プロローグ
初めまして、よろしくお願いします。
「もう、どうしてこんな目ばっかりに合うのよ。」
私は絶叫するしかなかった。魔獣ばかりが出る危険な洞窟に入って、もう2時間が経過したけど、何の成果もない。お金になりそうなものが全然見つからないのだ。このままでは、今日もひもじい思いをしてしまう。
「落ち着け、ハーニャ。こんなところで叫んだら、魔獣が寄ってきてしまうだろうが。」
「これが落ち着けると思うの、ジョゼ。危険な目に一杯あってきたのに、成果が全然ないのよ。この2時間何だったのよ。魔獣に追われたり、奈落に落ちそうになったりと命がいくつあっても足りないわよ。そして現段階で稼ぎはゼロ。これで落ち着けというほうが無理な話よ。」
私は現在、魔物がたくさん出る洞窟で探索をしている。魔物は危険だから相手にはしない。そもそも討伐したところであまりお金にならないから相手をするよりお金になる素材を集めたほうがいいのだがそもそもお金になる素材が一向に見つからないのだ。
「全然だめね。このままでは稼ぎゼロで終わってしまうわよ。」
「ここは『地獄の入り口』って呼ばれているからな。俺たちに対して地獄のような世界だからな。そんな簡単にいくわけはないよな。お金になるものがそもそもここにほとんどないからな。」
「鉄鉱石をちびちび集めたって雀の涙ほどのお金にしかならないのよ。ここで一発大きいのを掘り当てないと私たちの借金6億1500万ゼルスが返せないのよ。」
「そのうち6億がお前の借金だけどな。」
「うるさいわよ。一緒に借金返すって約束したじゃない。だから逃げるのは許さないわよ。」
私は訳あって6億の借金を抱えている。そしてその借金を同じく借金もちであるジョゼ・ディラショーと一緒に返済するために日々頑張っているのだ。こんな億を超える借金を返すなんて言うのは並大抵の方法では返すことができない。だからこれはもう一発逆転にかけるしかないのだ。そこで私たちがこの危険な洞窟に来てまで探しているのは、
「”ヘル・ダイアモンド(地獄のダイアモンド)”だったか?そんなおとぎ話にしか出てこないようなお宝がここにあるんか?」
「あるのかじゃなくてあってなきゃいけないのよ。こんな危険な目にもう今日で2週間あっているのよ。しかも、日に日にひどくなってきているのよ。今まで死んでいないのが奇跡なのよ。早くしないと本当に死んでしまうわよ。」
「でもどこにあるのか不確かなものを探せっていうのも地獄だぞ。今のところ誰も見つけていないのだから。ないものを探すっていうのは結構地獄なんだぜ。」
「日常生活が貧乏地獄なんだから大丈夫でしょ。私は地獄には慣れているわよ。さっさと探すわよ。今日こそ借金地獄から抜け出すわよ。そしてあの野郎に目にもの見せてやるんだから。」
自己紹介が遅れました。私の名前はハーニャ・ロックフォード。17歳です。訳あって6億の借金を抱えた元下級貴族の令嬢です。私は華やかな貴族生活から一転して借金地獄に陥り、今は返済のために命を懸けています。だって6億よ。私の命一つですら返せない金額よ。どうしろっていうのよ。
そして私と行動を共にしている彼がジョゼ・ディラショー。18歳。貧しい家柄に生まれて今1500万の借金を抱えている剣士。私とともに借金返済のために頑張っている。
ここで皆さんいろいろ疑問に思ったはずだ。なぜこんなに常識離れした借金があるのか?そしてなぜこんなところでこんな目にあっているのか?などいろいろあると思う。それを説明するためには今から2年前の話になる。私が花よ蝶よと育てられた令嬢時代にさかのぼることになる。
ここから先の話はハンカチなしでは読んでいられないから覚悟してね。