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死んでないおれの不確定な死亡説  作者: 提灯鮟鱇
序章 現実と非現実
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プロローグ:羨ましくない特異体質

 突然だがみんなに聞いてほしい。


 『おれは特異体質だ』



 さて。

 みんなはこの言葉を聞いてどう思っただろうか?


 はいはい、チートね。

 とか。


 もったいなぶんないで早く言え。

 とか。


 自分で特異体質とか雑魚キャラの厨二だな。

 とか。


 おそらく誰もが、ラノベにありがちな体質だと思って、距離を置いて傍観しているだろう。


 でも……

 もしも、あなたの周りにこんな事を言い出すヤツがいたとしたら?

 そしてそいつが、本当に何かしらの特異体質だったとしたら?

 あなたはそいつをどう思う?


 そもそも特異体質ってなんだろう。

 漫画や映画、ゲームなんかの中では特異体質なんていうヤツは腐るほどいる。


 体の表面が岩のように固かったり。

 コンクリートも簡単に叩き割る怪力だったり。

 生まれつき他人の考えてる事がわかってしまったり。

 目を凝らす事によって、なんでも見えてしまったり。


 例えをあげるときりがないが、みんなが考えてる特異体質ってのは、大体こんな感じだろうか。


 それでは、もう一度言わせてもらおう。


 おれは特異体質だ。



 どうだ?

 少しくどかったか。

 でも、その通りなのだから仕方がないじゃないか。

 おれは特殊体質なのだから。


 どういう風に特殊なのかって?

 

 もちろん教えるが、その前に一つ。

 チートとか、めっちゃ強い系の能力を期待してしまった人には本当に申し訳ない。

 あんなに引っ張って自分でハードルを高くしてしまったのに、本当に大した事ないんだ。

 期待しないで聞いてほしい。


 おれの特異性。

 他の人間と違う点。



 それは、『一度寝たら起きない』こと。


 …………ほら?


 言っただろ?

 たいした事ないって。


 かっこいい特異体質じゃなくて悪かったな。

 おれだってかっこいい方が良いさ!

 自分でもかなりうんざりしてるんだ。

 誰得だよ、まったく。


 おれの体質について「そんなのおれだって寝たら起きないぞ」とか思ってる諸君もいるだろうと思う。

 でも、決定的に違うのは一人では起きれない事。

 誰かが起こしてくれれば起きれる。

 何かしらの外的刺激があれば目が覚める。


 そう。

 一人では起きれない。

 自己覚醒ってやつがないんだ。


 君たちはどんなに長い間寝たって、二十四時間ぶっ続けで寝る事は出来ないと思う。

 寝てる最中にトイレにも立つだろう。


 だがおれは違う。

 二十四時間でも三十六時間でも四十八時間でも関係ない。


 両親が旅行に行った時、目覚ましをし忘れて三日間眠り続けた事もある。

 飲まず食わず、ずっと寝続けても全く問題ない。

 試した事はないが、おそらく一週間寝続けても平気だろう。


 まるでおれの中の時間が止まってしまうような感じだ。

 死んだみたいに時が止まるんだ。

 不注意で昼寝なんてしてしまったら、次の日の朝のアラームの鳴るまで起きないし。

 まず自然に起きれることなんて全く無い。

 外的刺激がなければ。


 さて、全く羨ましくない特異体質のおれだが、こんなおれにも二十四歳にして想像を絶する体験をしてしまう。

 今日はみんなに、その話を綴っていこう。


 事の始まりは、ある年のゴールデンウィークまで遡る……


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