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不死鳥令嬢は何度も翔ぶ  作者: 辰芝祝
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急な話ですが奴隷になってしまいました(ハーニャの過去 後)


もう抵抗する気もなく、怖いお兄さんたちに両手をつかまれて引きずられて、宿の前に止まっていた馬車の荷台に乗せられました。そしてお兄さんたちも乗って馬車は走っていきました。ちなみに馬車って言っても貴族が乗るような椅子付きじゃなくて家畜を運ぶときに使う、汚れて椅子もない馬車よ。これ振動がダイレクトに来るから嫌なのよ。


………お父様とお母様が犯罪をするわけがないじゃない。私は両親がそうな人か知っている。だから確信している。恐らくお世話になった上級貴族に罪を擦り付けられたんでしょうね。借金で追い詰められているから、与えられる仕事に疑問を持つことができなかったんでしょうね。


私って本当に借金持ちになってしまったんだね。借金を人生ですることはないと思っていたのに。お金を大事に使って節約をしたりしていたのに。どうしてよ~~~~。


はぁ~、なんでこうなるのよ。私の人生、辛すぎない。両親が捕まり、借金が6億円。ばっかじゃないの!どうしろっていうのよ。私が何したっていうのよ、神様!!私は清く正しく美しく過ごしてきましたよ(この2年間はノーカンで)。私の何がいけなかったのよ。神様~~!!私より悪い人間なんてもっといるわよ。貴族時代にいたレベッカなんて性悪の塊だったわよ。いじめ、仲間外れ、悪口などは当たり前。私みたいな下級貴族に対して見下す態度でずっといたよね。あいつはマジでムカつく。ほかにもさ、ミランダみたいに私はできる女なんですよを露骨にアピールしまくってたけど、私知っているのよ。あいつは男に媚びることしかできないのよ。マジでダサいよ。言わなかったけど。後さ、シーラって子はねぇ、ありもしない噂を陰で流す最低な…………(以下略)



そんな感じで私が世の中や神様やムカついた人に対して不平不満罵詈雑言を心の中で吐き続けていると馬車が止まった。馬車の荷台の中は窓がなく、扉も完全に閉められていて、外の景色を楽しむことはできなかった。いや、窓があっても楽しむことはできないけど。で、どこについたの。


外を見てみると、どこかの採掘場だった。どこもかしくも岩だらけであたり一面から煙が出ている。なんだろ、もうこの時点で嫌な予感しかない。



「さぁ、着いたよ。レディーお手をどうぞ。エスコートします。」



さっきの男が荷台から降りようとする私に手を指し伸ばしていた。この野郎!なめやがって!完全にふざけているよ、この人。



「いらないわよ。ふざけてんじゃないわよ。」



私は思いっきり手を払いのけて荷台からジャンプして降りた。



「乱暴で、はしたないね。君は本当に君は昔貴族令嬢だったのかね?」


「やろうと思えばできるわよ。でもあなたに対する礼儀なんてないわよ。突然来て私を拉致するような無礼な人間には無礼で返して何が悪いっていうの?」


「すごいな君は。君の状況を考えると、もっと落ち込んで憔悴しきっていてもおかしくないのに私に減らず口を叩ける根性があるなんて。感服したよ。」


「これでも図太さと根性だけはあるハーニャさんだからね。こんなんで負けるわけにはいかないのよ。さぁ、どこにでも私を連れていきなさいよ。」



別にこれは私が図太いかとか根性があるからというわけじゃなく、ただ単にもう開き直って投げやりになっているだけだ。もう何もできないんならせめてもの抵抗だと思って行動しているだけ。別に考えがあるわけじゃない。



「そうか、そうか。君がここからどうなるのか楽しみだ。さぁ、行くぞ。」



男は悪魔みたいな顔でにやりと笑った。ヤバい、絶対地獄しかないじゃない。私は逃げることもできず、このまま男たちに連れていかれるように採掘場みたいな場所の道を進んでいった。




************************************




私は椅子とテーブルしかない。狭い個室に連れていかれた。私とムカつく男が椅子に向かい合って座り、その周りをさっきから全然しゃべらない刺青だらけの男たちが取り囲む。てか、喋らんのだったら出ていってよ。狭い部屋なんだから、暑苦しくて仕方ない。



「さてと自己紹介がくれたね。私の名前はダリフ・クレッチマーという。ここの採掘場の責任者だ。よろしく頼むよ。」


「ハーニャ・ロックフォード。で、何をするの?ここで?」


「なんでもっと友好的になってくれよ。何か世間話からでも。」


「そんなのどうでもいいわ。あなたと話すくらいなら犬と話したほうがマシよ。」


「犬と話せるのかい。」


「たとえに決まってるじゃない!何本気にしてるのよ。そんなのも分からないの!馬鹿じゃないの!」



私なりの抵抗で嫌なことを相手に言葉でぶつける。すると私の後ろに立っていた。男が私の頭を鷲摑みすると一気に力を入れてきた。



「痛い痛い痛い。やめて!やめて!」


「やめてあげたまえ。レディーに暴力はいけないよ。」



ダリフは少し笑いながら男たちに命令した。この野郎、少しは心配しろよ。私の頭の中身が飛び出してしまうかもしれなかったんだぞ。そして後ろにいるこの男は手加減て言うのを知らないのか?



