初戦闘の2人
この2日間上げられず、申し訳ないです。今日できれば連続投稿します。お願いします。
私の周りを『ダークウルフ』の黒の集団が囲んでいる。1匹が相手ならばジョゼと私で大丈夫だろうがこの量を渡したい2人で相手するのは少し酷じゃないかと思う。思うじゃないな、これは。酷だだな。この大群相手にどう戦って、どう逃げ出すのかを考えなければいけない。
「ガルルッ!」
「うぉーりあ!」
ジョゼは大きな掛け声を出して、襲い掛かってきたダークウルフを持っている剣で切りつけた。今まで何回も倒して来たのか、一撃でダークウルフを倒してしまう。その光景を見てダークウルフたちが怖がったのか。一斉にジョゼに襲い掛かってきた。
「そんなに来ても無駄さ。お前らとはもう何回も戦っているからな。分かり切っているんだよ。」
そう言うと、襲い掛かってくるダークウルフを交わしながら全員を切りつけてゆく。ジョゼはダークウルフからダメージを受けることなく、襲い掛かってくるダークウルフを倒していった。ここで長いこと死なずに戦い続けた冒険者だからこそ、この活躍なのだろう。私はもしかしたら結構すごい人をスカウトしてしまったのかもしれない。
でも、私だってずっと見ているだけではいけない。ジョゼは倒せないと察したのか、もしくは私は弱そうだと察したのか、どっちか分からないけどダークウルフたちが私に目を向けて、襲い掛かってきたのだ。後者だとしたらなめられたものね。私は昨日、伝説を残した新人よ。そんななめてかかってくるなんていい度胸……
「ひぁぁぁっ!待って、待って。タイム、タイム!」
剣を構えて調子に乗っていたら、私にとびかかって噛みつこうとしてきた。で、私はよけきることができず、噛みついてきた歯を剣で受け止めて、そのまま押し倒された。ヤバい、オオカミにマウントを取られるという非常に危険な状況に陥ってしまった。これは非常にまずい。しかも、ジョゼはジョゼでオオカミ達と戦っているので、こっちの救援に来ることもできない。そして、オオカミ達が続々と倒れている私に向かってきているのだ。
まずい、まずい。このままでは食い殺されてしまう。上に乗っているオオカミをどうにかしないといけない。剣を噛んでいるのである防げてはいるが、私に顔を近づけて今にも食べそうな雰囲気を出している。こうなったらここはこうしてやる!私はオオカミの顔の前に右手を広げて、
「『フラッシュ』!」
「キャン!」
護身術の一環で私が使っていた光魔法の一種『フラッシュ』。手のひらを広げて、魔力を込めて放つ技。魔力をあまり使わず、一瞬だけ光らす魔法。本来なら役に立たないような魔法のように見えるが今回のような命の危機に関わる状況においては役に立つのだ。
オオカミは不意な目つぶし攻撃に面食らったのか、目を痛そうにしながら噛んでいた剣から口を離した。その瞬間に私はオオカミに蹴りを入れた。
「ガウッ。」
吹き飛ばされて地面に体をぶつけるオオカミ。よし、とりあえず一匹、オオカミを倒した。しかし、まだ私の周りにはオオカミがたくさんいる。早く倒さないと、囲まれて一斉に襲われたらひとたまりもない。ジョゼのほうを見てみると、
「この!しつこいんだよ、オオカミどもが!」
剣を振り回しながらオオカミたちを切りまくっているジョゼ。オオカミを連続で仕留めまくっているけど見るからに疲れている。私たちの戦力はジョゼなんだからこのままでは私たち2人一斉にやられてしまう。すると、
「ガブッ。」
「うっ、糞が!」
ジョゼがオオカミに剣を持っていないほうの左腕を噛まれた。ジョゼは噛まれながらもオオカミを切ったがたくさんの血が左腕から出ている。
「ジョゼ!大丈夫?今、直すから。」
ここが私の出番だ。光属性魔法の代名詞というべき『回復』。私はジョゼの左腕の怪我に手を当てて魔力を込めた。
「『傷よ、癒えよ』」
緑色の淡い光がジョゼに左腕を包んだ。すると、傷がどんどん塞がっていった。やった!私の魔法は役に立つんだ。そう思った。しかし、そう簡単にはいかなかった。傷の塞がりスピードが遅いのだ。傷はちょっとずつ塞がってはいるけど血は全然止まっていない。血が止まってないくらい傷が塞がっていないということだ。これには最初希望に満ち溢れた顔をしていたジョゼもイラついた顔をし始めた。
「なんだよ。お前の魔法全然役に立たねーじゃねーかよ!」
「違うんだって。あんたの傷が深すぎるんだって!」
