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第10話 夢と不甲斐ない人生を歩んだ結果

+α/ν'Game-Life 後悔の弱点は「プラスアルファ」!


第10話 夢と不甲斐ない人生を歩んだ結果


 結局俺はいつもの日常を過ごしていた。犯罪者を生け贄にしてAPを稼ぎ、色々と歴史を修正しまくっていた。もちろん勉強や運動をかかさず、文武両道三昧の日々であった。そして某日の夜・・・俺は夢を見ていた。


未生「ここは・・・レストランの厨房・・・さて、今日もいっぱい働かないとな。ん?研修生か?初めまして、私、この部署を務めている池畑未生であります。」


千恵美「新入社員の井上千恵美です。よろしくお願いします。」


 1周目で彼女と初めて会ったのが2017年だった。このころは俺が31歳で、彼女が18歳であった。彼女はいつも私と顔が合うたびに笑顔でふるまってくれていた。社会人になってから異性との付き合いは無関心になっていたが、彼女と出会ってからまた決心しようと思っていた。今度こそ学生時代の失敗を繰り返さないようにと・・・しかしそれでも暴走しがちの状態ではあったものの、学生時代のような奇行にまで発展することはなかった。そうだ、俺は彼女とうまくやっていこうと思っていた。そしてこの数年前にもあこがれの女性がいた。そう、それが今のリンネお姉ちゃんであり、1周目では彼女は私の好きな年上社員であった。


リンネ「池畑ちゃん、これ、よろしくね。」


 彼女は俺のところに大量の食器を運んでいた。俺も一生懸命流し続けた。とはいえパートナーの屁理屈ババアとのケンカも絶えず、何かあればすぐに口論になっていた。他にも料理長がとんでもない毒舌ゴリラ野郎であり、私がいる中でもほかの社員に対して悪口を言ったりするほどの人間のくずもいた。まぁ、この2人さえいなければ特に何も問題なかったけどな。そしてシェアハウスでもそうだった。管理人とも人間関係がうまくいかず、俺はいつもパニック状態に陥り、地団駄を踏んでは暴れまくり、しまいには包丁を持ち出したりと色々と問題を起こしていた。どうして俺は人の親切を受け入れようとしないんだろうか・・・だから俺はいつも母親にも怒られたりもしていた。確かに俺も色々と伝えることを伝えようとしないで怒られても仕方ないと思っていたが、俺は管理人のことをあまりにもカチンとくるような言い方や敬語などでよそよそしく振る舞い、善人を演じていただけの偽善者としかとらえていなかった。どうして俺はそう思うようになったのだろうか。せっかく素晴らしい料理やサービスを提供したり色々と楽しいところに連れて行ってくれていたのに・・・そんなわけで1周目はそういったふざけたことばかりをやり続けていた。そんなことで俺はなぜ身を投げ出して健常者に生まれ変わろうと思ったのだろうか。確かに俺は健常者たちのことを正義を振りかざして障害者共を見下す下衆げす共の集団だと思っていたが、千恵美に関してはそうではなかった。彼女と出会ってから健常者たちを少しずつ見直すようになっていった。


 そして、千恵美は・・・


千恵美「今年からまた別の部署で働くことになってしまうのね。」


未生「そうか・・・俺は本当に君に迷惑をかけたよ。また新しい部署でもがんばってね。また休憩時とかに会えることを願う。というわけでノエル、千恵美のこと、よろしく頼む。」


