別れ
13/03/28修正。
この作品はひねりもなく、本当に文章の練習といった感じです。表現の仕方など注意やアドバイスを下さると嬉しいです。
太陽の日差しが暖かく大地を照らす日曜の昼下がり、公園のベンチに一組の男女が座っていた。辺りには子供たちのはしゃぐ声が響いているというのに、そのベンチだけは他から切り離されたかのように、重く静まり帰っていた。
「もう、終わりにしよう」
そう切りだしたのは男の方だ。ニットの長い袖をまとった自分の右腕を左手で掴み、自分の前に囲いを作った男は、すぐ隣にいる女と視線を合わせないように顔を右側を背けてる。対して女は顔を俯かせて、ピシリと閉じた膝の上でレース付きのスカートをギュッと握りしめていた。
女はそのまま、震える声で男に問う。
「な、んで……? あたし、何か悪い事したかな……」
男は黙り込み、一度深くため息を付き、首を振った。
「君は悪くない。君は……」
ならばなんだというのか? 女もそう思ったのだろう。俯いていた顔を上げ、今にも涙がこぼれ落ちそうな目を吊り上げて男を見る。
「じゃあ、何!? どうして別れるなんて言うのよ! 意味わかんない!」
怒鳴るように放たれた言葉に男は一瞬女の方を向こうとする。だが、その途中でピシリと顔を止めて目を見開くと、すぐにまた顔を逸らした。
「ごめん、俺にはこれ以上君とやっていく自信がないんだ! もう、もう耐えられないんだよ!! さようなら!」
男はそう言うと制止しようとする女を振り切って立ち上がり、その場から走り去ってしまった。女は、ただ、茫然と男の背中が消えて行った場所を見ている。制止のために上げられた腕は、虚しくも空を掴んだまま止まっていた。
そんな女に一人の青年が近づく。黒いコートを着た青年は女よりも四・五歳上だろうか? 落ち着きのある大人の男といった雰囲気だった。
「こんなところで何をやっているんだ?」
「お兄ちゃん……」
青年に話しかけられてようやく、女は上げていた腕を降ろした。それが合図のようになって、女の中で止まっていた感情が溢れ出し、涙となって零れ落ちる。
「あたし……、あたしっ、またっ……うぁああああああん!!」
女は青年の胸にしがみ付いて大きな声で泣いた。女の言葉は最後までは紡がれなかったが、青年には何が起こったのか解ったのだろう。青年は女の肩を優しく抱きしめると、温かな声色で慰めの言葉を放つ。
「そうか、悲しかったな……、今は存分に泣けばいい。兄ちゃんの胸くらいいくらでも貸すからな」
その日、公園には暫く女の泣く声が響き渡った。
女は知らない。青年が出てきた場所は、男が一度女に向き合おうとしたときにピシリと視線を固まらせた場所であったことを……。
すべてはシスコンのせい……。
読んで下さりありがとうございました。