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第1話 後悔と再起

皆さんは「強くてニューゲーム」という言葉についてご存知でしょうか?


強くてニューゲームというのはクリアデータ等の選んだセーブデータのステータスを引き継いでニューゲームを行うというシステムであります。この言葉が初めて使われた作品はクロノトリガーというゲームで、一度ゲームをクリアすると強くてニューゲームというシステムが可能になるというシステムが導入されています。


それにちなんで私は人生に強くてニューゲームの概念があったらきっと努力し直して今度こそ明るい人生を歩みたいと思い、当該作品を思いつきました。


+α/ν'Game-Life 後悔の弱点は「プラスアルファ」!


登場キャラクター

(ここではメインキャラのみ紹介)

池畑未生いけはたみお:この物語の主人公。1週目ではいたずら好きで、パニック障害持ち。思い通りにいかないとすぐにキレて暴れたりする等の奇行が多い。しかしその一方で、与えられた課題等に関しては最後までやり遂げようとする誠実な人物でもある。


エルダール:1000年も生きているといわれているエルフの少女で、エルフとしては族長でもある。未生との人生相談の結果、未生が気に入らない人物を生け贄に捧げ、事象を捻じ曲げて未生にリードアイ(相手のステータスを見る能力)、設立(自身・相手にアビリティを付加する能力)、改変(自身・相手のアビリティの効果を書き換えたりする能力)、錬金術(調達した素材で自身の思うがままに物体を錬成する能力)を与え、人生のやり直しをさせることになった。


池畑リンネ:未生の姉で、年齢差は3つ上。かわいいものが好きで、弟の未生を誰よりもかわいがっている。スタイル抜群。


池畑栗子いけはたくりこ:未生の妹で、年齢差は1つ下。お兄ちゃん大好きっ娘。


井上千恵美いのうえちえみ:1週目は未生と同じ職場の後輩社員。2週目は未生の幼馴染で同級生でもある。


大森おおもりノエル:1週目は千恵美同様未生と同じ職場の後輩社員。2週目では未生の幼馴染で同級生。


大貫紀里谷おおぬききりや:未生が通っている小学校の同級生の男の子でクラスメイト。未生の親友で、異性に目がなく、いつも女の子の話題になると積極的である。


新富里桜しんとみりお:未生の同級生の女の子で、紀里谷同様クラスメイト。クラスの中で誰もが憧れる存在。


新葉紫苑にいばしおん:池畑家の屋敷のメイド長。三つ編みのおさげのメガネっ娘。多少厳格だが、ものすごく頼りになる存在である。バストのサイズはJカップ。


西田瑠衣那にしだるいな:池畑家の屋敷のメイドの一員で、水色の外ハネのショートヘアーで褐色肌の僕っ娘。ハイテンションでアクティブな性格。バストのサイズはGカップ。


忍森恵乃おしもりえの:池畑家の屋敷のメイドの一員で、ピンク色のウェーブがかかったロングヘアーであり、13人のメイドの中で最大の巨乳の持ち主。そのサイズはLカップ。だが彼女の正体はエルフであり、「エノ」という名前である。


サーリャ:1周目では彼女は未生が住んでいたシェアハウスの管理人で、2周目ではエルフの女性。エノの姉で、藍色のロングヘアーでバストはJカップ。


フィンダル:エルダールと同じく1000年も生きているというエルフ。のじゃロリ。清瀬市の人類監視所の所長をつとめている。


※当該作品は作者の体験談を基準としたフィクションです。一部実在の地名・駅名・企業名・団体名等が含まれることがありますが、現実世界のものとは無関係ですのでご了承ください。

+α/ν'Game-Life(プラスアルファ/ニューゲームライフ)

後悔の弱点は「プラスアルファ」!


第1話 後悔と再起

 2021年3月某日・・・都内某所。俺の名は池畑未生いけはたみお、35歳。俺は未就学・学生の頃はとんでもないイタズラ好きであった。3歳の頃に脱走し、所沢の某所にて警察に保護され、小学生になると気に入った女の子に対してストーキングや着替えのシーンを見たり、好きだということを主張しまくっては先生に怒られまくるというとんでもない行為をしたり、果てには思い通りにいかないとすぐにパニックを起こし、相手を傷つけたりと罰当たり人生を歩んできた。もっともひどかったのが中学~高校のころである。小学生のころから一緒だった女の子の成長を想像するたびにエッチなことを妄想してばかり、そして先生に対しても暴言を吐いたりと本当に馬鹿なことをしたなと後悔し続けていた。