ノエル「はい、彼女のことはまかせてください。」


千恵美「池畑ちゃん、落ち込まないでください。またいつでも会えますよ。お互いこれからも頑張りましょう。」


 千恵美はそう言って俺に一言申し出た。1周目は学生のころは本当に無様な人生を歩んできた。中でも高校時代ではラグビー部同級生のマネージャーの1人に何度も電話をかけ続け、職員室に呼び出され、退学処分になると思いきや、様子を見るという形で退学を免れることになったという事態も経験している。もちろん被害者に対して謝罪した。それだけではない。担任の先生さえもクズ野郎であった。俺が書いた作文の一部をわざと間違えて、それを指摘しても直そうとしないで俺につらく当たるばかりであった。本当にクズ野郎であった。ラグビー部の監督に至っては平気で女性を泣かすほどの不届き者であり、最大の偽善者であった。一言でいえば俺たちが通っていた学校は表向きではミックスカリキュラムという健常者と障害者がともに学んでいくという特色ではあったが、その実態は健常者が障害者を見下したりする等のゲス共の集団であった。これにより俺は健常者を憎むようになった。相手が悪ければ何をしても許されると思い込んでばかりの正義中毒者の集まりといっても過言ではない状態であった。小学校・中学校に至っては男子は剣道や武道、女子はバレエやダンスといったカリキュラムもあったが、それはまさに男女差別の権化ともいえる状態だった。本当に俺はよくそんなクズ共の集まりの中でもがき続けて希望を求めたものだ。だがこの2周目ではもうそんな奴らと会うことはもうないだろう。このまま色々と修正し続ければもうそんな事象ともおさらばである。そして1周目の夢を見続けて眠りに落ち、翌日・・・


未生「おはよう・・・。」


栗子「おはよう、お兄ちゃん。どうしたの?顔色がすぐれないけど。」


未生「ちょっとね、僕、色々と夢をみていたんだ。きっと前世の出来事だとは思うけど、夢の中では僕は大人になっていて、栗子は僕が通っていた会社の後輩社員で、リンネお姉ちゃんが年上社員だったという夢で、僕は職場のレストランでお皿を洗うという仕事をしていたんだ。それでね、夢の中では千恵美ちゃんもノエルちゃんも後輩社員だったということでね。」


リンネ「未生ちゃんも夢を見るんだね。正直私も夢の中で未生ちゃんと一緒に同じ職場で働く夢をみてたんだ。未生ちゃん、あいさつもちゃんとできて仕事に前向きでね。」


 ちょっと待て・・・彼女たちにも1周目の記憶が受け継がれている・・・だと!?彼女もプラスアルファ・ニューゲームの適合者に選ばれたとか・・・?とりあえず彼女たちもエルダールたちのところに連れて行こう。そして休日・・・俺は彼女たちをエルダールのところに連れて行った。


エルダール「えーっと、栗子ちゃんとリンネちゃん・・・だよね。」


リンネ「はい、私が池畑リンネです。よろしくお願いします。」


栗子「私は池畑栗子です。よろしくお願いします。」


エルダール「2人ともよそよそしいわね。いい?私たちエルフはフレンドリー精神を持っているの。そのため敬語は禁止で、呼び方はくん・ちゃん付け、もしくは呼び捨てで統一よ。」


リンネ「わかったわ。エルダールって呼ぶわ。私のことはリンネでいいわ。」


栗子「エルダールね、私のことは栗子ちゃんって呼んでね。」


エルダール「わかれば良し。それで何の用?」


未生「僕のお姉ちゃんと妹がね、1周目の記憶を持っているみたいなんだ。1周目ではリンネは僕と同じ職場の年上社員で、栗子は年下社員だったんだ。」


エルダール「なるほどね、ちょっと調べさせてもらうわ。」


 エルダールはリンネと栗子の1周目の人生の情報を調査することになる。その間、俺はフィンダルと色々と今後の人生相談をすることになった。


未生「いっそのこと、お姉ちゃんも栗子もアビリティホルダーにしようと思うんだが、どうかな?」


フィンダル「なんじゃ?なぜそんなに実の姉妹をアビリティホルダーにしたいのじゃ?」


未生「今後僕たちの身に何かがあった時のために・・・それを考えて彼女たちもアビリティを使えるようにしておきたいと思って・・・。」


フィンダル「それは危険じゃ。わらわはおすすめしない。アビリティホルダーになったらAPを得たりするのにそれなりのリスクを受けることになるのじゃ。お主は生け贄によって対象の残りの寿命分×100のAPを得られ、千恵美の場合は対象の人物の負の感情を吸収してAPを得る代償として疲労が蓄積されてしまうというリスクをもっておる。もし2人がアビリティホルダーになったらどんなAPを得る条件になるかがわからんのじゃ。」


