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僕の青春サイダー  作者: 気まぐれ


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1/1

静かな自習室

この作品を開いてくださってありがとうございます。

塾の自習室という、静かで何気ない場所で始まる、

少し甘くて、少し不器用な高校生の青春を書いてみました。

恋って、自分でもよく分からないまま始まって、

気づいたら相手の存在が日常になっているものだと思います。

そんな「近くて遠い距離感」を感じてもらえたら嬉しいです。

ゆっくり、のんびり読んでいただけたら幸いです。

塾の自習室は、いつも静かだった。

シャーペンの芯が紙を削る音、消しゴムのカリカリ、エアコンの微かな風。

その音だけが、やけに近くに感じられる。

斜め前に座る彼女も、黙々とノートに向かっている。

光沢のある黒い髪の毛、雪のように白い肌、無駄のない仕草、静かな佇まい。

俺はなんでこんなに彼女を見ているのだろう、

そう、俺は彼女に憧れているのだ、と思う。

彼女の名前は藤原紗倉。成績優秀で、少し陽気な性格。

クラスの人気者で、とても可愛い人だ。

今まで何人の男子を振ってきたのかは想像するだけで、少し気が重くなる。

だが彼女は告って振った人にも何事もなかったかのように友達のままでいる。

なるべく傷つけないようにしているんだろう。

そういう面でもみんなから人気が出ている。

俺の名前は朝倉大和。高校1年生。成績普通の少し上くらい。

こう見えても内向的なところがある。

でも、サイダーだけは昔から大好きで、塾の自習室でも必ず自分の飲み物を持ってくる。自習室に行くと、必ず彼女1人だけいる。

ずっと自習室にいるのだろう。そう、彼女は努力家なのだ。

彼女がいると思うと不思議と自習室に行きたくなってしまう。

そのおかげで俺の成績も上がっているのでありがたい。

たまに自習室で視線を感じるのだが、自習室には藤原さんしかいないので藤原さんの方を見ても静かに勉強しているから多分気のせいだろう、最近ホラー映画の見過ぎだからだろうか。

そして今日も自習室に来た。

やはりいつも同じ席に藤原さんはいた。

今日も俺は彼女の右斜め前の席に座った。別に何かの意図があるわけじゃない。

そしていつも通り勉強をしようとしたのだが、


「朝倉くん!」と呼ばれた最初はびっくりしすぎて幻聴かと思った。

「どうしたの?藤原さんてか俺の名前知ってんたんだね」と勝手に口が動いていた。

「え?朝倉くんだってうちの名前知ってんじゃーん!同じクラスメイトなんだし覚えてて当たり前でしょ!」

「う、うん!確かに」俺はそう言うしかなかった。憧れだなんて、とてもじゃないけど言えるわけがない。

「あ!でさ!シャーペン貸してくれない?芯詰まっちゃって、」

「あっいいけど1回その芯詰まったシャーペン見せてくれない?」こう見えても俺はかなり器用なところがある。

シャーペンの芯が詰まったなんてお安い御用だ。

「これ!」と渡されて見てみたがおかしい、シャーペンの先端に芯が詰まっていないのだ。

もしかすると…「あの、藤原さんこれ芯詰まってるんじゃなくて芯入っていないんじゃないんですか?」と言いながら自分のシャーペンの芯を入れてシャーペンをカチカチとやって見ると、「ほら出たよー」というと藤原さんの様子がおかしい顔が赤いのだ、もしかすると…熱でもあるのだろうか。


