「いま」あつめ
カメラを持って歩いていると
いろんな「いま」に出会うんだ
コンクリートの上に枯れた四葉のクローバー
その隣で三つ葉たちは知らぬ顔して風に揺れていた
多数派と少数派
そんな「いま」を写真に撮った
クリーニング店の裏の錆びた物干し竿
そこに寂しげに残された雑巾はすっかり朽ち果てていた
錆びと寂
そんな「いま」を写真に撮った
あの時死んでしまった同級生
お葬式では泣いていたあの子たちも、今ではそれを思い出話にして笑い合う
あの時と今
そんな「いま」を写真に撮った
大雪が降った朝のお散歩
白くて綺麗な世界を、灰色の足跡で汚しながら歩いた
綺麗と汚い
そんな「いま」を写真に撮った
その上を歩くたび水が跳ねるから水たまりが嫌いだった
だけど、そこに反射して映る夕焼けは好きだった
好きと嫌い
そんな「いま」を写真に撮った
カメラを持って歩いていると
いろんな「いま」に出会ったんだ
そうして集まった「いま」たちを
今、こうして一つにして
「いま」あつめ
そう名付けた