「安いポーションでも血が止まる程度には回復するぞ。お前の回復魔法はまず血が止まっていない。傷を塞ぐスピードが遅い。なんだよ、ポーションで回復したほうが早いじゃねーかよ。ポーション買うお金がなかったからお前の腕を信用したのによ。」
ポーションで回復したほうが早い。カチーーンと来た。それは私が聖女候補として名乗りを上げた時に教会にいた日地が私の回復魔法を見ていった傷ついた一言だ。私が知らない間にどうやら自分の中の地雷ワードになってしまったようだ。今、ジョゼから言われて私、カチーーンって来ました。私の魔法を馬鹿にしたな。馬鹿にしましたね。こうなってら見せてあげるわよ。私の魔法の最終奥義を。
「ジョゼ。」
「なんだよ。急におとなしくなりやがって。今の状況分かってんのか?この絶体絶命の……」
「分かっているわよ。でも、私がこの絶体絶命の状況を一瞬で帰ることができるといわれたら信じる?」
「はぁっ?回復魔法もろくにできないお前に何ができるんだよ。」
「……じゃ、何もしない。」
「おい!待て回復作業を止めるんじゃねーよ。そしてあんなに時間かけたっていうのにまだ腕から血が出ているじゃん。……分かったからあきらめたような顔して座り込むな。謝るから、謝るから立ち直ってくれ。」
「謝るの?本当に謝るの?じゃ、今、今、謝って。」
「分かった。ごめん。だからなんとかできるんなら、早くしてくれ。怪我した状態でこの量は無理だ。」
「よしっ!じゃ、ハーニャさんに任せなさい。ジョゼ後ろに下がって。」
ジョゼが後ろに下がった。それを追いかけるようにダークウルフの集団が私たちの前を囲む。逃げ道は塞がれている。でもこれを突破する方法を一個だけ持っている。しかし、あらかじめ注意事項を言っておかなければいけない。
「ジョゼ。私が今から魔法を放つから目をつぶって、さらにその上から両手で目を押さえて後ろを向いていて。そして放ってから5秒経ってから私を運んで逃げて。分かった?」
「えっ?お前、いったい何する……」
「分かったっ?!」
「あ、分かったよ!言うとおりにするよ。」
「オーケー。じゃ、行くわよ。準備して。」
私はジョゼが目を両手で覆い隠しているのを確認すると実行に移した。道を照らすのに使っていた魔法『光玉』を出す。これだけだと、照らすだけの玉だがここからが本番。じりじりと近づいてきているダークウルフの集団は明らかに油断している。私がまたまぶしくなる魔法を使うと思っているのだろう。そう、その通り。私が今から使うのは『フラッシュ』の強化版の魔法だ。
『光玉』に私の魔力を込めまくる。すると『光玉』が今にも壊れそうに震えだした。そして、少しづつひび割れが起こり始めた。これで完成。私の最終奥義。
「行くわよ、ジョゼ。構えて。」
「おう!来い!」
「喰らいな!『フラッシュボンバー』」
私はそれをダークウルフの集団の前に投げ込んだ。ダークウルフの中にはまぶしくなるのを見越して目を瞑っているものもいた。賢い個体もいるものだ。私も力いっぱい目を瞑った。しかし、この技は目を瞑るだけでは防げないのだ。何故なら、まぶたを超えて目の中に光が入っていくからだ。
バンッ!
「「「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!!」」」
何が起きたかは分からないがおそらく効いたのだろう。目を瞑る場家ではこのまぶしさを防ぐことはできないのよ。目を開けていたあなら尚更ね。でも効いているかいないかが、なぜ分からないかって言うと私も目をやられたからだ。目の前が真っ白で何もできないのだ。そしてこの一撃にすべての魔力を使ってしまったから私の魔力は現在ゼロ。体がだるくて動かないのだ。このままでは結局意味がないが、このために無事にしている男が私に入る。
「ハーニャ、担ぐぞ。」
後ろからジョゼの声が聞こえ、私の腰を肩に乗っけて和知っていく感じが体から伝わってくる。私は女性と言ってもリュックとか装備とかいろいろ持っているのに軽そうに運んで行っている。ジョゼってすごいんだなって改めて思った。私の技、すごかったのね。まだ全然目が回復しない。……というか目が痛い。
「どうよ、ジョゼ。私だってやればできるのよ。どう私の最終奥義。」
「ああ、凄かった。お前のおかげで何とかダークウルフの集団から逃げ出すことに成功したよ。確かにこれは感謝だな。でもな……」
だんだん目が回復してきた。周りを見渡すと、洞窟の道を走っている最中で周りにダークウルフはいない。そして上にはジョゼの顔があり、何やら皮肉のこもった顔をしている。
「お前の技って全部目つぶしなんだな。」
うるさい、役に立ったでしょ。文句言うな。