待ちに待った食べ放題デート
キィィン、コォォン……!
初夏の空に高く響き渡ったその鐘の音は、ミリス魔法学園の全生徒にとって、まさに天国から鳴り響く天使のファンファーレだった。
一週間に及ぶ、長く、苦しく、血を吐くような『学年末試験』の全日程が、今この瞬間、終了したのだ。
「――お、終わったぁぁぁぁぁっ!!」
3組の教室。
試験監督の教師が解答用紙を回収して教室を出て行った瞬間、私は両腕を天井に向かって高々と突き上げ、そのままの勢いで机にバンッ! と突っ伏した。
脳味噌が、完全に空っぽだ。絞りカスの一滴すら残っていない。
この数日間、私の頭の中は魔法陣の数式と歴史の年号で満たされ、もはや「マンドラゴラ」という単語を聞いただけで吐き気を催すレベルにまで達していた。
「よっしゃああああっ! 解放だぜ!!」
前の席で、アイクが椅子をガタンと蹴って立ち上がり、思い切り背伸びをした。
「いやー、座学の筆記試験はマジで何書いてるか分かんなくて吐きそうだったけど、昨日の『実技試験』は最高だったな! 王宮の騎士団長直伝の剣術と身体強化魔法のコンボで、教官のゴーレムを一撃粉砕してやったぜ!」
「アイク君……実技で満点を取っても、座学が赤点スレスレなら総合評価は下から数えた方が早いですよ……」
アイクの豪快な自慢話に、隣の席からセドリックがどんよりとした声でツッコミを入れた。
彼の丸眼鏡の奥の目は、この世の終わりのように暗く沈んでいる。
「僕は……今回も座学の筆記試験は完璧だったはずです。全教科満点の自信があります。……ですが、今日の実技試験の『魔法的当て』で、緊張のあまり杖をすっぽ抜かしてしまい……教官の頭に水球をクリーンヒットさせて、大幅減点されました……っ!」
「あははっ! お前、相変わらず極端だな! 座学トップの実技ドン底って、俺と真逆じゃねえか!」
「あなたたち男子は、本当に不器用なのね」
アイリスが、手鏡を取り出して乱れた前髪を整えながら、優雅に溜息をついた。
「座学も実技も、要はバランスよ。私はどれも上位20%に入るように、そつなく力を配分したわ。これが一番賢くて、疲れない生き方というものよ」
「ううっ、流石アイリス。要領の良さが憎い……」
私は机に張り付いたまま、恨めしそうにアイリスを見上げた。
トップクラスの座学とドジな実技のセドリック。圧倒的実技と脳筋座学のアイク。そして、すべてを器用に平均以上でこなすアイリス。
「で? マリー、あんたはどうだったのよ。あんなに血走った目で徹夜してたけど」
「ふふふ……聞いて驚け」
私は、重い頭をゆっくりと持ち上げ、ドヤ顔で言い放った。
「私の自己採点によれば……全教科、赤点ラインを『プラス2点』で回避という、奇跡の低空飛行を成し遂げたはずだ!!」
「……威張ることじゃないわよ、それ」
「いや、マリーにしちゃ大健闘だろ! まあ、あいつの地獄の特訓の成果だな。……で、これからどうすんだ? 王都のカフェで甘いもんでも食って打ち上げするか?」
アイクの誘いに、私はグッと親指を立ててみせた。
「ごめん、私はパス! これから図書室で、エラルドに最後の科目の答え合わせをしてもらう約束なんだ。それクリアしたら、退学回避の確定だからね!」
