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(^ω^)【ようです】のようです

【教祖様は隠居したい】(^ω^)のようです

作者: 日曜日夕

 時は……この話はフィクションなので、西暦とか紀元前とかで表すことは本来できないのだけれど、読者の皆様がイメージしやすいように設定するのであれば西暦30年くらい。



 春の陽気が感じられるようになる4月頃、といっても物語の舞台は砂漠なので、昼は暑すぎ夜は寒すぎなのだけれど。


 

 昼下がりの砂漠の道を歩いているのは、髭を蓄えた浅黒い男と、その弟子。どちらもローブを深く被り、いかにも怪しい風貌である。



 やがて、髭の男がポツリと弱音を吐いた。



(^ω^)「はぁ……」



(・∀・)「どうしたんですか?ため息なんてついて」



(^ω^)「もう布教やめたい……」



(・∀・)「えぇ!?なんで?」



(^ω^)「いや、もう疲れたのよ。この年になって砂漠を縦断するのは辛いって……」



(・∀・)「しっかりしてください!教祖様には神のご加護があるのですから!」



(^ω^)「ねぇよ、加護なんてそんなもん」



(・∀・)「え?教祖様は信者の病気を奇跡で治してるじゃないですか!」



(^ω^)「あんなん劇団員に決まってんだろ」



(・∀・)「決まってるの!?」



(^ω^)「そうだよ。何回リハーサルしたと思ってるんだ」



(・∀・)「そ、そんな。じゃあ、石を食べ物に変えたり、食べ物を増やしたりしたのは?」



(^ω^)「用意してたに決まってるじゃん」



(・∀・)「これも決まってたんだ!」



(・∀・)「ならば、洞窟で、私たちに神を見せてくれたのは!?」



(^ω^)「あの時は皆で薬キメてたからな。意識が天国にトンでたんだよ」



(・∀・)「えぇ、なんかちょっとショックなんすけど」



(^ω^)「そこで『ちょっとショック』で済ませられる君を、最後の旅の共に選んでよかったわ」



(・∀・)「最後?もしかして、殉教を?」



(^ω^)「するわけねぇだろ。俺は死ぬ時は畳の上って決めてるんだよ」



(・∀・)「また決まってる!ってか畳って何!?」



(^ω^)「そんな事はどうでもいいよ。まぁ布教の旅はここで終わりってことで」



(・∀・)「なら、これからどうするんですか?」



(^ω^)「この近くにオアシスの街があっただろ。そこで余生を過ごす」



(^ω^)「なに、金なら今まで儲けた分が沢山あるからな」



(・∀・)「しかし、他の信者が納得しません!それに、貴方は国に追われている立場なんですよ?」



(^ω^)「大丈夫だよ。影武者置いてきたから」



(・∀・)「置いてきたんですか!?」



(^ω^)「うん。大丈夫、幹部連中は知ってるから」



(・∀・)「よく納得しましたね!?彼らも」



(^ω^)「結局は世の中金よ」MONEY, MONEY, MONEY...



(^ω^)「君はどうする?ここまで旅をしたよしみだ、いくらか金をやろう」



(・∀・)「あ、じゃあ、とりあえず街まで行って別れましょうか」



(^ω^)「切り替えはえーなオイ。ホントに信者か?」



(・∀・)「信者も若い連中は結構ドライなもんですよ。僕も親が入ってたから入ったようなもんだし」



(^ω^)「あぁ~大変だったろうね。俺も同じでさ。それで新しく宗教作ったんだよね」



(・∀・)「へぇ、そうなんですか。そこら辺、ちょっと話聞かせてくださいよ」



(^ω^)「じゃあ居酒屋でも……」



  ('A`)「教祖ーッ!教祖ーッ!」



(・∀・)「あぁッ!高弟さま!」



(^ω^)「あれ、どしたん?そんな急いで。あと、もう教祖じゃないから。元教祖だから」



  ('A`)「影武者が処刑されました!」



(・∀・)「ッな!!!」



(^ω^)「何だってェェェェェェッッ!!!?」



  ('A`)「裏切り者が出やがったんです!あの野郎、国に買われたんだ!」



(^ω^)「なんと信仰の足りない……私は悲しいよ」



(・∀・)「アンタがそれ言いますか」



  ('A`)「このままでは信者が暴走してしまいます!無理を承知です!ぜひ教祖にもう一度現れて欲しいのです!復活してほしいのです!」



(^ω^)「えぇ~めんどくさいなぁ……俺はもうやめるって決めたの。新しい街で豊かなセカンドライフを送るの」



  ('A`)「お願いします!一か月、一か月でいいから!」



(^ω^)「長ぇよ。せめて三日だろ」



(・∀・)「え?でもいきなり教祖様が復活したら、それこそ不自然に思われません?」



  ('A`)「そこらへんは大丈夫だ。既にシナリオは出来上がっている。これは力作だぞ」



(^ω^)「えぇ、また台本読み込まないといけないじゃん」



  ('A`)「ホントにコレが最後の公演ですから!」



(・∀・)「OH……劇団員……」



(^ω^)「なになに?『~最終章~ 復活 ―The Last lesson for youー』」



(・∀・)「世界で一番ダサい文字列」



  ('A`)「いいんだよ。別に信者に公表するモンじゃないし」



(^ω^)「でも、復活しても、俺が一か月後に消える時はどうすんの?もう影武者作戦は無理よ?」



  ('A`)「それについては今シナリオ作成中なんで」



(^ω^)「んなら、さっきの最終章じゃないじゃん」



  ('A`)「これはエピローグ的な奴になりますので、まぁ気楽にやってもらえば……」



(^ω^)「はぁ……分かったよ。その代わり、コレはきっちりな」MONEY, MONEY, MONEY...



  ('A`)「分かってますよ」



(・∀・)「そうかぁ、世の中金かぁ……俺もなんか商売でも始めようかなぁ」



(^ω^)「おーい。行くぞー早くしないと死体が腐っちまう」



(・∀・)「あ、はーい。今行きまーす……金も貰えるし……オアシスの街なら、まだビジネスチャンスがあるかも。後で教祖様に相談しよ」



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