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悪徳女王の心得  作者: 澪亜
第二章
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女王は問う

「……何で、言ってくれなかったの?」


いつものように、私はヴィルヘルムを匿っている隠し部屋にいた。

……当然私のその疑問に、彼が答えることはできない。


「貴方が、私の憎悪に気が付いていたなんて……思いもしなかった。破滅覚悟で、私のことを助けてくれていたなんて……知らなかった」


どれだけ、苦しかっただろう。

やがて私に殺されると分かっていて、それでも彼は私を助けてくれた。

自分と血が繋がる一族の死を知りながら、それでも彼は何も言わなかった。


弱音も、不満も、何も漏らさなかった。

どれだけ、辛かっただろう。


ポタリと、涙が頬を伝った。

ダメだ、泣くな。泣くのは、卑怯だ。


「……もう少しで、終わるから。後少しで、貴方は自由よ」


他に、何も貴方にはあげられるものはない。

与えられた恩に報いることも、できないのだけれども。


「……アーロンに、言われたの。独りで、進むなと。駄目ね、幕に手をかけてから、焦って一人空回ってたみたい。これからは、ゴドフリーとアーロンに協力して貰うわ。エトワールの皆も、手伝ってくれることになった。段々と、仲間が増えてきた気がする。私がいなくなった後も国政が回るように、体制も整ってきた。……これで、ちゃんと終われる」


私にできることは、復讐劇をやり遂げること。

自分で幕を開いたのだ……幕を引くまで、やり遂げなければならない。


そうでしか、彼への感謝を示す方法がない。

それ以外、私には分からなかった。


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