第14話 ライバルと彼女の真意
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第14話 ライバルと彼女の真意
水龍園グランドパーク、そこはいつも瑠衣那さんと一緒にスイミングの練習をしていた場所であった。まさかそんなところで恵那羽先輩と泳ぎの勝負をすることになるとは・・・俺は立ち向かう。恵那羽先輩の真意を暴くために。
未生「よし、シャワーも準備体操も完了した。あとは先輩が来るのを待つだけか。」
恵那羽「準備はできたようね。早くコースに立ちなさい。」
言われるがままに俺はコースに立つ。そして、両者が飛び込む。
未生(僕は負けられないっ!たとえ年上だろうと女の子だろうと手加減はしない!)
恵那羽(早いわね、やっぱり池畑くんも相当やり込んでるみたいね。)
両者はひたすら泳ぎ続ける。気づいたらまわりにはギャラリーが大勢いた。
ギャラリーA「ちょ、あいつら、本当に小学生の実力か?」
ギャラリーB「まさか小学生でここまでやるとは・・・それも男女でのミックスファイトだぜ。」
ギャラリーC「これ、どっちが勝つかわからないよな。男の子のほうが少し前に出てるけど。」
まさか彼女が俺とここまで張り合うとは・・・何かしら認められたいことがあるんだな。それとも、俺が何かをやらかしたとか・・・だがそれはそれ、これはこれ。今は勝負に集中!
ギャラリー「ちょ、もう100メートルを超えてるだろ・・・こいつら・・・もはや小学生離れしてやがる・・・!」
そして彼女がついに床に足をつく。その後は俺が無事ゴールにたどり着いた。
恵那羽「悔しい・・・私よりも年下に負けるなんて・・・池畑くん、これで勝ったと思わないでよね。」
未生「もう1回やりますか?今からでも遅くはありませんので。」
恵那羽「やるわよ。絶対に負けないんだから!」
それでも必死で粘る彼女・・・いい加減しつこいな。あんまりしつこくしすぎると本当に頭から沈めて溺れさせるつもりでいるから覚悟しろよな。
恵那羽「どうして・・・どうして勝てないのよ、私は!」
未生「これでわかったでしょう。恵那羽先輩には守るものがないからです。」
恵那羽「何よ!池畑くんになにがわかるっていうの!?」
未生「何がわかる?確かに何もわからないでしょうね。そのわからないことをわかりたいからこうして僕は恵那羽先輩と勝負をしています。そして恵那羽先輩がどうしてそんなに僕に冷たく当たるのかを知りたいですね。」
恵那羽「私のこと、何も知らないくせに!」
未生「知りたいからここにいるのです!もういい加減理解してください!」
そして恵那羽先輩は私に対して平手打ちをしようとする。俺はその手をつかみ、彼女をプールへと落とす。
未生「往生際が悪いクズ女め・・・たとえ先輩であろうと容赦しない。がっかりです、恵那羽先輩。
僕はもうおいとましますので、僕に勝てるようしっかりと練習してください。」
そして俺はプールサイドから立ち去ろうとする・・・そんな時・・・
恵那羽の父親「すまないね、君が池畑くんだったね。うちのバカ娘が迷惑をかけたようだ。ちょっと君、来てもらえるかい?恵那羽、池畑くんたちと一緒に話し合おう。」
恵那羽「父さん・・・まあいいわ。聞くだけ聞くわ。」
こうして俺と恵那羽先輩の親子と色々と話を聞くことになった。
恵那羽の父親「いつも恵那羽は勝負になるといつも勝つことばかりにこだわるのがやめられなくて・・・特に池畑くんを見た瞬間から本気を出すことにこだわりを持ちたがるようになって・・・彼女も実は水泳大会の常連で何度も優勝をしていたけど、前回の大会の前にケガをして出場できなくなってしまって、それ以来誰とも関わり合いを拒否するようになってしまったからさ。」
未生「そうだったのですか・・・僕も人間関係のこともあって、それで恵那羽先輩がどうしてそんなにも冷たく当たるのか・・・それが気になってしまいまして・・・。」
恵那羽の父親「私も色々と手を尽くしたいけど・・・どうも恵那羽はどうしても心を閉ざしてしまって・・・。」
恵那羽「確かに私はケガで水泳大会を棄権したことがあったわ。いつも私は水泳大会で優勝をねらっていた・・・そして毎回大会で優勝・準優勝という好成績が並ぶようになって・・・だけど交通事故のせいでそれが台無しになって・・・それを機に人との付き合いも捨ててまで自分のためだけに水泳をやろうと思って・・・だけど、池畑くんが来てこうして張り合えて・・・なのに・・・どうして私は・・・もう誰とも分かり合えないよ、私。」
恵那羽先輩は俺に対して泣きじゃくる。その泣き顔を見た俺も共感することにした。
未生「ごめんなさい、さっきはプールに落として見下したり悪口を言ったりして本当にすみませんでした。水泳部に入ったときからあんなに冷たく当たられて頭にきてしまいまして・・・。」
恵那羽「私を・・・許してくれるの?私は、池畑くんに冷たく当たったのよ。それをどうして許すの?」
未生「どうしてって・・・お互い水泳部の部員同士じゃないですか。恵那羽先輩がいなければこうして久々にヒートアップできませんでしたので。そこで恵那羽先輩がいてくれたからこそ最高の勝負ができました。これからは良きライバルとしてお互い頑張りましょう。」
恵那羽「池畑くん・・・わかったわ。これからはライバルってことでいいのね。だったら、池畑くん、絶対に誰にも負けないように頑張りなさい。君を倒すのはこの私だからね。」
未生「望むところです。お互いベストを出しつくしましょう。」
俺と恵那羽先輩はこれを機に良きライバル関係となった。そして水泳部にて・・・
恵那羽「みんな準備してくれたのね。ありがとう。」
未生「どういたしまして。僕もいっぱい役に立ちたいので。」
飛美佳「へぇ~、まさかあの恵那羽がここまで優しくなってしまうとはね。」
千恵美「そういえば、この前のツンケンがなくなっていますね。」
ノエル「まさか未生ちゃんが彼女を手懐けるとは・・・さすがだね、未生ちゃん。」
未生「僕も色々とね、彼女の事情がよくわかったから。優勝・準優勝が並ぶ彼女の苦しみがどれだけ重いものかをね。」
恵那羽「すまなかったわ。君たちには本当に迷惑をかけたわね。」
千恵美&ノエル「とんでもないです。私たちも色々と悪口言ってごめんなさい。」
未生「謝る必要はないよ。むしろ感謝するべきだよ。恵那羽先輩、これからもよろしくお願いします。絶対に負けませんよ、もう一度戦うまでは。」
恵那羽「その意気よ。それに池畑くん、最高のパートナーをもったわね。」
その通りである。まさかこうもすぐにフラグが立つとはな。おかげでこっちも1周目の時よりも本気を出せたからな。なにはともあれ、また新たにライバルが増えた。これは誰にも負けられない!勉強も部活も、そして娯楽もみんな両立しまくる。努力ほど素晴らしいものはない。これからは恵那羽先輩と毎日張り合うことになり、泳ぎの技術も上達していった。こうして張り合ってくれる誰かがいることに感謝せねば。そんな思いを背負いつつ、前に進むことを緩めない俺であった。
第14話 おしまい