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悔しさのあまり──引っ込みがつけられん。
ケインは、いま売りに出そうとしていた剣を鞘から抜いた。
その剣先を僕に突き付けている。
「な、なにをする気だ!?」
たじろぐ僕に、ケインは意地悪な物言いをする。
「そうまで吐き散らしたからには、お前の実力を示してもらわねば納得がいかなくなった。こっちに来て、お前も自慢の剣を抜くがいい!」
自慢の剣はありません。
こっちへ来て、と言い放ち、店内にあった稽古用のステージへと足を運んだ。
そこへ来いと言っているようだ。
「どうした? 俺と剣を交える以外の選択肢はないぞ。鼻でかアボスっ、店を封鎖しろっ!」
マジで鼻デカ呼ばわりされとった。いい気味だ。
鼻デカ店員アボスが店舗の扉の外のシャッターを下ろした。
伊達に売値が400万の剣などないのだろう。
そんなものと対峙して勝てる気はしないが。
そもそも僕は駆け出しで、LV5でしかない初心者だぞ。
剣を抜かれたのでよそ見は出来ず、ケインの動向を見張っていると。
背後から、ドンっと押された。
「ほら、お客さん。お求めの強い剣が無料でゲットできるチャンスですよ!」
「うわっ! 何すんだよ!!」
アボスに力強く突き飛ばされた。
その勢いで足が勝手にステージのほうへ行き、ケインと向かい合うカタチとなってしまった。
ま、マズい。非常にマズい。
「とっとと剣を抜けよ! それが戦いの合図だ。もしもこの俺にひとあわでも吹かせられたら、この剣をくれてやろう」
さ、最悪の無料コース。命と引き換えにもらって嬉しい剣でもないのだが。
受けて立つしか道はなさそうだ。
アイテムポーチに手を入れて、唯一の武器? 「木の枝」を出して装備する。
まじで、おわった。




