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悪徳女王の心得  作者: 澪亜
第二章
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団長は、突入する

そうして迎えた、運命の日。


「……それにしても、魔法とは便利なものだな。ゴドフリー」


辺りを見回しながら、隣に立つ人物に向かって呟く。


「あれ?確かアーロンさんも魔力を持ってますよね?」


私たちがいるのは、ベックフォード侯爵家の前。


「まあ、な。とは言え、そんなに多くはないぞ?」


ゴドフリーの問いかけに苦笑しつつ、答えた。


「移動魔法も凄いが、魔法を強化できるルクセリア様の価値は計り知れない」


「あの方と比べてはダメですよ。魔力は莫大、オマケに強力な宝剣まで付いているんですから。正直、今回の作戦が『取り逃がさずに捕まえる』という目標ではなく『殲滅する』であれば、あの方が一人いれば十分です」


「それほどか」


「陛下のお力をご存知ないのですか?」


「私は婚礼式に出ていなかったからな。それに、魔法のことは門外漢だ」


「ああ……そういうことですか。凄まじ過ぎて、最早神々しいですよ。陛下の魔力は」


一瞬、沈黙がその場を包む。


「……さて、そろそろ仕事の時間ですね」


ゴドフリーが地面に手を当てると、瞬く間に土でできた高い壁が屋敷を取り囲んだ。


「ゴドフリー殿の魔法は確か……『改変』だったか?」


「ええ、そうですよ。今のように物質の形を変えたり、氷から水蒸気に変えたり等々物質の状態を変えたりできます」


「本当に便利な力だ。お陰で、こちらは随分楽をさせて貰えるだろう。……さて、全員突入しろ!」


私の号令に、控えていた国軍兵や魔法師団が一斉に走り出す。

途中出会したベックフォード侯爵家の私兵たちを、容赦無く捕らえながら。


「急げ、急げ! 目標を逃すなよ!」


隊員たちの後ろから、撃を飛ばす。


「……アーロン殿。こう言っては難ですが……思った以上に、敵の抵抗が少ないですね」


私の横に佇んでいたゴドフリーが、遠慮がちに呟いた。


「敵を過小評価し油断することは良くないですが、確かに仰る通りです。本隊は当主やカールの守りについているのか、あるいは……」


言葉を区切り、考えに没頭するために一瞬目線を上げた。


「否、今は考えている暇はない、か。……急ぎましょう」


「ええ……そうですね。それでは、失礼致します」


「ご武運を」


「アーロン殿こそ」


ゴドフリーが、私と別れて走り出した。

他の隊も、作戦通り散って行った。


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