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ワンシーン  作者: 斗瀬
7/10

錫杖の音

ちょっと怖いと感じた体験を、文章を久し振りに書く練習として書かせていただきます。

 それは、私がまだ小学校低学年のころ、上の二人の姉と布団を並べて寝ていたころの話です。隣の部屋にはフスマを開けたままで両親が寝ていて、子供が安心して眠るには十分な環境でした。

 寝つきが悪い私は、いつも家族の寝息を聞きながら、ぼーっと天井を見ている時間があり、その音はそうした夜に聞こえてきました。


 カツッ


 シャラン


 カツッ


 シャラン


 音はとても近く、頭上の窓の、すぐ外から聞こえてきます。


 カツッ


 シャラン


 カツッ


 シャラン


 行ったり来たりするその音は、決して私の頭上から離れていきません。私は布団をかぶることもできずに固まります。


 カツッ


 シャラン


 カツッ


 シャラン


 音から、イメージが湧いてきます。三蔵法師のような白い法衣、そして金の輪の沢山ついた錫杖の姿。


 外の何かはそれで地面を突き続けていて、私は怖がりながらも眠りにつく、そうしたことが何度かありました。


 ですが、怖い以外に害はなく、大人になり引っ越しをすれば、その音が聞こえてくることも無くなりました。


 聞こえなくなったと思っていました。



 去年でしょうか?



 カツッ


 シャラン



 この音がまた聞こえたのは



 カツッ


 シャラン



 昔は一階に住んでいましたが、今は二階に住んでいるからでしょうか?音は昔よりも少し遠くに聞こえました。


 カツッ


 シャラン


 カツッ


 シャラン


 カツッ


 シャラン


 カツッ


 シャラン……


 音はしばらくとどまり、やがて消えていきました。

実話なので続きはありません。

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