「し、知ってたし!シャーペンの芯が入っていなかったことくらい!」

俺はその言葉を聞いて思わず、ぷっと笑ってしまった。


「あー!笑ったなー!?」と少しほっぺたを膨らませていて可愛かった。

するとガチャとドアが開く音がした。

「おい、お前ら自習室では静かにしろ」

「すみません!先生!」

「藤原か気をつけろよー、ん?なんだ朝倉もいたのか」

「はーい!」と藤原声が響く。


それで勉強の再開をしようとすると…


「あはは、怒られちゃったねーでも」と彼女が笑って

「朝倉くんと一緒だと怒られててもそんなに嫌じゃなかった!」


その瞬間俺の気持ちは大きく揺れた。


「え、ちょ後5分くらいでうちたちの授業始まるくない!?」

「あ!急げ!」


と勉強道具を片付けて階段を走って登った。

なぜかその時彼女は笑っていた。



やはり彼女はクラスの人気者だ。

休み時間には彼女の机の周りはたくさんの人で溢れていた。


「藤原ちゃんって彼氏いるのー?」

「紗倉ちゃーんここの問題わからないんだけどさ教えてー」

「紗倉って意外と抜けてるところあるよなー」


と質問の嵐が彼女を襲っている。


「藤原さんは今日も大変だなー」と思っていると、

彼女がこっちをみてにこっと笑ってきた。


その時ものすごく心臓の音が鮮明に聞こえた。


いや藤原さんが俺のことを見てるはずない。

自意識過剰にも程がある。


さっきの笑顔が忘れられなくて、

授業が終わるのがやけに早く感じた。


毎回疑問に思う。

授業が終わってすぐに自習室に行くと、絶対に藤原さんがいる。

質問の嵐に襲われていたのにどうやって抜け出したんだ。


「あっやっほー!」と話しかけられた。

今まであまり話しかけてきたことがなかったから、思わずびっくりしてしまう。

「や、やほ」と言っていつもの席に座ろうとすると


「なんでいつも私の右斜め前に座ってるのー?」と聞かれた。

「特に理由はないけど、」と答えると彼女は俺の腕をつかんで

「せっかくなんだし隣に座ろうよ!」

「えー」と反射的に答えてしまった。


「もしかしてうちの隣が嫌、、、なの?」と悲しい顔をしていった。

気づいたら口が勝手に動いて、

「そんなことはない!嫌じゃなくてむしろいい!」とその瞬間頭の中が真っ白になった。え?なんでそんな恥ずかしいことを口にしているんだ俺は、


「じぁ隣座ろ!勉強も教えてあげるよん!」と優しく声をかけてくれた。

そして隣で今勉強をしているんだが、とてつもなく…集中できない。

さっきから藤原さんの息の音とシャーペンの音と自分の心臓の音しか聞こえない、


するとその様子に気付いたのか藤原さんが

「どうしたー?て動いてないけどわからないところでもあるのー?」と

うん、前から少し思っていたがこの人….天然すぎる!

「ちょっとここの部分とかわからないんだよねー」と言うと

「あーここねーうちも理解に苦しんだところだーここはねー」と解説をしてくれた。


俺はびっくりした。

こんなにも丁寧で分かりやすい教え方があるのかとびっくりしたあまり俺は

「すごい!めっちゃ分かりやすい!」と元気よく言ってしまった。

すると彼女は

「そ、そうならよかった」と顔を真っ赤にしながら言った。

やはり熱があるんじゃないか?


そう思うと俺の体は勝手に動いていた。

「動かないで熱測るから」と彼女の額を触った。


「….朝倉くん、そんなに近くにいたら……ドキドキするじゃん……」


俺は熱を測るのに夢中で彼女が何を行っているのか気づかなかった。


「やっぱ熱高い。それにどんどん上がってきてる!大丈夫?藤原さん」


「だ、大丈夫だよ….」

藤原さんはそう言いながら、少し視線を逸らした。


「でも、朝倉くんが近いから….その…」


俺はようやく気づいた。

さっきから、彼女の顔が赤いのは熱のせいだけじゃない。


「あ…ご、ごめん!」

慌てて距離を取ると、藤原さんは少し寂しそうに笑った。

そして小さくつぶやいた。


「….別に、嫌じゃなかったんだけどな」俺は心臓の音で彼女がなんて言ったのか全く聞こえなかった。


「ん?なんか言った?」と聞いたが彼女は

「なんでもない!」と耳まで真っ赤にして言う。

俺は自分のしたことを思い返すとものすごく申し訳なくなって

「ごめん!今度なんでもするから!」と謝った。


「なんで持ってなんでもいいの…?」と聞いてきて

「うん!なんでも!」と即答した。


すると、

「..い」

「え?」

「ショッピングモール一緒に行きたい…」

最初何を言ってるのか理解するのに時間がかかった。

理解しようとしているうちに藤原さんがどんどん顔真っ赤にしていって


「だめ、かな、」とちょっと泣きそうな声で言ってきた。

こんなのダメって言うわけないじゃないか!


「いいよ!けど俺とショッピングモール行って何するの?」

「私の服選んで欲しい!男子のセンスとかわからないしさ!」

「え?けどそれならクラスにいる男子の方がセンスいいと思うんだけど、」


そういう時彼女は顔を近づけて

「朝倉くんがいいのー!」

「え?それって…デートかな、」って何言ってんだ俺ー!?

俺はすぐに 「ご、ごめん冗談だわーあはは」と誤魔化した。

するとニコッとしながら 「デートだと思いたいならデートってことにしてあげる!」

その言葉に、俺は何も返せなかった。

ただ、胸の奥がじんわり熱くなって、心臓だけがやけにうるさかった。


——ショッピングモール。

——彼女と二人きり。


その約束を頭の中で何度もなぞりながら、

俺はその日、いつもより少し遅くまで眠れなかった。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

このお話は、静かな場所で生まれる小さなドキドキや、

言葉にできない気持ちを大切にしながら書きました。

少しでも「青春だな」「甘いな」と感じてもらえたなら、

それだけでとても嬉しいです。

感想やアドバイス、続きが読みたいなどの声があれば、

ぜひ気軽に教えてください。

皆さんの反応が、次のお話を書く大きな力になります。

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