Sunrise Sunset =II
注意:クッッッッッッッソつまらんです。
大半の人間は刹那、考えることがあるのではないだろうか。
小学校の登校時間、午前8時、彼は突如問うてきた。
「ねぇ、『死ぬ』って…、なあに?」
その人は答える。
「何、急に?変なヤツ。先生にでも聞いてみれば?」
投げやり口調で返された彼は、その考えをすぐにやめた。
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中学生の昼休み。午後の0時過ぎ、不意に彼は聞き出した。
「ねぇ、そろそろ死ぬよって言われたら、どうする?」
その人は答える。
「むっ、謎の既聴感が…。」
「なんだよ既聴感って…。」
「『既視感』の親戚くんだよ。」
「ふーん。まあいいや、話を戻そうではありませんか。」
「あぁ、そうだった。そうだなぁ、美味しいものを胃袋が押し戻すまで食べてぇ、父ちゃん母ちゃんの財産を全て捨てるまで豪遊して、友達が死ぬまで一緒に遊んで、笑い倒すかな♪」
「両親友人諸共皆殺しにするつもりか。」
「あははは!!旅は道連れ、ってね♪」
「『死なば諸共』の間違いだろ。周りの人間がこんなヤツの道連れにされるとは、とんだ疫病神め。」
「神様になれて私は非常に光栄だね。」
「流石だな能天気。」
「えへへ。」
予鈴と共に、その会話は途切れた。
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高校生の放課後、その話題は突然に、彼の一言から始まった。
「じいちゃんが逝った。」
「それは…、ご愁傷様です。君の尊敬してた人でしょ?」
「尊敬というか、変わった人で、少し面白い人生観の人でね。それで少し一目置いていたってとこかな。」
「君の『死』への意識は…、そのじいちゃんから?」
「たぶんね。一番最後に会った元気のない時だって、『見舞いなんてしみったれたことしてないで、早く自分の人生に花を飾ってこい。人間死ぬときゃ死ぬ。それが当然のことだ。』、なーんて言ってたし。」
「ほほぉ、こりゃまた聡明なおじいさんでありますこと。」
「見栄えだけだよ。ただ、諸行無常をありのままに受け入れすぎてるだけだ。それこそ、気味の悪いくらいにね。」
「えっ何?『しょーじょーむしょう』?」
「『しょぎょーむじょー』!!」
「あー!!はいはいあれね、あの有名な言葉ね。」
「知っていたら東大に行けるレベル。」
「なんだと!?ならば私、将来はハーバード大学にさえも行けてしまうのでは…。」
「(本気でこいつの将来が心配だ…。)」
「しかし、そんなことを言っている私でさえ、もう既に17歳になりかけちまった。ババアだよババア。年金でももらいたいね。」
「17をババア扱いするんじゃない。日本を滅ぼす気か。」
「でも17なんて、それを超えてちょっとしちまえば、もうほぼ社会人みたいなもんだぜ社会人。働き続けてあとは死ぬだけ。それを考えたら、君のじいちゃんの考えなんて、気が楽になる魔法の言葉じゃない?『生きて死ぬ』より、『死ぬまで生きる』。はっ、そうか。その考えならば、私は面倒な君の葬式でわざとらしく泣く必要もないのか。気楽気楽♪」
「そのセリフはまず俺より長生きしてから言え。お前の方が何かの拍子にすぐ逝っちまいそうな性格してるんだし。」
「むむっ、そこまで言うのであれば勝負と行こうではないか。先に逝っちまった方が負けな。負けた側は勝った方を世界一周旅行に連れてく。勝った方は泣くのと哀愁に浸るの厳禁。それでいいな?」
「いいけど、霊が付き纏いながらの旅行とは、童話でも書けそうだな。」
「その印税は私がもらう。」
「では我々出版側の割合を9として販売いたしましょう。」
「訴えてやる。」
「弁護士を探すから一旦帰らせろ。」
「心得た。」
赤橙色の陽光正面、見慣れた道から2人は帰る。
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人の犇くキャンパス内、であった。先程までは。
「君の様子が懐かしく思うよ。」
「長い旅でもしてたんじゃないのか?」
午後の7時であった。
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高台からの色具合、夏、これ程までに映えるものは無いだろうと言わんばかりの黄昏の景観を見つつ、2人は語らう。
