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またもや、おわってなかった。
おわってなくて申し訳ない。
「……は、はい」
自分でもわかるほど、気のない返事をしてしまう。
「畑を持つには農具や種に色々と費用がかかる。それが少しでも軽減されるのなら、ありがたいことじゃないか! いやはや、おめでとう!」
仰ってる意味がよくわかりませんけど。
その、「値引き」のような幸運な能力なのか。
声高らかに断言されていますが。
知らぬ、と本音を漏らされたばかりなのに。
べつに口答えをしたいわけではなかったが。
僕がギルド長をたしなめると。
「無能のくせに、何か貰えただけでも感謝しろ!」と周囲の囁き声が耳に。
とても辛い状況だ。
僕は思わず苦笑いを見せた。
常に周囲の反応に弱い。臆病ゆえの反応だ。
「……か、感謝します!」と、心にもない言葉を突き出した。
だから苦笑するしかない。
ギルド長はナイスガイ。かあ────はっはっは!と豪快に笑う。
まるで他人事のように笑う。
おわり。




