千年目のニート+千年ぶりの会話
「寂しかったのだなぁ」
「寂しかった……ってそうです!ここはいったいどこなのでしょうか?」
彼女は突如現れたがやはり何か事情を知っているとかではなく、ただ単に私と同じようにこの部屋に強制的につれてこられただけらしい。とりあえず話をするために必死で涙を抑え込む。
「私にもわからん。ただここはどこって感じで表せるようなところではないと思うがな。」
「ここはどこ?あなたは誰?」
「そのネタはいくら私でも知っているぞ。記憶は失っていないだろうが。」
厳密にいうとちょっと違うがな。そんなことより私は今すごく感動している。なぜならば今私がやったのはツッコミという話を円滑に進めるために行う高等技術だからだ。千年も人と会わずまともに会話できるか心配だったがどうやらそれは杞憂に終わったらしい。地道に研究していたかいがあった。
「さっきのは少しふざけていましたが聞きたいことは同じです。あなたは誰ですか、いやもしかしてあなたが私をここに連れてきたんですか?」
彼女は私に敵意と警戒の目を向けてくる。端正な顔をしているのでそんな顔も凛々しくついつい見とれてしまう。がそれも一瞬で私は返答をする。
「いや違う誤解だ、私も君と同じでここにいきなり連れられてきたのだ。というかいきなりこんなところに突然連れてこられてふざけられる精神に脱帽するぞ。私はもっと狼狽していた気がするがな」
「はっきりと覚えてないんですか?」
「そりゃ、人間の脳は千年前のことも記憶できるほどよくできてはいないからな。」
「せ、せ千年ですか!それって平安時代じゃないですか。」
「ああ、この私が生まれてきた時代は馬車しか走っていなかった。」
「どこかの吸血鬼ですかあなたは、というか馬車すら走っていなかったんじゃないんですか?」
そんなの千年よりもさらに前のことを私に聞かれてもな。もう全く思い出せない。今のサブカルチャーを知るほうが私には大事だ。
「私は歴史のことなど詳しくないのだ」
「今の発言にはあなたの他に違うこの世界ではない人の本音を感じますがね。」
「この世界ではない?私たちをこの世界に連れてきたやつのことか?」
「いやまあ違うんですけど、そこらへんについても話をしたいところですから。それでいいです。」
少し腑に落ちないが、まあいいというならいいのだろう。
「だが黒幕についてというならもう私が百年分ぐらい考えたぞ、そっから先はもう無駄だと思ってやめたがな。
「まあそれでも古い考え方を捨てて、新しい風を入れたら何か変わるかもしれないでしょう?あなたの考え方は古いというかもう化石レベルでしょう。」
この女、大和撫子なのは外見だけか。
「なんか白だけで殺風景ですね。他に何かないんですかここ?」
「出そうと思ったら生き物以外なんでも出る。ただし時間限定だがな」
「なるほど、じゃあ会議室みたいな机でも出しましょうかね雰囲気づくりのために。でもその前に。」
彼女は改めて私の体をまじまじと頭の上から踵の先まで見つめると少し顔をしかめて。
「お風呂に入りましょうか、失礼ですががあなた臭いです。」
「……御意」
……サービスタイム開始
キャラがあんまり定まらない。段々と修正していく予定です。感想はどんなことでも励みにしますのでなんでもどうぞ。