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不死鳥令嬢は何度も翔ぶ  作者: 辰芝祝
8/17

いざ、採掘場へ

今回は説明が多いです。申し訳ないです。


この世界には魔法というものがある。この魔法は遺伝や才能とかによって使える魔法が限られる。大体が自然の力を利用した魔法が多く、例を言えば、水、炎、土、風、緑といった5つの自然の基本的な魔法がある。才能があっても幼少期にちゃんとした教育を受けていないと、大人になっても急には使えないのだ。


私の仲間であるジョゼは魔法が一切使えない。才能があったのかもしれないが幼少の時に魔力を引き出す教育を受けていないと大人になったら使えなくなることが多い。多分ジョゼは一生魔法が使えないだろう。しかし、魔法が使えない代わりにジョゼは剣の腕前はある。ジョゼ曰く、故郷では傭兵の仕事をやっていらしく、剣の腕前はそこで磨かれたようだ。そしてここでの作業歴も長いようで対モンスターにおける戦闘経験も長いようだ。これは期待できる。


そしてわたくしハーニャさんだが、魔法と剣が使えます。剣に関しては昨日やって分かったように対人間用の剣術であり、洞窟にいるモンスターには通用しなかった。あれは完全に盲点だった。で、魔法に関しては私は貴族令嬢時代に教育を受けているので使うことができる。すごいでしょ!私だってできることはたくさんあるのだよ。私が使える魔法。それは光属性の魔法。何のことかと思うけど、俗に言うこれは回復魔法なの。自慢じゃないけど、光属性の魔法っていうのは神に愛されし魔法という超縁起のいい魔法なのよ。しかもこの魔法が使える人は少なくて、光属性の魔法が使える女性は聖女候補に選ばれるというのよ。


この聖女っていうのは私の国の国教であるジーニア教に伝わる聖女伝説に基づいて私の国では聖女になるということは女性にとって最高の名誉とされているの。国から手厚く保護されて、その権力は王族の隣に入れるくらいの権力を手にすることができる。そのため審査はものすごく厳しいけど、聖女になる条件が光属性の魔法を持っているということなのよ。だから私は聖女になる資格はあったのよ。


ちなみに私は没落して平民生活をしているときに一回だけ聖女候補に名乗りを上げて教会に行ったことあるのよ。でも、でもだ。私の光属性の魔法の力が弱すぎるから、聖女の足元にも及ばない。と言われて一瞬で聖女候補の資格をはく奪されてしまった。


教会の人曰く、『確かに回復魔法は使えるけどポーションで回復したほうが早いな。』


カッチーンって来た。何それ、私の魔法意味ないじゃん。私の15年間は何だったのよ。マジであの時は腹立った。私の聖女になれば楽して生活できるんじゃないかという企みは一瞬でなくなってしまった。



私の使える魔法はこれだけ。以上。……言いたいことは分かるよ。えっ、それだけなの?って思ったでしょ。うん、これだけなの。攻撃系の魔法は使えないの。火属性とか使えたらもっと便利だったけど、残念ながら私に才能はなかった。しかも唯一使える光属性はそこまで強くはないと烙印を押されているのよ。


ちなみに私の王家に引き取られた私の優秀な弟ちゃんは水、火、土、緑、風の自然系の魔法がすべて使える。これはまれな人間であり、大体の人は1つか多くて2つである。たまに3つも聞くけど、5つはうちの弟以外では聞いたことがない。そして数少ない光を持つ姉の私。我が家は凄かったのよ。その中でも弟が一番すごかったけど。


こう言うとうちの弟がどのくらい凄いかということがわかるでしょ。まぁ、優秀すぎたから王家に引き取られたけどね。あれから2年たったけど、弟とは会えていないの。また会いたいな。



そんなわけで、つまりこういうこと魔法は使えないけど剣の腕前はそこそこあるジョゼと、回復魔法は使えるけどポーションよりも効果のない魔法を使うハーニャ。この2人だけで、ウォーレット採掘場の危険地帯に乗り込もうとしているのだ。



確かにこれは自殺しに行ってるんじゃないかと思われてもおかしくないよね。そんな状況の中私たちは採掘場の洞窟の中を歩いていく。



「視覚確保はできているわよ。」


「これに関しては助かる。」



私の光属性の魔法『光玉』で私たちの前を小さな光の玉が灯火となってくれている。光魔法でできることはこれくらいである。松明だけでは見えないところをこの光が暗闇を照らして見せてくれる。残念ながら魔力の限界もあるのでずっと照らすことはできないが道を進めることはできる。


洞窟の中は初めのほうはいろんな冒険者によってモンスターは退治されているのだ比較的安全ではある。しかし、その一方で素材などはあらかた全部取られているので、初めのほうは安全であるがお金にはならない。奥に行けば行くほど危険だが誰も手つかずの素材がたくさんあるのだ。というわけで、私たちも奥を目指していく。私たちが目指しのは洞窟の距離を10個に区切ると4個目の場所である。いわゆる第4エリアである。大体の冒険者が3個目あたりの第3エリアで素材を集め、モンスターを倒すが私たちはその1歩先を行く。この意見に最初はジョゼも反対していたが、最終的に危険を冒さないと大金は得られないとして納得してくれた。


