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空に近い場所  作者: 彼方
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束の間の晴れ間

夜ご飯と呼べるのか怪しい量の食事をとり、お風呂に入り、その後すぐに寝た。昼間に寝てしまったから寝られなくなるかと思ったが、体は疲れていたようですんなり眠ることが出来た。実際には10時間ほど寝たのが、眠りが深かったようで、体感では寝てすぐ朝になったようだった。寝起きで居間に行くと、机の上に珍しく母からの置き手紙と一緒にご飯代らしい1000円札が置かれていた。手紙の内容からするに母は明日まで帰ってこないようだ。これで、少なくとも今日は平和に生きることが出来る。父は結局今日も帰ってこなかったのだろうか。かれこれ1ヶ月ほど帰ってきていない気がする。正直このまま帰ってこなくてもいいのだが。そっちの方が嬉しいとさえ思う。

とりあえずまずは朝ごはんを食べたかったので、私服に着替えてご飯代の1000円札を持って家を出た。本当は今日も学校に行かなくてはならないのだが、腹が減っては戦ができぬ、だ。食べてから行っても2限には十分間に合う。もちろん授業に出るつもりはないが。この後どうするかを考えながら、家から1番近いスーパーで買い物を済ませる。久しぶりにちゃんとしたご飯が食べられそうだ。その後、家に帰りながら朝ごはんのパンを食べ、家に着いたら制服に着替えてまた家を出る。本当に忙しい日だ。無心で通学路を歩き、30分ほどで学校に着いた。一応サボっている身なので堂々と校内に入っていく訳にも行かず、わざわざ裏門へ回って先生が居ないことを確認しながら校舎内に入った。

僕は無意識に屋上に行こうとしていた。昨日からずっと、心のどこかで彼にまた会いたいと思っていたからかもしれない。そのことに気づいたのは3階まで来たときで、戻るのも億劫だったからそのまま屋上に向かった。やっとたどり着いた屋上は、鍵がかかっていて入ることが出来なかった。やっぱり昨日は彼が屋上を開けたのだろうか。入れないものは仕方が無いので、特に行くところもないがとりあえず屋上から離れる事にした。行く場所を考えながら階段を降りていた時、もしかしたら彼は昨日の空き教室に居るのではないかと思い当たりまたもや無意識に足を進めてしまう。そして、気づいたら空き教室のドア前にいたわけだ。勢いで来てしまったが、もちろん中に入る勇気も無くその場に立ちつくしてしまう。丁度そのタイミングでドアが開いて彼がひょこっと顔を出した。

「やっほ!来てくれると思ってた!」

と彼は笑顔で言う。度々人の心を読んだような行動や発言をするから、本当にびっくりする。彼は反応に困っていた僕の手を掴んで中に誘導してくる。彼のその手は今日も冷たかった。僕は今日もされるがままに彼について行く。

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