「うちの部下がすまなかったな。じゃ、話と参りますか?」



流れるように心のこもっていない謝罪をしていきなり、本題の話を始めようとしている。いや、待って急すぎない。心の整理ができていないんだけど。



「君は今日からわが社の奴隷ということだ。よろしく頼むよ。」



急な話に衝撃的な内容!全然話が入ってこんわ!なんで急に私がここの会社の奴隷にならなきゃいけないのよ。



「君の借金の取り立ては私が担当することになってね。6億円を返す算段はうちが建てることになったんだよ。だから僕が行ったことには絶対服従。いいね?」


「あなたの奴隷になるの?嫌だな~。絶対エロいことを命令するんでしょ。」


「エロいこととは?具体的の僕に説明してほしいな。それを実践してあげるから。」


「……なぁ!何馬鹿なこと言ってんの?馬鹿じゃないの!私がそんなこと……。」


「エロいことを考えたってことはそういうことを……。」


「そんなわけない!そんなわけない!馬鹿、馬鹿、馬鹿。いい加減にしてよ。」


「安心してよ。僕はそんなことを命令はしないよ。君の体を見るとそんな気も失せるよ。」


「おい、てめぇ。私の貧乳を馬鹿にしたか。」



私は昔から貧乳には悩まされてきたのよ。いろんなことしたけど結局大きくならなかったし、もう無理だと諦めちゃってるんだよね。でも、こいつに言われるのはめっちゃ腹立つ。後ろの男たちがいなければ殴りかかっていたわよ。



「安心しなよ。本当なら君は体を売らせるつもりだったんだけど、その意見はなかったことになったんだ。」



その言葉を聞いた瞬間、ゾッとした。体を売らせるつもりだったって私にあんなことやこんなことをさせるつもりだったってこと(詳しくは言わないわよ)。なかったことになったって言ったってことは私は体を売らなくて済むってことだ。やった!!



「なぜなら体を売って返せるような金額ではないからね。君の借金は常軌を逸しているからね。普通の方法では返すことはできないよ。だからちょっと変わった方法で返してもらうことにするよ。」



確かに私の借金は現実離れしている。返す方法すら私にはない。でも、どうやって返したらいいの?



「簡単な話だよ。そのためにここの採掘場に呼んだんだよ。ここで一発逆転をするしかない。」


「ここに何かあるの?」


「最近、ここの労働者でいろんな高価なものを掘り当てたりしている。昔の土器だったり、高価な素材だったりとたくさんだ。ものによっては億を超える代物もある。どうだい夢みたいな話だろ。」


「確かに夢みたいな話ね。でもそれは会社の利益になるんじゃない。」


「確かにそうだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()この意味が分かるかい?」


それはつまり高価な素材を多く見つけることができたら借金返済の大きな足掛かりになるということだ。これは願ってもいないチャンスだ。私はこれに賭けるしかない。



「分かったわ。この会社で働かして。やってやるわ。」


「決意が固まったかい?じゃ、ここにサインして。」



ダリフがペンと紙を出してきた。髪をよく見ると大事な契約とかをするときに使う魔法紙を使用している。これにサインすると私はこいつに逆らうことができなくなって絶対服従しないといけなくなるのだ。怖いし、いやだし、やりたくない。でも私にはこれしかないのだ。ここで一発逆転をして私は、私は、私は、


   ()()()()()()()()()



そう決心して私は魔法紙に自分の名前を書いて、自分の親指を少し切ってハンコをした。これで契約成立だ。その瞬間、



「んん。な、何?」


私の首が急に紫の光を出しながら輝きだした。光が収まると、そこには紫色の鉄でできた首輪がそこにはあった。これはまさか奴隷の首輪。



「ちょっとこれ!どういうことよ!」


「ん?何のことかね?この契約書のことだがこれは奴隷契約書だ。これにサインすると私の言うことは絶対服従、異論反論口答え反逆の類は一切許されない奴隷になってしまう契約書だ。」


「待って奴隷契約書なんて聞いていないわ。これは無効よ。契約前の説明をしていないわよ。」


「でも初めに言ったよね。今日から会社の奴隷だって。君を契約奴隷にすることは決まっていたことだよ。……まさか普通に働かしてくれるなんて甘いことを考えていたんじゃないだろうね?」


「待って、こんなの嘘だー!いやだー!奴隷なんて!」



私は頭を抱えた。借金を抱えるだけでなく奴隷にまでされてしまった。奴隷は本来は禁止されているのだが例外がある。それは犯罪者、借金持ちが借金を返すまでの間は奴隷にすることがこの国では許されている。つまり、今回の場合は後者だ。でも、奴隷にされるなんて思いもしなかった。ただの採用の契約書かと思ってた。



「さて君は今日から会社の奴隷だよ。借金のために死ぬ気で働いてね。私に反抗的な態度を見せると全身を激しい痛みが襲うから気を付けてね。後、この首輪をつけたまま勝手に採掘場の外に出ると、爆発するよ。」



最後にとんでもないこと言いやがった。痛みが襲う。爆発する。なんでもいいよ。私は借金を返して成り上がってあんたに絶対復習してやるよ。


今に見てみろ、ダリフ!



次回から本格的に始まります。よろしくお願いします。

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