正義の味方も24時間戦えません
戦闘シーンを書けよ
「どうやら宇宙人みたいなんですよね~」
溜め息しか出てこない。
ここ最近、停電が続いていて、最初は自然現象だとか電気会社が手抜きをしているのだと報道で騒がれていたけど、
「宇宙人……」
ツブヤイターに投稿された写真に変電所に集まっているナメクジモドキというのがあったのだが、そのナメクジモドキが電気泥棒をしている宇宙人らしい。
「電気ナメクジ。主食は電気。エネルギーの枯渇で地球に移住を申し出たそうだけど」
指令の報告を聞いて頭を抱える。
「移住を求めているのなら悪い奴じゃないんだな。保護しよう!!」
いつものごとく性善説を地でいくレッドに呆れてしまう。
「泥棒の時点で悪い存在ですけど」
「ピンクはなんて人でなしな事を言うんだ!! 困っている時はお互い様の精神でな!!」
「今現在困っているのは電力会社です」
何言っているんだこいつ。
「先輩の言い分だとおなかをすかせたから家に不法侵入して冷蔵庫を漁ってもいいと言っているようなものですけど」
盗まれた方は堪ったものじゃない。
「だ…だが……こういう時ほど助け合いだろう」
「盗みに入った時点で同情の余地はありません」
地球のルールを知らなかったからセーフとでもいうつもりか。郷に入ったら郷に従えという素晴らしい言葉があるだろう。
「という事で退治するんですよね。どうやって?」
変電所にいるのを一匹一匹駆除するのも大変だ。
というよりも以前に。
「そろそろ帰っていいですか。勤務時間終了なので」
「ピンク!! お前ってやつは!!」
はいはい。今日も喧しいですね。
返事を待たないで帰りの支度をすると。
「失礼します。交代に入ってきました」
と三人の男性が入ってくる。
「なっ、何でお前が来るんだよ!!」
レッドが入ってきた一人に指差して威嚇している。
「………なんですか。あれ?」
意味が分からないので近くに居たブラックに尋ねると。
「彼らは夜勤組。レッドからすると気に入らない相手なんだよね」
気に入らない……。
「現実主義者の正義に興味ない感じですか?」
「おっ。いいところつくね。まあ、彼らは基本単独で動くから」
チーム重視のうちと大きく違うっていうだけ。
「…………」
「八千草さん。そこでそっちに入ればよかったと思っていない」
「正確には、夜勤だから入れないのが残念だな。です」
夜勤はしない主義ですから。
「ピンク!! 俺たちのチームを裏切るのか。裏切ってバイク部隊に入るのか!!」
レッドが叫ぶ。
「バイク」
「そっ、バイク。バイクで移動して、戦闘する部隊。まあ、部隊と言っても個人で基本動いて適材適所で働く流れだけどね」
バイク。
「バイクの方もよくみてますよ。今は法律の問題なのかバイクでの戦闘シーンが無くて寂しいですけど」
あのバイクアクションが最高なのに。
「情報は?」
「お前に渡す情報はねえ!!」
レッドが喚いているが、
「事件を解決してくれるならそれでいいのに」
なんでそこで意地を張るのやら。
「とりあえず、ツブヤイターで見つけた場所には今現在いません」
オペレーターが告げると。
「じゃあ、手分けして探しますか」
「そうだな」
「行ってくる」
ヘルメットを被ってあっという間に去っていく。
「うん。かっこいい」
あの颯爽とした感じがいい。
「あんなのがいいのか!!」
「少なくても熱苦しいよりもましですね」
一刀両断して仕事場を出る。
だから、聞こえていない。
「なんでだぁぁぁぁぁぁ!!」
「う~ん。八千草さんって、海の子孫でしたっけ?」
「いえ、海は一つの固まっていますので先祖返りで余程昔ではない限り海では無いはずですよ」
「それに桃香ちゃんの家は大家族だしね。あれは大地でしょう」
「苗字からしても大地の末裔だろう」
レッドを除いて、浅葱と黄河黒木が楽しげに話しをしている。
「大地の血族で規格外なのか。それともどこかで海が混ざったか」
指令の言葉にああ。あり得るとみんな納得していた。
「赤坂。君も帰りなさい」
「ですがっ!!」
「空の血族に任せておけばいい」
彼らの能力は高いしね。
「…………はい」
「納得してない」
「そりゃそうでしょう。赤坂君は大地の血族の猪突猛進がより強く出ているからね」
その分スイッチ入ると一番強いんだけど。
そんな事をつゆ知らず。
次の日のニュースで電気ナメクジの事件は先日起きた雷での漏電が原因だったと理由を付けられて解決したのを知ったのであった。
戦隊もバイクもスカウトされる条件が一緒だったりする。