「ああ、なるほどな。じゃあ俺たちは先に行ってるぜ。健闘を祈る!」
仲間たちと別れ、私はカバンをひっつかむと、夕暮れが近づく学園の廊下を中央図書室へと向かって駆け出した。
* * *
静寂に包まれた、夕暮れの中央図書室。
歴史学のコーナーの奥、一番日当たりの良い窓際の閲覧席に、エラルドはすでに座って待っていた。
「遅いよ、マリー」
「ごめん! はい、これ私の解答のメモ! お願い、採点して!」
私は勢いよく彼の前の席に座り込み、走り書きした羊皮紙をバンッと突き出した。
周囲に人がいないことを確認しつつも、彼はあくまで涼やかな『氷の貴公子』の表情を崩さないまま、私のメモを受け取った。
「……相変わらず、象が踏みつけたような字だね。まあいい、少し待っていて」
エラルドが、赤インクの羽ペンを手に取り、私の解答と照らし合わせ始める。
カリカリ、という心地よいペンの音が、静かな図書室に響く。
窓から差し込む西日が、古い本たちのカビ臭くてインクの混じった匂いを温め、ふわりと私の鼻腔をくすぐった。
(あ……やばい)
極度の緊張とプレッシャーから解放された瞬間。
私の身体の奥底から、この数日間の徹夜と酷使によって溜まりに溜まった『疲労』と『強烈な睡魔』が、巨大な波となって押し寄せてきた。
エラルドが目の前で私のために採点してくれているというのに、重力に逆らえなくなった瞼が、カクン、カクンと落ちていく。
(ちょっとだけ……目を、つぶるだけ……)
私は、冷たいオーク材の机にペタンと額をつけ、そのまま抗いがたい泥のような眠りへと引きずり込まれていった。
* * *
「んむ……もぐもぐ……屋台の串焼き、あと三本……」
口いっぱいに広がる、甘辛い特製ダレの味。
夢の中で私は、顔の大きさほどもある巨大な豚バラの串焼きに齧り付いていた。あと三本はいける。いや、お肉の次は甘いクレープだ。
「ふふっ。夢の中でも食べているのかい? 食い意地ばかり張って……全く、君という人は」
ふいに。
ひどく低くて、耳の奥がくすぐったくなるような甘い声が降ってきた。
私の肩に、ふわりと温かくて重たい布が掛けられる。シダーウッドの落ち着く匂いがした。
「……んん、エラるど……? 試験、終わっ……た?」
私は、重い瞼をこすりながら、ゆっくりと顔を上げた。
夕焼けに赤く染まった図書室。私の肩には、エラルドの制服のジャケットが丁寧に掛けられていた。
彼は、私の顔を覗き込むように身を屈め、その綺麗な長い指先で、私の口元をそっと拭ってくれた。おそらく、夢の中で串焼きを食べていた私のヨダレを拭き取ってくれたのだろう。
そのサファイアの瞳は、学園の他の誰も知らない、私だけに向けてくれる、とろけるように甘くて深い色をしていた。
「ああ。君の解答用紙、完璧だったよ。約束通り、これから王都の屋台を全部買い占めに行こうか。……ほら、おいで」
その言葉を聞いた瞬間。
私の脳内から、眠気も疲労も完全に吹き飛んだ。
「わぁっ! 行く!!」
私は勢いよく顔を上げ、椅子から立ち上がるなり、満面の笑みでエラルドの首にガバッと抱きついた。
赤点回避! そして、夢の屋台買い占めデート!!