「昔、じいちゃんの言ってたセリフを思い出した。」
「またヤツか。」
「ヤツって言うなや。まあいい聞け、忘れないうちに言っておく。人が死ぬまでってのは、太陽に似ているらしい。」
「永遠に日光で人に迷惑を掛け続けるって意味?」
「そんな不幸な意味合いは持ち合わせてねえよ。単純に、生まれは日の出、還るは日没ってだけだ。」
「成る程。そして地球に生まれるものが全て同じものを持つかと言われれば、実はそうでもないってことね。」
「そういうことらしい。生来のものは変化も改造もできない。ただそれらが時に流れる様を達観するしか俺たちには出来ないってことだ。それ以上は考えても仕方ねえ。到達点じゃなくて今に足を降ろせ。それがベストだ。」
「言われなくても、こうして実行してるじゃないか。」
「こんなんでいいのか?」
「こんなんでいいの。大きく出ずに、いま『そうしたい』と思ったことをしているだけ。」
「肝が据わっていらっしゃる。流石だよ。」
「お褒めに預かり光栄です。栄え過ぎて光にでも成れそうだ。そうだ、光というのであれば、死後はみんな月にでもなるのかな?」
「と言うと?」
「宗教的に死後の世界を考えるんだったら、それは月ってことになるね。事象に大きな変化は無くとも、そこに存在し続ける。形を変えて認知しても、それは見上げる人間の範囲。時には消えて、時には元に戻る。お盆休みが懐かしい♪『私は常に、皆をそこから見守っています』、的な?」
「なるほどねえ、ならば俺のことを頼むよ。」
「ガッテン承知!!言われなくともそうするつもりさ。」
「会えるか?」
「会えるよ。会ってみせる。」
「そりゃ、全然心配いらねえな。」
「任せておきなさい!!」
沈む希望、叶わぬ願望、時に流れる2人の人間は、沈む日を背に帰っていった。その日はやけに、沈む夕日が早く感じた。
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達観、諦観、時の流れを受け入れる。それらを掲げ、この世の諸行を背負うことは出来たとしよう。しかしどうだろう。意識と無意識は何とも仲違いをするものである。本心が安易と現象を受け入れることができないのは、人が生まれ持った性と言えよう。沈みゆく夕陽を、ただそこにあるものとして漠然と感じてはいても、無意識に目の端、心の底にそれは留まる。存在するものに『見なければいい』という理論は、究極的には通用しないのだ、意識してしまった時点で人間の敗北である。例にも漏れず、彼にもそうした情動は伴う。勝負など、端っから勝負とは言えなかったのである。
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夜中なのであろうか、突然2人は出会ってしまった。
「おや、遅かったではないか。待ちくたびれたよ。」
「これで勝負は俺の勝ちだ。さあ、どうしてもらおうかなぁー♪」
「何を言ってるんだい。勝者の禁則事項を犯してしまったクセに。あの自身はどこへ行った?ハッタリか?」
「ハッタリも何も、お前さんのことを少なからず思っていたって証拠だ。有り難くお…も…、ん?どうした?」
「…、いやぁ、やめてくれよ照れ臭い…。」
「ああ、そういうことね。ごめんごめん。そういえば、勝者が禁則事項に触れた場合を考えていなかった。」
「ふむ…、まあ答えは一択だろうね。」
「するとつまり?」
「2人で旅行をします。」
「それは…、一体全体どこまで行く旅行なのでしょうか?」
「君には私と永遠なる旅路を彷徨ってもらおうじゃありませんか。」
「ほほう、面白そうじゃありませんか。ならば早速行きましょうか、おばあさま。」
「今は女神様だ。それでは行きましょうか。世界を見に。」
「いざ。」
「いざ。」
2人は旅立つ。有限無限の存在をも知らぬその世界を。
諸行は時に思い通りに、時に意に背き、無常に流れる。争い、受け入れ、その果てに幸福を求めながら、人は今日も生きてゆく。
誹謗中傷意外、暴言以外で、偶然にもこれに出くわしてしまった方は、何でもいいので感想をいただけると有り難いです。あとこれ結構テキトーに書いてます許してください。




