週間予報
僕が学校に着いた時には、彼は既に空き教室にいた。
僕がドアを開けた時、出迎えてくれた彼は何故か、
「おかえり」
と言った。
僕が頭に?を浮かべたような顔をしていると、彼は楽しそうに笑っていた。
そんな彼を横目に、僕は教室に入り、早速本題に入る。
「昨日はありがとうございました。」
と僕が言うと、彼は笑顔を崩さずに
「なにが〜?」
と、分かっているのに誤魔化すように言った。こういう所にも彼の優しさを感じる。
彼はずっとニコニコしながらこっちを見ている。とりあえずお礼を言えたので満足した僕は、今日も彼の近くの椅子に座った。
その後、彼は
「何かあったら起こして」
とだけ言って、今日もすぐに寝てしまった。
僕もこの間のように時間を潰す。彼と過ごせれば何も無い時間でも幸せで、逆にそれが心地よかった。
その日彼は2時間ほど寝て、起きた彼と少し話してから帰った。寝起きの彼は猫みたいに欠伸をしていた。
それからも毎日空き教室に来ているのだが、彼はいつも寝ている。
徹夜でもしているのだろうか。それともただ沢山寝るタイプの人なのか。と、彼が寝ていることは特に気にしていなかったのだが、ある日の彼はあまり顔色が良くなかった。
毎日彼の寝顔を見ていたので、ひと目で分かった。
思い返してみれば、いつもなら笑顔で僕を迎えてくれる彼だが、今日は僕が来た時には既に寝かけていた。その後も、体調を隠すかのように出来るだけ元気に振舞ってくれていた気がする。いつもよりもオーバーリアクションだったから、なんとなく違和感を持っていた。
辛そうな彼が心配だったが、だからといって寝ている彼を起こすわけにいかないので、とりあえず寝かせておいた。少し寒そうだった彼に、自分の上着をかけてあげた。
体調が悪い時特有の怖い夢を見ているのか、彼は時々うなされていた。
そして1時間後、彼が起きた。でも体調は全く回復していないどころか悪化しているようで、見るからにフラフラしていた。もちろんそんな彼を放ってはおけなかったので僕は彼を支えようと立ち上がったのだが、そのタイミングで彼はガクッと倒れるように膝をついてしまった。
彼は肩で呼吸を繰り返している。
本能的にこれはまずいのではないかと思った僕は、とりあえず彼を保健室に連れていくことにした。
出来るなら学校で彼以外の人には会いたくなかったが、今はそんな事言っている場合ではない。
僕は覚悟を決めた。
保健室までは、歩けそうになかった彼を背負って行った。
彼は見た目通り、高校生なのか怪しいくらいにくらい軽かった。
授業中だった様で、人に会うこともなく無事保険室にたどり着いたのだが、しばらく彼以外の人と話していなかった僕は状況を上手く説明することすら出来ず、自分は無力だと改めて思った。
それでも保険室の先生は背中の彼を見て色々察してくれたようで、無事に彼をベッドに寝かせることは出来た。
先生はどうやらもともと彼のことを知っていたようで、僕が話しためちゃくちゃな言葉でも何とか分かって貰えた。
彼はよく保険室に来るのだろうか、と思うくらいに保険室の先生は彼のことを知っているようっだった。
彼は横になったからかさっきよりは落ち着いたようだったが、それでもまだ呼吸は荒く苦しそうに眠っている。
僕は実質先生と2人きりの空間が気まずくてずっと彼を見ていたのだが、先生が
「あなたは湊くんのお友達?」
と聞いてきた。
僕と彼は友達、なのだろうか。答えられず黙っていると、おかまいなしに先生は続ける
「湊くんも大変よね、持病が少しでも良くなるといいんだけどね。」
彼に持病があったなんて、初めて知った。
でも、出来ればそういうのは彼の口から聞きたかったから、聞いてはいけないようなことを聞いてしまったような気分だった。




