00;10
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10分が経った。
何も連絡なし。
(一応彼氏なら、メールくらいくれてもいいのに…これは本格的に…)
「振られ…」
ピンポーン
(え、誰?まさか…!)
嬉しい!亮介がこんなことしてくれるなんて…!
胸の高まりを一生懸命抑えながら玄関の前に立つ。
「よし」
カチャッ
ドアを開け…ようとした瞬間
ガチャ
「おめでとう!!愛梨」
「ありが…と、って、え??」
「来てあげたよ、お友達様が」
(え?あれ?亮介じゃなくて…ちなみ?)
「どうしたの??ちなみ?」
「寂しいだろうと思ってさ、最近彼氏さんと会ってないって言ってたし、
誕生日ぐらい1人はかわいそうだなーって、ははは!」
「あ、ははは…」
(嬉しいけど、泣きそう。期待したから悲しさ倍増だよー、ちなみー!)
とはいっても大切な友達がわざわざ来てくれたんだからと、部屋に入れる。
「いろいろ買ってきたよー、じゃーん」
と目の前には、発泡酒が…
「わーありがとう」
誕生日に発泡酒。ビール好きだから嬉しいけど、女子力…
「誕生日おめでとう、愛梨!!パチパチー」
「ちょっと拍手は口じゃなくて手でするもんでしょ?」
「だって両手ふさがってるんだもん」
「ほん、と、祝いに来たとは思えないわ、くくっ」
あたしたちはそれから1時間ケラケラと笑いながら、発泡酒とおつまみとコンビニケーキを食べながら語り合った。