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ワンシーン  作者: 斗瀬
3/10

十月二十五日

 13/03/28弱修正。

 ――――ピピピピピピピッ


 朝の微睡みの中、聞こえてきたうるさい音の元凶へ手を伸ばし、俺は目覚ましを止めた。


 また、今日が始まるのか……。


 変化のない退屈な一日の始まりに、朝っぱらからため息が出る。せめて今日が給料日なら、少しはテンションも違っただろうが、あいにく給料が入るのは明日で、今日は十月二十四日の特に何もない平凡な日なのだ。


「今日は会社をサボっちまおうか?」


 一人暮らしを始めてからすっかり癖になった独り言をつぶやき、携帯を取る。そしてその携帯に表示された日付を見て、俺は目を丸くした。


「十月二十五日、だと?」


 何度目を擦り確認しても、携帯の表示は変わらず二十五日を表示している。まさか……、まさかそんなはずはない。あってたまるものか。

 俺は顔を手で覆い、”昨日”の二十四日を思い出す。


 朝、会社に向かう電車で、同僚で一番可愛いと言われている女性に性的な嫌がらせをし軽蔑された。会社についてすぐ、部長に「おはよう禿デブ部長」と挨拶した。

 昼は重要な会議を無断でサボり、重要書類を全部紙飛行機に変え、そのまま勝手に会社から帰宅、給料日前のなけなしの金で性病でもうつりそうな安いソープで遊び、夜は適当な店で食い逃げをした。


「よりによってなんで昨日の二十四日が最後なんだ!」


 俺は近所迷惑も気にせず叫ぶ。だってあんまりじゃあないか! 俺だって”始め”の頃の二十四日は真面目に仕事をしていたよ! でも、いくら朝起きて夜寝ても一向に二十五日はこないで二十四日を繰り返していたんだ! 誰だって弾けてくるはずだ!


 そう、俺はつい昨日まで所謂時間逆行というものに遭っていた。給料日前の二十四日が繰り返されること約三百回、その間より良い二十四日を過ごそうとしたり、堪え切れず会社を休んで遊びほうけたり、一日寝ていたりしていたり、逆行の理由を探ろうとしたりしていたのだが、三百も同じ一日を繰り返せば当然やることは大胆になっていくものだ。どうせまた二十四日になるんだからと、そう思った故に俺は昨日の愚行を行ったのだ。……なのに……。


「……これから、どうすればいいんだ」


 願わくば、もう一度二十四日に戻りたい。


 社会人の平凡な一日がひたすら繰り返されるというのは、拷問に近い気がします。何回働いても給料が出ない……。涙が出てきますね!

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