私たちは今、ジョゼの知っているモンスターがあまり出ない道を使って第4エリアに向かっている。



「もうすぐ第4エリアだ。ここから気を引き締めていくぞ。」



私も気を引き締めて、そのエリアに足をつけた。




****************************************




このウォーレット採掘場は5つの洞窟があり、それぞれ、A、B、C、D、Eに分けている。最初に行ったように難易度があるというわけでなく、ただ単に分けているだけだ。そして私たちはAに入った。そこは人が少なく、あまり開拓が進んでいない洞窟なのだ。なぜなら少し危険だからだ。私たちが狙っているヘル・ダイアモンドはB、Eに多く見つかっているがそこは大人気なので大体の素材は取られているのだ。なので安全といえば、B、Eなのだが、そこでは意味がないのだ。誰も立ち入っていない危険なところにお宝はあると私の直感が言っているのだ。というわけであまり開拓でできていないAの洞窟に私たちは入ったのだ。


そしてこのAの洞窟なのだが第3までは比較的楽なのだが第4エリアから急に危険度が上がるのだ。あまり開拓が進んでおらず、足場も悪いし、所々にモンスターはいるし、どこまで続いているか分からない大きな奈落も所々に存在する。かなりの高確率で死んでしまう可能性が高い。だから大抵の冒険者は普段はここのAに行って開拓作業をする人は少ないというのだ。


しかし私たちは危険を冒してまで行く。だってお金が欲しいから。


ウォーレット採掘場の洞窟のことは通称『地獄の入り口』と呼ばれている。確かに地獄なのだ。どこに危険が潜んでいるか分からない。だから慎重にいかなければならない。しかしAの第4エリアはあまり手が付けられていないので素材を集め放題ではある。



「あ、これ鉄鉱石じゃん。やった!初めて見つけた。」



ウォーレット採掘場は資源の宝庫である。手つかずの場所にはたくさんの資源が残されているからだ。私はつるはしを持って鉄鉱石を取る作業を始めた。2人で持てる量は限られているから素早く採取してこの場を去らなくてはならない。音をずっと立てているとここにいるモンスターがつるはしで鉄鉱石を叩く音に近寄ってくるからだ。



「ハーニャ、早くしろよ。モンスターが来てしまうからな。」


「分かっているわよ。でもね、鉄鉱石ってなかなか硬くて採取しづらいんだもの。」



ガーン、ガーン、ガーン


大きな音が出るだけで鉄鉱石を取ることが全然できない。おかしいな。全然取れないんだけど。


ガーン、ガーン、ガーン


もうちょっと待ってね、ジョゼ。このつるはしが悪いのよ。力いっぱいやっても全然取れる気がしないんだもの。おかしいわね、どうしてこんなに全然取れないのかしら。


ガーン、ガーン、ガーン



「お前、いい加減にしろよ!いつまでかかってんだよ!」



ついにジョゼがブチ切れてしまった。ごめん、私もこんなつもりじゃなかったのよ。まさかこんなに力がいるなんて思っていなかったからさ。



「お前、探鉱作業するの初めてか?」


「は、初めてです。」



ごめんなさい。初心者講習なんてここないからさ、つるはしのコツなんて聞いたことなくて。私が平民時代にやっていた作業につるはしを使った作業はなかったからさ。大変なんだよ。



「ちょっと変われ。俺がやるから。」



そう言うとジョゼはつるはしを持ち、鉄鉱石の岩につけると振り上げて、そして勢いよく振り落とした。


ガキーン



岩から鉄鉱石が一気に取れた。さすがはジョゼ手馴れているわ。腰の入れ方も力の入れ方も流石ね。私がそのジョゼのつるはしでの作業姿を見ていると、ジョゼと私の目が合った。



「何やってんだよ。周りの警戒をしろよ。」


「いや、ここはジョゼのつるはしを振る姿を見てコツを覚えようかなと思って。」


「そんなもん、ここを出てから教えてやるから。とりあえず今は周りをな。」



グルルルル……



どこから獣の唸り声が聞こえてきた。これはまさか、もたもたしていたからモンスターが来てしまったのか?洞窟のいたるところからうなり声が聞こえる。そう、ここの洞窟の怖いところはモンスターがたくさんいるということなのだ。戦うなんて論外だから逃げようと少ないが集めた鉄鉱石をリュックに入れて逃げようとした。しかし、



「え?いつの間に。」



逃げようとした私たちの周りはモンスターである『ダークウルフ』達によって囲まれていた。ダークウルフは洞窟に住む黒い体に赤い目をした見るからにわかりやすい怖いモンスターである。1匹、1匹は大したことはないが集団になるとそれは恐ろしい黒の集団になる。このAの第4エリアにあまり人が来ない理由はモンスターの数が異常に多いからである。こんな感じで集団で襲ってくるモンスターが多いの。っで、私の周りは今まさに黒の集団が私の周りを囲んで牽制している。これはまずいな。



「ちっ、なんてこった。これはやばいな。ハーニャ、戦うぞ。」


「えっ、私も。私、戦闘能力に関しては……」


「お前、この洞窟で生き延びた実績を持っているんだろ。だったら何とかなるはずだ!やるぞ!」


「ほ、本当にやるの?」



さっきまで私がジョゼを引っ張っていたはずなのに私、今ジョゼの足を引っ張っていないかな。というか私、モンスターに初めて出会ったのは昨日だけど、昨日は戦っていないのね。逃げていただけだから。



もうこうなったらやけくそよ。ここで逃げているようじゃ、私今後の採掘なんてできるわけないものね。いいわ、やってやるわ。



「かかってこいや!オオカミども!」




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