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旅人は記憶を探す

思わぬところ員辿り着いてしまった少年、旅人。

彼は一体、何を忘れてしまったのか。


記憶の神とは、一体どこに彼を導いていくのか。


旅人が記憶を探す旅が始まる。

 とある神殿の奥の祭壇(さいだん)(まつ)られている神がいる。

 神は魂を管理するのが役割だ。常闇(とこやみ)に行くのか、天上(てんじょう)へと向かうのかを選別(せんべつ)していく。

 毎日の日課である魂の選別(せんべつ)をしている時に、神がふと顔を上げた。


『おや…。何とまぁ。面白いのがきたものだ。さて、どうなる事か…。迎えにいってやろうではないか。』


 神はいたずらっ子の様な笑みを浮かべて、その場より動き出す。

 これがこの物語の始まりだった。



 1人の少年は海を漂うように、白い空間の中でユラユラと彷徨(さまよ)っていた。

 ここが一体どこなのかも分からず、ただただ彷徨(さまよ)う。

 ぼんやりとした意識の中、少年の頭に声が聞こえてくる。


『生きた人の子がこの様な場に迷い込むなど、(めず)しい事じゃなぁ。…ふむ、なるほどな。よかろう。ここで其方(そなた)の探しているモノを、見つけると良い。』


 不思議な声の持ち主が誰か分からない。しかし、自分が思ってもない場所に迷い込んでいるのかもしれないと、少年は考えた。

 朦朧(もうろう)とする意識の中で、一つの疑問に辿(たど)り着いた。

 探しているモノとは、一体何なのだろうか。分からない。何もかもが理解できていない。

 保っている意識が消える中で、少年はもう一度、誰かの声が聞こえてきたのがわかったが、聞き取る事はできなかった。


『しかと探し出せるかは、其方(そなた)次第じゃ。』



 ゆっくりと少年は目を覚ます。

 寝ていたようで、目を開けた先には、朱色(しゅいろ)の空に白い雲が浮いていた。

 見た事もないような色合いに、慌てて起き上がる。

 思わず少年は自分の体を確認すると、何も(えが)かれていない白いTシャツに、少し(ゆる)めのジーパンを()いており、足は何も()いてないの状態で寝ていた様だった。

 ぼんやりとした頭で、見つめていた手から頭を上げて、辺りを見渡す。


「ここは一体どこなんだろう…。」


 起き上がった先には、水平線すらも見えないような程の海が広がっていた。先の方を見ようとしても、(きり)(おお)われているのか、途方(とほう)もなく広い海がある様に見える。

 さらに辺りを見渡すと、そこには空と同じ色をしている宮殿(きゅうでん)の様なものが(たたず)んでいた。

 柱は朱色(しゅいろ)、屋根は黄色と黒の瓦屋根(かわらやね)。そこからは中は迷路の様になっているのではないかとおもわんばかりの、段々(だんだん)とした(おそ)らく部屋なのではと思う様な四角い場所が、横に広がっていた。

 上を見上げれば、とても明るい光が一つだけ見えた。

 建物は(きら)びやかで、高貴(こうき)な人が住んでいるのだろうところではあったがどこか冷たい雰囲気を感じたが、あの光だけは、かなり距離があるのにも関わらず、とても温かく感じられた。


 不思議な気持ちでいると、後ろから唐突(とうとつ)に話しかけられる。


「そこの人の子。」

「…え?あ、えと…俺、ですか…?」

「そう、あなたよ。」


 後ろを振り返ると、少し小さな体つきをした白色の袖が広がっている腰より長めのカットソーに、上の服と同じ色の地面までついてしまっているスカートを(まと)める様に着けられている水色の腰紐(こしひも)は前で長めに(くく)られていて、首にも腰紐よりも少し濃い目の水色は波紋(はもん)にも見える模様がついているビーズのネックレスをつけ、顔は半透明(はんとうめい)のベールで(おお)っている女性が立っていた。

 とても優しい雰囲気を出している様に感じていたが、言葉が雰囲気と一致していない。

 だが、少年にとっては、どこか懐かしい感じがしていた。

 何もせずに見つめていると、女性が話し始める。


「あなたは…『()()』ね。」

「旅、人…?」

「そう、旅人よ。時々、あるのです。生きてる人間がここに(おとず)れてしまうことが。」

「はぁ…。」

「通常なら、あなたの様な旅人は現世に帰らされるのが通例(つうれい)なのだけれど…きっと()の方がお許しになったのね。」

「あの方…?」

「仕方ないわ。着いてきなさい、帰り方を教えます。」

「帰り方って…、どうやったら帰れるんですか?それに、俺は…何も覚えてない…。」


 そう言いながら少年、旅人は語尾(ごび)を小さくしながら話す表情は、とても(おび)えている感じであった。

 旅人の表情を見た女性は、小さくため息を吐く。

 ため息の音ですら、恐怖を感じているのでは、と思われるほどに旅人は怯えている為か、体が萎縮(いしゅく)してしまっている様だった。

 仕方なく思ったのか、突き放しているのか、分からない様な態度で旅人に話しかけた。


「覚えていないのは当たり前。ここにくる旅人は、ここに来る以前の記憶を持っていないのよ。」

「元々覚えてない…。」

「そう、だから気にしない事ね。…後、帰り方に着いては、貴方が忘れてしまっている何かを思い出す事。それがここから帰る条件よ。」

「思い出す事…。」


 旅人は考えた。自分は一体何を忘れているのだろうと。

 何かを忘れたという事すら、思い出せないでいるというのに、帰る条件が思い出すこと。

 では、その条件を満たす為には、一体どうしたらいいというのか、旅人にはサッパリ分からなかった。

 困った表情をしているのがバレてまったのか、目の前の女性が話しかけてくる。


「安心なさい。私は記憶を(つかさど)る神です。貴方が記憶を思い出す手伝いをしましょう。」

「思い出す為の…。じゃあ、案内してくれるんですか…?」

「えぇ。では、着いてきなさい。」

「あ、はい…。よろしくお願いします。」


 こうして、旅人は女性、記憶の神に着いていく事にした。

記憶を探す物語の第一話です。


今連載中の話が行き詰まったので、つい…寄り道を…。

大変申し訳にない…!


躓いている話は、書けそうなら書いていこうと思います。


よろしくお願いします

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