君のことが好きなんだ
君のことが好きなんだ
君のことが好きなんだ。
毎日同じバスに乗り合わせる子。
僕より10は年下みたいだ。僕は28歳。彼女は有名女子高の制服を着ている。
漆黒の髪が肩にかかるくらいの長さで、後ろで一つに束ねている。前髪はきっちりそろえていて、前髪の下に、ぱっちりした瞳が印象的で。マスクをしているけど、持ってきた水筒を時々飲むから、すっと通った鼻筋や、イチゴみたいな赤い唇は知ってる。
毎日乗り合わせているうちに、ある時は隣に立ったこともある。たいていスマホでパズルゲームをしてる。
そして、終着停留所の、A駅で一緒に降りる。そこからは違う路線だから離れ離れになる。いつもそこで終わる。
僕はロリコンなんだろうか?いや、今までそんな年下の女の子を好きになったことはない。いつだって好きになったのは同世代だった。同級生、一つ年下、2つ年上。色々。そんな僕が今すごく熱い恋に落ちているのは、10以上も年下の女の子だ。
君のことが好きなんです。
いつも同じバスに乗り合わせる、色素の薄い髪をしたサラリーマンの男性。わたしよりきっと10以上としが離れてる、と思う。
スマホの時代なのに、文庫本を読んでる人。ブルーの文庫カバーが、なんかおしゃれで、
いつも何を読んでるのかな、って思うんだけど、私よりも身長がすごく高いから、背伸びでもしないとわからないのが惜しい。
鼻が高くて、指が神経質そうに細くて長くて、時折、目にかかりそうな髪を手で払いのけるしぐさがなんか可愛くて、いとおしい。
そう、愛おしい。
いつも同じ駅で降りるんだけど、実は私、あとをこっそりつけちゃったことがあるの!
A駅で一緒におりたあと、U線に乗って、5番目の駅。かなり大きい駅。
そこから徒歩5分の、東証一部上場企業のS社。
うっわ、エリートサラリーマンだった、って思った。
いわゆる自社ビルで、本社だった。従業員数は全国で10万人超える巨大企業。
うひゃあ、って思った。
家に帰って、ママにそれとなく聞くと、平均年収1200万以上。
そんな人だったんだ。
いや、人はお金じゃない。じゃない、けど。
まあ、うちのパパはもっともらってる会社経営者、なんだけど。
でも、いろいろ考えちゃうよね?もし、この人と結婚できたら、とか。
この二人は、結ばれる。
どうなったかというと、彼女が大学卒業後にその男がいる会社に入社し、それとなく距離が縮まっていった、というパターンだ。
まあ、月並みなお話でした。もちろんフィクションです。
読んでいただきまして、ありがとうございました。