表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

社会問題エッセイ

テロリスト桐島聡と「名付け」について

作者: 中将

筆者:

 今回は「桐島聡」について語っていきたいと思います。



質問者:

 指名手配されていたことは知っていますが……いったい何をしたから指名手配されているんでしょうか?



◇桐島容疑者は何の犯罪で指名手配されているのか?



筆者:

 桐島容疑者については「警察庁指定 重要指名手配被疑者」として皆さんご覧になったことがあると思います。


 僕も最近話題になってようやく調べて知った感じなのでそんなにドヤ顔できるほどではないのですが、簡単に語らせていただきます。


 まずは桐島容疑者が所属していた過激派とも言われる「東アジア反日武装戦線」について解説します。


 この組織は「反日武装闘争による反日革命」ということをスローガンに掲げ、

「旧大日本帝国が企業となって世界中の人達を搾取している」という理論で企業を次々と攻撃していったのです。


 中でも、昼休み中の通行人を含む8人死亡・380人の重軽傷となった1974年の三菱重工爆破事件は最も酷い事件だったようです。

 この事件のリーダーである大道寺将司、益永利明は死刑判決が確定しています。



質問者:

 日本赤軍に近い感じの平たく言えば「テロリスト集団」だったわけなんですね……。



筆者:

 桐島容疑者の刑とも関係しますが、1977年の日本赤軍が起こしたダッカ日航機ハイジャック事件で東アジア反日武装戦線のメンバーである佐々木規夫容疑者解放された件もあるので、

 同組織と日本赤軍との間に密接な関係があることは間違いありません。


 桐島容疑者は明治学院大学在学中1975年4月、

 東京・銀座の「韓国産業経済研究所」で手製爆弾を爆発させた疑いで、翌5月に指名手配されました。

 75年の5月31日に実家に電話をかけたのを最後に、

 その足取りは約48年間にわたり、判明していなかったということです。



◇なぜ時効が成立していないのか?



質問者:

 しかし、48年も逃亡して時効が成立していないんですか?



筆者:

 平成22年の刑事訴訟法改正により法定刑に死刑が規定されている犯罪公訴時効が撤廃されました。


 桐島容疑者は「爆発物取締罰則違反容疑」なので「死刑又は無期若しくは7年以上の懲役又は禁錮」で上記に該当しそうですが、

 平成16年には公訴時効が25年となりましたが、それより更に前の犯行なので本来であれば15年で公訴時効でした。


ですので、数多くの事件では公訴時効が成立しています。


 しかし、間組本社ビル等爆破事件に関しては、

 共犯者の佐々木規夫容疑者と大道寺あや子容疑者が起訴後にそれぞれクアラルンプール事件とダッカ日航機ハイジャック事件により国外逃亡(現在も国際手配中)したために、

 刑事訴訟法254条2項により「共犯者の公判が継続中」という扱いで公訴時効が停止したままなのです。



質問者:

 先ほどの話と関係しているとはこのことだったんですね。

 お仲間が海外に逃亡している都合で時効が成立していないパターンだったとは。



筆者:

 そんな中、桐島容疑者と名乗る人物は今年の1月25日に末期の胃癌を患い、救急搬送された病院で、「自分は桐島聡。最期は本名で迎えたい」と名乗り出てきました。


 数十年前から「内田洋うちだひろし」の偽名を使い、神奈川県藤沢市南部の土木工事会社に住み込みで働いていたようです。


 1月29日に死去し、2月2日に桐島容疑者の親族と「親族関係に矛盾がない」とDNA鑑定で確認されたようです。



質問者:

 かつては「過激派」だったのにその後は結構地味な生活をしていたみたいですよね。



筆者:

 普通は別件で捕まって、名前と顔を変えていたが実は〇〇容疑者だった! みたいなことがあるわけですが、今回は逃亡中何か大きな問題を起こしたということは無かったみたいですからね。


 更に今の捜査の段階では共犯者もいなかったらしいですからね。


 このようなことをされると犯罪捜査という点では「公安部としては敗北、桐島の完勝」と言えると思います。

 まるでドラマのような話が現代にもあるんだなと思っちゃいましたね。


 「今の顔の予想図」とかありましたけど、あれはほとんど無意味です。

 名前と顔を変えればいくらでも潜伏できてしまうことを示していると思います。

 


質問者:

 何だか「勝ち逃げ」という感じでちょっと悔しくありますね……。



筆者:

 本人の犯罪行為を擁護するつもりはありませんが。口座すら無い、本名を明かせないというのは不便ですし、苦しいと思いますよ。


 警察や組織の残党から追われる可能性など目に見えないプレッシャーに常に追われ続けたために楽な生活では決して無かったと思うんですよ。


『自宅は工務店そばの木造とみられる建物で、6畳ほどの室内には、弁当の空き箱、段ボールなどで寝る場所もないほど散らかっていたという。』


 という記事もあったほどですから、暮らし向きを見ても裕福だったわけではありません。


 やっぱり誠実でまっとうな人間として暮らした方が良いように思えますね。

 


質問者:

 流石にそうに決まってますよ……。



筆者:

 一般人からしてみたら「逃げ切り」許せないことですが、

 一部の犯罪者からしたら最後まで逃げ切ったことから“英雄視する”人間まで出てきそうです。



質問者:

 犯罪者を英雄視するだなんて何だか嫌ですけどね……。



筆者:

 元日本赤軍のリーダーだった重信元受刑者が懲役20年を満了して出所したときもなんだか“英雄”のような扱いをする人がいましたからね。


 価値観そのものが違うのでしょう。



 今回の一件として教訓があるとするなら社会保険にも入らず口座すらない人間というのは“怪しい人間”の可能性が高いことを示唆していると思います。 


 逆にそういう人が多く所属している企業というのは“ヤバい人が多い会社”という判断で良いと思いますね。



質問者:

 見た目では分かりませんが実際に口座を開設できなかったりしていると、

 “社会的信用が欠落している”可能性があるということなんですね。



筆者:

 現在、犯罪組織が口座を買うといった行為が横行しているので口座開設にはちょっと審査はかかることが多いようです。

 しかし、時間がかかっても基本的に普通に暮らしている日本人が銀行口座を開設できないことはまずありません。

 一つの“目安”として考えていいと思います。


 それでここまでも長いと思うんですけど、僕が実は思ったことの“本丸“はこの先にあります。



質問者:

 え……今までのは長い前置きだったんですか……。



◇「名前」の重要性について



筆者:

 まぁ、言いたいことは実はそんなに長くないです(笑)。


 僕はこの一連の流れで50年間内田や他の名前として暮らしていたにもかかわらず、名づけられた「桐島聡として死にたかった」という発言に凄く「深い意味」を感じました。



質問者:

 確かに、48年潜伏ならもう圧倒的に最初の名前で呼ばれている時間の方が少ないですね。

 元仲間に自分の存在を伝える意味もあったのかもしれませんけど……。



筆者:

 やはり「名は体を表す」ということで名前は人生において一番呼ばれると思うんです。

 一番漢字で手書きしているのも「姓名」だと思いますしね。



質問者:

 確かに……。



筆者:

 桐島容疑者は活動に過激さがあっただけで、最後の足取りも実家への連絡だったので、

 そこまで両親とは関係が悪くなかったこともあると思います。

「親から名付けられた名前」というのをそれだけ大事にしていたんでしょうね。


 過激思想に染まる人というのは家族関係が崩壊しているケースも多いと思うのですが、桐島容疑者はそのタイプではなかったようですね。



質問者:

 いわゆる「毒親」ではなかったということなんでしょうかね。



筆者:

 刑罰を受けることなく、最期に自分の名前で死ねるという「望み」すら叶ってえしまったわけで桐島容疑者としては良かったんでしょうね。


 ここからは僕の完全なる持論なんですが、

 人名でも「名は体を表す」みたいなことがあると思うんです。


「名前は」一番多く呼ばれる、そして書いていくことになることを考えると


『無意識のうちに刷り込まれていく』


 そういった要素があることから

 おのずとその名前に引っ張られることになるんです。



質問者:

 そうなると名付ける際に一定以上の責任がありそうですね……。



筆者:

 そうなんです。


 特にパッと見た時にフリガナが無いと読めないような名前はやめておいた方が良いように思います。


 ただここで注意していきたいことは、こうした“キラキラネーム”やDQNネーム“と呼ばれるもので無くても苗字との兼ね合いで”イジラレてしまう“ことがあるということです。



質問者:

 そういうことってあるんですか?



筆者:

 僕の同級生に「野比のび太」みたいに「〇〇 〇〇太」の苗字と名前の〇〇の字は違えど読みが同じだったことでイジラレていた子がいたんですね。

 その〇〇の読み方は珍しくはありましたが、あり得そうな名前だったんです。

とにかく、ちょっと気の毒でしたね。



質問者:

 なるほど。子供だと些細なことでイジルことはありますものね。



筆者:

 あとはよくある苗字だと同じ苗字の人と差別化するために省略することがあります。


 例えばプロ野球選手だと阪神の佐藤輝明選手は「サトテル」、伊藤将司投手は「イトマサ」などと省略して愛称のような感じで呼ばれています。


 上記の2人についてはプラスなので何ら問題は無いわけですが、

 この際の呼ばれ方が何か「ヘンな連想」を起こしてこれもイジラレている人がいました。

 

 こういった苗字との兼ね合いでも考えておく必要があると思います。



質問者:

 思ったよりも色々と考慮する必要があるのですね……。



筆者:

 僕はそこまで平易な名前でもなく、尚且つイジラれたことは無かったのでこの時は両親に感謝しましたね。


 これは人間の名前だけにとどまらずペットの名前なども同様だと思います。

 

 流石にペットはそこまで他人に呼ばれることは無いですが、

 それでも“大切な家族”と考えるなら“名づけること”にもっと重きを置くべきだと思います。


 聖書でもアダムの最初の仕事は「動植物に名前を付けること」だったようなのでそれだけ名づけることに意味があることとだと古代から捉えられていたということです。



質問者:

 おっしゃる通り、ペットの病院とかでは「飼い主の苗字+名前+ちゃん」とかで表示されますから人目に触れることもありますよね。



筆者:

 そうなんです。

 皆さんも「名づける機会」があったらこういったことも考慮していただければと思いますね。


 ということでここまでご覧いただきありがとうございました。

今回は桐島聡容疑者についてと「名前」の重要性について語らせていただきました。


 今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題などを個人的な視点で解説していきます。

よろしければ他の作品もご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  純粋に、この指名手配犯の人生は小説にしたくなりますね。50年近く、昭和天皇の時代から逃げ続け、いろいろな日本の変化を見てきたわけです。もちろんやったことは許されるものではありませんが、最期…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