「おっと……」
エラルドは、私が勢いよく飛びついた衝撃をその分厚い胸板でしっかりと受け止め、嬉しそうに私の腰を抱き寄せて軽々と抱き上げてくれた。
彼の顔が近づき、私の茶色の髪に、チュッ、と優しく、愛おしむような口づけが落とされる。
「本当に、よく頑張ったね。……さあ、一度公爵邸に戻ろう。学園の制服のままでは、君が思い切り串焼きのタレをこぼせないからね」
「こぼさないもん! ……たぶん!」
私は、エラルドの首にしがみついたまま、えへへとだらしなく笑った。
周囲に誰もいない図書室の奥。ここには、彼を崇拝する令嬢たちの視線も、身分の壁も存在しない。
ただ、大好きなご飯と、大好きな幼馴染が私のすべてを満たしてくれている。
私たちは、足音を忍ばせて夕暮れの図書室を抜け出し、秘密の抜け道を通ってアルバーン公爵邸へと向かった。
赤く染まる王都の空の下、私のお腹が「ぐきゅるるるっ!」と盛大な雄叫びを上げ、エラルドが肩を震わせて可笑しそうに笑う。
長く苦しかった試験期間は終わり、いよいよ待ちに待った、甘くて最高に美味しい『ご褒美の夜』が始まろうとしていた。
* * *
アルバーン公爵邸での着替えを終えた私は、エラルドに手を引かれ、夕闇が降り始めた王都の商業区へと足を踏み入れた。
初夏の夜風が吹き抜ける大通りは、年に一度の『魔法祭』を2週間ほど後のことなのだが、前にした、前夜祭のような熱気に包まれていた。
道の両脇には、オレンジ色の魔力ランタンがずらりと吊るされ、どこまでも続く光の海を作っている。ジュージューと肉の脂が焦げる暴力的な匂い、香辛料のツンとした香り、そして焦がし砂糖の甘い匂い。
「おおおおおっ……! 天国だ! ここは天国だよエラルド!!」
私は、メイド長のベアトリスさんに無理やり着せられた『淡い水色のサマードレス(エラルドの瞳と同じ色だという理由で選ばれた)』の裾を翻し、歓喜の雄叫びを上げた。
視界の端から端まで、すべてが食べ物の屋台なのだ。一週間の地獄の試験勉強を乗り越えた私の胃袋は、すでにブラックホールへと進化を遂げている。
「ふふっ。そんなに跳ねたら、せっかくベアトリスが結ってくれた髪が解けてしまうよ。……それにしても」
エラルドは、私の手首をそっと引き寄せて自分の隣に立たせると、そのサファイアの瞳を細めて、私の頭から爪先までをねっとりと、そしてひどく甘い視線で舐め回すように見つめた。
「……本当に、よく似合っているよ。」
「さらっと褒めた!? 早く串焼き食べにいこーよー!」
「ははっ、約束通り、君の胃袋の限界まで付き合ってあげる。」
私服姿のエラルドは、学園の制服姿とはまた違う、少しラフでありながらも隠しきれない王者の気品(と色気)を放っていた。
すれ違う街の女性たちが、次々と彼を見ては顔を赤らめて振り返る。だが、当のエラルドの視界には、完全に『私』しか映っていないようだった。彼は私の左手をしっかりと恋人繋ぎに絡め取り、一歩たりとも自分から離れないように強固にホールドしている。
「まずはあそこの『特大オーク肉の直火焼き』! それから『海鮮ガーリックバター串』! デザートに『冷やしメロンクレープ』もいきたい!」
「分かった。すまない、この看板のメニューを、端から五つずつ焼いてくれないかい?」
「ご、五つ!? エラルド、いくらなんでも……」
「大丈夫だよ。僕も食べるし、残ったら公爵邸の騎士たちへの差し入れにするから」
エラルドは、屋台の店主に白金貨をポンと手渡した。
お釣りはいらないと言われた店主が、目玉が飛び出そうなほど驚愕して「へ、へへーっ!」と平伏している。相変わらず、お金の使い方が規格外すぎる。
数分後。
