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悪徳女王の心得  作者: 澪亜
第二章
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女王は癒しを求めた

何処までも広がる、深い闇。

どんどんその闇に私が侵食されて、境が曖昧になって……私という存在が無くなりそう。



そんな状況に、恐怖して。

逃げたい……逃げたいと素直に自分の思いを叫んだ瞬間、誰かの手が私を掴んだ気がした。


そして、目が覚めた。

震える手で支えながら、体を起こす。



……未だ、怠い。

けれども意識を飛ばす前よりも、随分と楽になった気がする。


私は体の調子を確かめながら立ち上がり、真っ赤に染まった手を湿らせた布で清めた。


「誰か……」


「……お呼びでしょうか、ルクセリア様」


「あら、フリージア。アリシアは?」


「ルクセリア様がそろそろお目覚めになるだろうからって、お茶を準備しに行きました」


「ふふふ……それは楽しみね。私は、どれぐらい眠っていた?」


「ほんの一刻ほど」


「そう……『フリージア。この布を、誰にも見つからないように廃棄しておいて。その後に』アリシアをこの部屋に呼んで」 


「承知致しました」


私が渡した布を隠すように持った彼女を見届け、再びカウチに座ってアリシアの到着を待つことにした。


「ルクセリア様、お待たせ致しました!」


「あら、この甘い匂いは……今日のお茶は貴女のデザート付きかしら?」


「ええ、そうです。お疲れかと思いましたので軽めのもの……と、体を動かされたので重めのものと二種類準備致しました。ルクセリア様、どうされますか?」


「ふふふ……なら、どちらも」


「はい、どちらもですね。……って、ええ?どちらもですか?」


「ええ、そう。アリシアのデザートを逃す手はないもの。それで?軽めのものと重めのものは、それぞれどんなメニューなのかしら?」


「軽めのものは、ベルルのムースを作成しました。重めのものは、以前ルクセリア様が『タルトタタン』と名付けたケーキを準備致しました」


「まあ、素敵!有難う、アリシア」


淹れて貰ったお茶を飲みながら、ムースとタルトタタンを食べ始める。


「美味しい!また腕を上げたわね」


彼女の作ったそれらを、夢中で頬張る。


……ああ、美味しい。


やっぱり、疲れたときにはアリシアの甘いものに限る。

あっという間に食べ尽くした私は、最後にもう一度彼女にお茶を淹れて貰った。


「さて……何時までも休んでいては、皆に悪いわね」


そして私は自室の外に控えていた護衛騎士を連れ、執務室に向かう。


「お疲れ様です、ルクセリア様。十分に休めましたか?」


席に着いて暫くしたところで、アーロン、ゴドフリーそれからトミーとギルバートが部屋に入って来た。


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