第12話 6人は災難に立ち向かう!
+α/ν'Game-Life 後悔の弱点は「プラスアルファ」!
第12話 6人は災難に立ち向かう!
俺を含むアビリティホルダーは今のところ6人、そのうちのエルフが1人。彼女はサーリャ。そう、彼女も2周目の人生を歩むことになった。彼女は1周目の人生では私が済んでいたシェアハウスの管理人をやっていた。彼女はいつも最高の料理やサービスを提供したり日帰り旅行に連れて行ってくれたりとしてくれていた。それはあくまで表向きであり、その実態は素っ気ない態度でキツく当たり、人を見下しては友好関係さえも引き裂こうとするほどのサディストであった。そのせいで俺は1周目では持病のパニック障害が悪化し、包丁を持ち出したり地団駄を踏んだりすることになってしまった。というより私がそう思っていただけだったのかもしれない。俺は「飴と鞭」という言葉を一切信じなかった。そんなものは優しいのか厳しいのかはっきりしないだけの性悪と思っていた。だが後悔はしていない。この2周目ではもうそんなものはない。管理人も贖罪のために2周目の人生を歩むことを決意し、エルフとして生まれ変わった。これでもうお互い貸し借りはナシだ。
未生「よし、今日もいっぱい頑張らないと。」
俺はいつも通り毎朝校庭を11周走っていた。これは1周目とかわらないルーティンである。もちろん勉強も小学校3年~中学2年の分をすべてやっていた。これはもう言うまでもない。とにかく努力三昧、それを忘れないのが俺の美学である。そして休みの日・・・
エルダール「彼女たちにはアビリティの使い方を教えておいたわ。私たちはチームで戦うことになるからね。えーっと、未生ちゃん、栗子ちゃん、リンネちゃん、千恵美ちゃん、ノエルちゃん、サーリ
ャの6人ね。」
未生「ところで、僕たちのチームはどんな活動をするのかな?」
エルダール「今日は清瀬市の町内のパトロールと悪党の排除、弱い者、他と何かが違う誰かを救うための任務よ。」
未生「いよいよアビリティを活かした任務が行われるんだね。頑張ろう。」
千恵美「私たちも初めての活動ね。頑張らなくちゃ。」
ノエル「私もいっぱい頑張らないとね。」
栗子「お姉ちゃんたちにも負けられないわ。私も前向きにいかないとね。」
リンネ「私たちの活躍、しっかりみんなに見せてあげたいわ。」
サーリャ「みんな、私たちも協力するわ。池畑くん、サポートおねがいね。私もうまくやっていくから。」
こうして我々は町内のパトロールを行い、防衛任務が行われる。
未生「ここらは問題ないみたいだね。あとは・・・こっちも何もなしか。」
町は平和そのものである。事件もなにもなかった。まぁ、こんな状態が続けばいいのだが・・・。
千恵美「何か怒鳴り声が聞こえるわ。これは高齢の男が怒鳴っているようだわ。」
未生「あいつか。あの路上生活者の独り言か。1周目じゃ逃げてばっかりだったが、今は存分に戦える!」
俺は奴に罰当たりのアビリティを付加しておいた。効果は暴言を吐くことに言葉の荒さに応じて寿命が減るという設定にしておいた。事前に4人ほど犯罪者を生け贄にしておいたから12000ほどは稼げていた。罰当たりのアビリティは付加だけなら4000、罰当たりの効果指定は4000ほどで、合計8000、これなら4000ほどの黒字になる。そして、路上生活者に気づかれ、自転車で追いかけてきた。
未生「逃げるぞ!気づかれた!」
とにかく走りまくる我々・・・そして信号が赤になる直前でうまく渡り切り、その後、信号無視をした路上生活者が車にはねられる。どうやら俺たちを追いかけるあまりに信号には眼中になかったらしい。
未生「ふぅ、助かった。とりあえずリードアイによると奴は78歳だったから、それも相当荒っぽい言葉だったからものすごく寿命が減ったようだな。その関係で車にはねられてあの世行きという結果になったようだな。」
まぁ、結果的に老害を排除できたし、このままパトロールを続けるとしよう。実はだ、俺は事前に4人ほど犯罪者を生け贄にして大量にAPを稼いでターゲットリザーブを習得し、プライスチェンジャーのアビリティも得ておいた。4人でだいたい14000くらいだからターゲットリザーブは8000、プライスチェンジャーは5000、ギリギリ1000残った。そしてターゲットリザーブの人数は20人ほど指定し、もしものときのためにいつでも代償を移し替えることができるように下準備はしておいた。そして、母親と思われる人物が子供に手をあげている行為を見かけた。
