ベリーデンジャラスプレイス
設定根底から変わっちゃったけど大丈夫ですか未来の自分
おはようございま……す……?
なにこれ……私の胸に穴開いてるんだけど……
何回もナイフで刺したような痕がある。こんなことができるのは……アルバートくんだけ。だけど、アルバートくんがこれをする利益って何だ?
それにそういうことしそうにもなかったけどなぁ。にこにこ笑顔と明るい声がチャームポイントの一緒にいて気持ちいいタイプの美少年だ。
ってことは……まだ人がいた、もしくは外部から人が来た!?
としたら一番危ないのはアルバートくんだよね!?どこにいるかな……一旦布で応急処置して、と……
居住区っぽいところのベッドで寝てたはずなんだけど、図書館の端っこだなここ……移動させられてる?
立ち上がり、歩き出す。核の位置は変わっていなかった。これに救われたと言っても良い。念の為核の位置は足のままにしておく。
アルバートくんを探すけど、見つからない。
こういうときに大声で呼べたらなぁと思う。声帯が本当に欲しい。声って大事だったなー。
◆
図書館にアルバートくんの姿はなかった。まあアルバートくんは基本的に研究室にいるからそこを探しに行こうかな。
階段を降り、研究室へ向かう。鍵はアルバートくんが持っているのでそのまま頑張って進む。大体のパターンは覚えたからもう楽勝だ。
研究室のドアを開く。
椅子に座っているアルバートくんがいた。
向こうを向いていたが、私に気付いたのかこちらを向く。
目が、初めて出会ったときのような絶望に沈んだ目になっている。
アルバートくんは口をほとんど動かさずにこう言った。
「あぁ、生きてたんですね……」
私は走って近寄り、紙に書き出す。
[大丈夫だったか 何が来たか]
文の感じがおかしいけど、片言よりは圧倒的に成長したよね!?
アルバートくんは少し視線を泳がせ、
「何か飛んできたけど、もういないですよ。研究室には光魔法のせいか入ってこなかったですし。大丈夫です」
[あなたが落ち着いているように見える なぜ]
「度々こういうことはあったから、ですかね…」
度々何かが飛んできて刺してくる環境とかデンジャラスすぎない……?アルバートくんすご……
まあこの件は一件落着でいい、のかな?今後警戒しないとね……
研究室を出て居住区に向かい、椅子に座る。
えーとえーと、昨日の夜何か考えてたような……あ、アルバートくんへのプレゼントか。何がいいかなー。手作り系じゃないとここの普通にあるものと被るんだよね。
この世界来て何回も自分の身体を縫い合わせるうちに裁縫上手くなったし、防寒系の何かを作ってあげてもいいかも。
アルバートくんいっつも結構ダボダボのシャツ着てて寒そうなんだよね……靴下も結構ボロボロだし……アルバートくんは10歳くらいに見えるし、あんまり服に気使ってなかったのかな。いや、まず生命維持が最優先だったか。
……ん?確かこの魔境ができたの何年か前ってアルバートくん言ってたよね?
としたらアルバートくんは物心がつかないうちからここにいたってことなのかな?
アルバートくん過去語らなさすぎて何もわからないんだよね。っていうかそもそもここ異世界だし見た目通りの年齢とは限らなくない?
アルバートくんのところに向かい、年齢を聞いてみる。
[アルバートくんは何歳]
「えっ…………えーっと、14歳です」
思ったより4歳は高かったけど、まあギリ年下ではあるか。年上だったらアルバート「くん」とか申し訳無さすぎる……!
あ、そうだ。魔境ができたのがいつなのかも聞いておこう。
[魔境ができたのいつ]
「あー、それは………すいません、覚えてないです……けど、かなり前だと思います」
場合によってはアルバートくんまだ物心ついてないし、覚えてないのはしょうがないか。
文字も大分読めるようになってきたわけだし、禁書庫の本読もうかなぁ。ちなみにアルバートくんには禁書庫のことは教えてない。すごい気分悪くなるものとかが無いとは限らないからね。
[少し行ってくる 何かあったら図書館]
「あ、わかりました。いってらっしゃい」
アルバートくんがニコッと笑う。最初は青肌にえぇ……とはなったけど今は最高の顔と性格に撃ち抜かれてる気がする。弟か妹、ほしかったんだよなー。
……お母さんがいない以上、お父さんには死んでも言えなかったけど。
◆
禁書庫に到着。相変わらずこの魔法陣仰々しいな……多分これ、結界維持のための魔法陣なんだよね。真ん中の輝玉はエネルギー源みたいな感じかな。
多分これを使ってこのもともとあったであろう街の人々は避難できたんだろうね。アルバートくんによればここはカシェロンっていう国の中のクムリグエっていう街だったらしいし。
このカシェロンって国さ、国土面積がめちゃくちゃ少ないの!
地図で見たら国の半分くらい海に接してて、中にどでかい湖が2つもあって農業できなさそうな感じでどこでお金出してるんだって思うよね?
ここで出てくるのが異世界的なんだけど……人魔連絡大橋!
魔法によって築かれためちゃくちゃ大きい橋で、人族が多い大陸と魔族が多い大陸を繋げて、貿易とかの重要地点になってるみたい。
つまるところ、魔族との貿易のお金と人魔連絡大橋の関税で稼いでるってことだね。この世界では魔族と人族は昔の争いからもう和解しているらしいし、それが普通ってことなんだよね。そういうところはすごくわくわくする。
魔族は肌が青くて角が生えているらしい。それで、人族は地球の人類と似たような感じみたい。他にも図鑑にはエルフとか岩人とかリザードマンとか色々いるって書いてあった。
……そういえばアルバートくんは何族なんだろう?肌は青いけど角はないし、耳も尖ってないし……今度聞いてみよう。
おっと話が逸れた。今は禁書庫探索だ。
結構時間かかるなこれは……