私の両手には、顔の大きさほどもある巨大なオーク肉の串焼きが握られていた。
「んん〜〜〜っ!! 美味しい!! 脂が甘い!!」
私は、はしたないなどという貴族の常識は完全に彼方に投げ捨て、巨大な肉の塊にガブリと齧り付いた。
肉汁がじゅわっと口いっぱいに広がり、スパイスの香りが鼻に抜ける。脳細胞が歓喜のダンスを踊り狂っている。
「本当に、君は美味しそうに食べるね」
エラルドは、肉にかぶりつく私を、まるで世界で一番大切なものでも見つめるような、とろけるような顔で見下ろしていた。
そして、私が口の周りにベッタリとつけた肉汁とソースを、一切の躊躇いもなく、自分の素手で優しく拭い取る。
「んむ……エラルドも食べる? はい、あーん!」
「……っ。ああ、もらうよ」
私が自分が齧りかけの串を差し出すと、彼は一瞬だけサファイアの瞳の奥で仄暗い火花を散らし、そのまま私の手首を掴んで、私が口をつけたのと全く同じ場所に、色気たっぷりに噛み付いた。
「……美味しい。今まで食べたどんな高級料理より、甘く感じるよ」
「えっ、そう? 結構スパイシーな味付けだと思うんだけどな」
「味覚の問題じゃないよ。……君って本当に、色気より食い気なんだね」
エラルドが呆れたように笑い、私の鼻先をツンと弾く。
私は首を傾げながらも、次なるターゲットである『海鮮串』の屋台へと彼を引っ張っていった。
それからの一時間は、まさに暴食のパレードだった。
イカの丸焼き、チーズハットグ、激辛スライムゼリー(エラルドは一口食べて無言で水魔法で口をゆすいでいた)、そして両手いっぱいのチョコバナナ。
エラルドは、私の底知れない胃袋に呆れながらも、私が何かを欲しがるたびに財布を開き、私がこぼす端から口元を拭い、人混みで私がぶつからないように、常に私の腰を抱いて完璧にエスコートしてくれていた。
「ぷはーっ! 幸せ! 私、今日死んでもいい!」
マリーは自分の幸せいっぱいを噛み締めていた。
王都の中央広場。
噴水の縁に腰を下ろし、特大の『虹色わたあめ』をちぎって食べていた時のことだった。
「ん〜、甘くてふわふわ! エラルドも食べる?」
私は、目深に被ったキャスケットと度の入っていない黒縁眼鏡で、完璧な『お忍びの変装』をしているエラルドに、ちぎったわたあめを差し出した。
「ふふっ。もらうよ」
彼が微笑んで身を乗り出そうとした、その時だった。
「――ですから、秋の魔法祭では間違いなく、エラルド様とミーシア様のご婚約が正式に発表されるはずですわ!」
「ええ、筆頭公爵家と公爵家の結びつき。まさに完璧な布陣ですこと。どこぞの平民の特待生が入り込む隙など、最初から一ミリもありませんのよ」
「いや、そもそもあの平民はエラルド様となんの関係もないだろう? ただの幼馴染じゃないか」
広場の入り口から、華美なドレスに身を包んだ、学園の上位貴族の令嬢と令息のグループが歩いてくるのが見えた。
私の動きが、ピタリと止まる。
エラルドの眼鏡の奥の瞳が、スッと鋭く細められた。
もしここで、エラルドが平民の私と夜市で逢引しているところを見られれば、噂好きの貴族たちの格好の餌食になる。エラルドの立場はもちろん、学園での私の居場所すら危うくなってしまう。
「マリー、こっちへ」
エラルドは咄嗟に私の手首を掴むと、周囲の死角となる石造りの建物の間の、狭く薄暗い路地裏へと私を強引に引き込んだ。
「えっ、エラる……」
「しっ」
背中が冷たいレンガの壁に押し付けられる。
エラルドの大きな手が私の口を塞ぎ、彼の長身が私を壁との間に完全に閉じ込めた。いわゆる、逃げ場のない『壁ドン』の状態だ。
物理的な距離が、ゼロ。
