなる法則があるらしい。
それはあまりにも一方的な戦いで、次々と山賊たちは倒れていった。
心なしか、呼び起こした村の人たちも生き生きとしているように思う。
……死んでいるから生き生きも何もないとは思うが。
「ひっ」
オレが触れたことで女性が悲鳴を上げた。
「ああ、ごめんなさい。怖がらせちゃいましたね」
オレは努めて穏やかな声を出す。
年頃の娘がさらわれ犯されそうになり、怯えるなという方が無理な話だ。
オレは前世の娘を思い出し……いやいないから思い出すも何もないな。
うるさいぞ、そこ。
モテないやつは可哀そうだとか言うんじゃない。
オレはいないんじゃなくて作らないだけだ。
例えそれが年齢=彼女いない歴であったとしても、決してモテないわけではない。
要は自分の意識の持ちようなんだ。
泣いていない……泣いてはいないぞ!!
オレはリアルに涙が出そうな気がしたので慌てて笑顔を張り付ける。
「山賊はオレたちがどうにかします。貴方は裏手に逃げてください」
「ま、まって! ここに居て! お願い!!」
女性は瞳を潤ませながらお願いしてくる。
だがオレは奴らの残りがいないか確認せねばならない。
「すみません、オレにはまだやらなくてはならないことがあるので」
オレの服の裾を掴む女性の手をやんわりと外す。
ここに来るまでに生存者は保護していた。
死んだ女性たち数名に見てもらっている。
「母さん」
オレは母さんを影から呼び出す。
一先ず村娘を生き残った皆さんの下に移動させてもらおう。
「ひ、ひぃ」
娘が息を呑みこむ悲鳴を上げた。
母さんのビジュアルに怯えたのだろう。
すみません……。
オレは心の中で土下座した。
若い女性のこう言う反応が、今のオレには一番キツイ。
こればかりはオレもどうにかしたいのです。でも、どうにもならないのです。
まあすごく人を襲いそうな見た目ではあるが、オレの意にそぐわないことは絶対にしない。
それだけは様々な実験を重ねてきたから確実だ。
「大丈夫です。貴方に危害は加えません。皆さんのところまでは母さんが守ってくれるので、早く移動を」
オレはそう言い残し外へと出た。
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