未生「いい大人が子供に手をあげるとは・・・許せない!」
子供が泣き叫び、母親らしき人物が怒鳴り続ける。そこでその母親らしき人物をプライスチェンジャーの標的に指定し、自身へのAP獲得の代償を対象の人物に移し替えることになった。そして、母親らしき人物が苦しみだした。
母親らしき人物「きゃああああああああああああ!!」
へっ、ざまぁみろ。なめんなよ、アビリティホルダーをな。20人ほど生け贄にしたからだいたい30000くらいはAPが増えた!児童虐待などもってのほか!子供を虐げた罰にはふさわしい。
千恵美「ちょ、今、何をやったの!?」
未生「ちょっとね、ターゲットリザーブというアビリティを付加して事前に生け贄にする人物を20人ほど指定して、いつでも発動できるようにしておいたんだ。そしてプライスチェンジャーで自身へのAP獲得の代償を対象の人物に移し替えるという方法で天罰を与えてやったのさ。」
千恵美「それもなんだか恐ろしいわね。生け贄がAP獲得方法のやり方ってなんだか野蛮だわ。ここからは私が負の感情を吸収してなんとか対処するわ。もちろん疲労回復大のアビリティでいつでも回復できるからね。」
未生「それはありがたい!サーリャは確か善行によってAPが増えるんだっけ。」
サーリャ「そうよ、ただ、あんまり稼ぐと利き腕が痛くなるから、あんまり過保護にやると腕を動かすこともつらくなるから・・・。」
ノエル「そのときは私たちもサポートするわ。」
リンネ「こういうときこそ仲間意識をもたないとね。」
栗子「みんなでがんばれば悪事もすぐになくなるわ。がんばりましょ。」
俺たちはこうして負の感情や悪意を打ち消しまくり、事件や事故がない1日となった。そして夜・・・
未生「今日は本当に楽しかったね。これでしばらくは・・・!?」
そして、テレビにて思わぬニュースが放映されていた。
ニュースキャスター「えーっと、刑務所から脱走した受刑者たちが路線バスを奪い、高速道路にて暴走した際に一般道へと落下し、乗車した受刑者が全員死亡という結果に・・・」
なんだか後味が悪いニュースだったので即座にチャンネルを変えた。そのチャンネル先は動物関連のバラエティ番組だった。とりあえずこの番組を見てニュースのことは忘れよう。
リンネ「どうした?顔色悪いけど。」
栗子「まぁ、交通事故というのはいつ起こるかわからないし・・・。」
そうはわかっていたが、さすがにこれは気分が悪い。確かに代償を移し替えれば自身が苦しむことはない。だが別の不安感があった。何を恐れている!?俺はこの世界を変えたいんじゃないのか?そうだ、そのためにいっぱい努力をして誰よりも世界を救えるように強くならなければならない。
美玖「それにしてもすごく大変だったわね。刑務所から脱獄して交通事故でみんな死んじゃうなんて。」
尋「世の中何が起こるかわからないからな。気をつけろよ。」
まったくだ。本当にどうなるかわからない世の中である。いずれは首都圏直下型大地震とかが起こるかもしれないという世の中だからな。果てには1999年にノストラダムスの予言があるというが、結局それも1周目では外れた。未来予知で確認したが、やっぱり外れていた。所詮予言などその程度のものだ。しかし自然災害などはどうにもならない。そして休み明け・・・
嶺吾「どうした?顔色悪いな。まさか、あの事故か?受刑者がバスを奪って高速道路から落ちたとかいう・・・。」
未生「それもあるけど・・・誰かを失うというのはちょっとね、どうして犯罪者とかが増えるのかなって。」
嶺吾「それはもう仕方ないさ。僕も誰かが悪いことをするというのは心が痛むよ。その気持ち、すごくわかるよ。」
未生「ありがとう、少しは安心したよ。」
嶺吾「まぁ、何か気になることがあったらいつでも話してくれよ。相談にのるから。」
俺はしばらく嶺吾を頼ることにした。そう、誰かがいなくなることに心を痛めるようになっていった。それが犯罪者なら何も抵抗はないが、何も罪がない人物がいなくなってはさすがに心に傷がつく。それを阻止するのは我々アビリティホルダーである。俺は自身との戦いに挑み、この世界、そして自身の歴史を修正する。そう、そのための2周目である!そしてサーリャという心強い仲間が加わって鬼に金棒である!俺たちはこれからも平和を維持していく!
第12話 おしまい