彼の早鐘を打つ心音と、微かに乱れた熱い吐息が、私の頭上から直接降ってくる。シダーウッドの香りが路地裏の狭い空間に充満し、私の脳髄をクラクラと揺らした。
すぐ外の通りを、貴族のグループが優雅な足取りで通り過ぎていく。
「エラルド様は完璧な方です。遊びで平民を構うことはあっても、隣に立つのは血筋の確かな令嬢でなければ……」
その残酷な言葉が、路地裏の暗闇にいる私の胸に、冷たい楔を打ち込んだ。
(……そうだよね)
夢のようなデートで浮かれて、赤点回避の嬉しさで、すべてが上手くいったような気になっていた。
けれど、現実は何も変わっていない。
彼は次期公爵で、私は平民。彼が私をどんなに甘やかしてくれても、貴族社会という分厚い壁は、私たちの前に冷酷に立ちはだかっているのだ。
楽しかった気持ちが急速に萎み、私はギュッと目を閉じて俯いた。
やがて貴族たちの足音が遠ざかり、広場の喧騒に紛れて聞こえなくなった。
エラルドの手が、私の口元からそっと離れる。
「……ごめんね、マリー。怖い思いをさせて」
「ううん、平気。……でも」
私は、無理に笑おうとして、声が震えてしまった。
「やっぱり、私なんかと一緒にいたら、エラルドの迷惑になっちゃうよ。変な噂立てられたら困るでしょ? 私、平民だし、落ちこぼれだし……それに、ミーシア様との婚約の噂だって……」
その言葉を最後まで言い切る前に。
エラルドの顔がスッと近づき、私の唇を、彼の熱い唇が塞いだ。
「んっ……!?」
驚いて目を見開く私をよそに、彼は私の後頭部に手を添え、逃げ場を奪うように深く、何度も角度を変えて、甘く息を呑むようなキスを落としていく。
路地裏の暗闇の中。彼の唇の熱と、有無を言わさない強烈な独占欲に、私の足から力が抜けそうになる。
「……ぷはっ……えらる、ど……っ」
ようやく唇が離れると、私は酸素を求めて荒く息を吐いた。
エラルドは、至近距離で私の顔を見つめ、伊達眼鏡の奥のサファイアの瞳を仄暗く燃やしていた。
「迷惑なものか。……君以外の誰が僕の隣に立つというんだ」
彼の親指が、キスの熱で赤く腫れた私の下唇を、色っぽくなぞる。
「噂なんてどうでもいい。貴族社会の常識なんて、僕がすべて叩き潰して君を迎えに行く。……だからマリー、二度と『私なんか』なんて悲しい言葉を言わないでくれ」
身分差の壁なんて、彼にとってはただの「壊すべき障害」でしかなかったのだ。
彼の痛いほどの本気と、私への狂おしいほどの愛情が、触れ合う肌から直接伝わってくる。
「……うん。ごめん、エラルド」
私は、彼の胸元のシャツをギュッと握りしめ、彼の体温にすり寄るように額を押し付けた。
「私、エラルドの隣に立ちたい。誰にも渡したくないよ……」
「ああ。君は僕のものだし、僕は君のものだ。誰にも邪魔はさせないよ」
エラルドは、満足そうに微笑むと、私を強く抱きしめ直した。
初夏の夜空に、もうすぐ訪れる魔法祭を祝う色鮮やかな花火が打ち上がる音が聞こえる。
身分差も、厄介な貴族たちも、今は関係ない。この狭くて薄暗い路地裏で、私たちは誰よりも強く結びついているのだから。
「さて……魔除けの儀式も済んだことだし。屋台の買い占めの続きに行こうか」
「えっ、まだ食べるの!?」
「もちろん。君の胃袋の限界まで付き合う約束だろう?」
エラルドが私の鼻先をツンと弾き、悪戯っぽく笑う。
「やったぁ!」と小さくガッツポーズをした私は、再び彼と恋人繋ぎで手を絡ませた。
厄介な壁はまだまだたくさんあるけれど。この過保護で甘い氷の貴公子が隣にいれば、私はどんな壁だって、物理(と食欲)で打ち砕いていける気がした。
二人の姿は、夜市の光の中へともう一度、幸せそうに溶け込んでいった。