エルダール「話、終わったよ。彼女の1周目の記憶の引き継ぎは未生ちゃんが屁理屈ババアとゴリラ野郎を生け贄にしたことによって発生した事象で、兄2人のかわりに姉1人、妹1人がいたらという理想が具現化したということよ。」


未生「それと、姉妹2人をアビリティホルダーにしたいのだが、大丈夫かな?」


栗子「アビリティホルダーってなに?」


リンネ「よくわからないけど、なにかしら?」


未生「アビリティホルダーというのは、能力持ちのことで、設立でアビリティを付加したり、改変でアビリティの効果を変えたりすることが可能なんだ。ただし、アビリティを付加したり書き換えたりするのはアビリティポイントというのが必要で、APを得る方法も人それぞれなんだ。APを得る方法って任意で決めることは不可能だろうか?」


エルダール「それはちょっとわからないかな。人それぞれということは・・・そうだ、思い出した!古文書によるとAPを得る方法は人それぞれの好みによって決まるという効力があったわね。」


未生「そうか、千恵美ちゃんの場合はお互いが仲良くできる環境を望んでいたから負の感情の吸収というAP獲得方法を身につけたんだ。リンネと栗子は何が望みなんだ?」


リンネ「私もお互いが仲良くできる環境が望ましいわね。千恵美ちゃんと同じよ。」


栗子「私は甘いものとかがいっぱい食べれることが望ましいわ。いわゆる食欲ね。」


未生「だけど代償はどうなるんだろうか。負の感情の吸収は疲労が蓄積される、食欲の場合はどうなるんだろうか?」


エルダール「食欲の場合はAPを得る代償に関しては頭痛かな。」


未生「ちょ、頭痛って・・・大丈夫か!?これじゃ栗子がかわいそうだよ。」


エルダール「そうか・・・だったら未生ちゃんが頭痛耐性のアビリティをつければいいんじゃない?」


未生「そうか、その手があったか。よし、栗子に頭痛耐性のアビリティを付加し、リンネお姉ちゃんに疲労回復のアビリティを付加しよう。」


 頭痛耐性の付加はAP2000か。これで残り16770、疲労回復大のアビリティは1000、これはお姉ちゃんに付加しよう。残りAP15770これでアビリティホルダーにする条件は整った。あとは細胞接触によってアビリティホルダーにするだけ。あとは細胞結合促進のアビリティを2人に付ける。これらはAP3000必要。2人分で残りAP9770、よし、とりあえずキスすれば細胞接触は可能かもしれない。


未生「えーっと、いきなりで申し訳ないけど、キスとか、していいかな?いずれ好きな人と付き合う

ようになったときの練習も兼ねて・・・。」


リンネ&栗子「ちょ、そんな!」


リンネ「キスだなんて・・・まぁ、肉親同士なら抵抗はないかな。」


栗子「私も悪くないと思うんだけどね。」


 2人は俺とキスをすることになった。


未生「大丈夫かな?目をつぶっててね。」


 俺は2人とキスをすることになった。唇と唇が触れ合う感触・・・2周目のファーストキスの相手が実の姉妹とは・・・だが異性と初めてキスをしたことに変わりはない。そうだ、ファーストキスと同時に姉妹もアビリティホルダーになることができるとは・・・これでさらに歴史の修正要員が増えた!


リンネ「これは・・・相手の情報が見えるわ。」


栗子「本当だ、相手のアビリティとかもいっぱい見れるわね。」


エルダール「それはリードアイといって、相手の情報を見ることができるアビリティよ。そして設立によってアビリティを付加したり、改変によってアビリティの効果を書き換えたりできるわ。ただし、設立や改変には規定値のAPを消費するから気を付けてね。」


未生「これでみんな一緒だね。みんなで世界を変えていきましょうね。僕もいっぱい努力を積み重ねてこの世界をどんどん変えていきたいな。」


 こうして俺たちきょうだいはみんなアビリティホルダーになることができた。これなら俺がいない時でも彼女たちが代わりに何かを修正することができるようになるはず。あとは彼女たちがどのようにアビリティを使用するかが問題である。とにかく俺は自身の努力を続け、自堕落にならないようさらに自身を磨き上げる!


第10話 おしまい

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