 社会人になって以来その苦難から解放されたと思いきや、2010年ごろから同じ職場に40代くらいの屁理屈ババアが入ってきて度々ケンカになり、その約3年後にいちいちうるさい50代中間くらいの料理人が同じ職場に入ってきたという。そいつは幹部社員とは名ばかりで何かあれば部下に対して暴言を吐くほどのとんでもない人間のくずだった。俺もよくそんな奴らと苦難を乗り切ったものだ。それでもくじけずに前へ進み続けたものの、2019年11月後半以降、未知のウイルスにより世界が乱れ、もちろん我々にも影響を与えてきた。そう、全世界に広がったのは2020年の2月下旬以降である。そのウイルスはプリズムウイルスである。それに負けじと歩みを止めず、収束を願ったが、その夢はかなわず、2021年3月現在でも感染者が増え続ける一方であった。


 それよりも俺にはつらいことがあった。それは、俺が住んでいるシェアハウスの管理人とはウマが合わず、注意されるたびにパニックを起こして暴れるというとんでもない行動が絶えないということであった。そう、自身のパニック障害が災いして注意をうまく受け入れられず、どうしても「責められる」という雰囲気に陥ってしまう。せっかく管理人が素晴らしいサービスを提供しているというのにそれをどうしてパニック障害で打ち消してしまうのか・・・それならばいっそ、このまま死んで健常者に生まれ変わろうと考えた。そして屋根の上から飛び降り、頭から地面にたたきつけられるように落ちた・・・と、その時、俺は謎の空間に転移した。その空間は、星空の夜で草むらのまわりがお花畑に包まれていた空間であり、1人の謎のエルフ少女がいた。


未生「・・・ここは・・・どこなんだ!?」


謎のエルフ少女「さっき、何をやってたの?せっかく与えられた生命を粗末にしようだなんて、本当に馬鹿げてるわね。」


未生「ほっといてくれよ、俺みたいなヤツに生きる価値あると思うか!?」


謎のエルフ少女「はぁ?何事も価値ばかりがすべてと思ってんの?くだらない妄想も大概にしてよね。」


 目の前に謎のエルフ少女が現れる。彼女の外見は15~16歳の少女で、身長はだいたい162cm、バストはEカップほどの大きさともいえる。そしてオレンジ色のツーサイドアップのロン毛にエメラルドグリーンの目である。


未生「人生で今までずっと「生きてる価値がない」とか言ってる奴、よくいたけど、そうやって価値ばかりがすべてじゃないと言ってくれたのならまた自身がもてるかもしれない。まぁ、確かに世の中には価値ばかりのくだらない妄想ばかりを抱く奴ら、いるよな。」


謎のエルフ少女「そうね。特にあなたの母親があなたの兄の1人にさんざんそういって虐待ともいえる行為を繰り返したのを何度も見ているわ。だけど、あなたはそれを一生懸命止めようとしたわ。それでも彼女はあなたの思いを受け入れず、あなたにも怒ったりしていたわね。あなたの家族、本当にどうしようもないクズばっかりだったわね。」


未生「まったくだ。俺がなぜそんなクズ親のところで生まれたのか、よくわからんな。しかもパニック障害とかいうとんでもないものまで持っちまったからな。」


謎のエルフ少女「へぇ、そうなんだ。パニック障害ね。そういえば、あなた、いつも思い通りにいかないとすぐにキレたり周りの物に当たったり地団駄を踏んだり刃物を持ち出したりしていたみたいね。確かにパニック障害にはよくあることね。だけど君はそれだけでなく先天性の精神障害も持っているみたいね。確か療育手帳では4度という最も軽いステータスだったけど、精神障害者としては相当な重度だったわね。」


未生「ああ、そうだ。それが災いして誰ともウマが合わず、特に職場の屁理屈ババアやゴリラ野郎とか、そしてシェアハウスの管理人ともうまくやれずにこうして自殺を図ろうとして・・・馬鹿な事をして本当にすまなかった。」


謎のエルフ少女「わかればいいのよ。とにかく他者も自身も傷つけるようなことはしちゃダメ。せっかく父親と母親が結ばれて君というかけがえのない存在が生まれたんだから、与えられた生命に関しては感謝しないとね。それにあなたは無限の可能性が秘められているわ。それはどんな障害をもっていても変わらないことよ。だからね、死んじゃおうだなんて悲しいことを考えるのはいけないわ。」


未生「ありがとう、君と会えて生きる自身が持てたよ。俺は池畑未生いけはたみお、よろしく頼む。」


エルダール「私の名はエルダール、世界を見守る神のような存在よ。そういえば、池畑くんって、どんな世界が理想なの?」


 彼女の名はエルダール、そう、エルフの族長で、世界を見守る神のような存在。彼女は1000年も生きているといわれている。彼女は俺に対して理想の世界について話していた。


未生「俺の理想の世界は争いがない世界、そして災害もない世界、「子ども」という表記が「子供」あるいは「こども」という表記で統一されていて、対義語表記の際に「大人」「子供」あるいは「おとな」「こども」というように対義語の表記がそろっている世界、それと、日付表記の際に「きのう」「きょう」「あす」「あさって」「おととい」等の表記がなく、年月表記で「ことし」「去年」「おととし」等の表記が西暦表記等の年月表記で統一された世界、とにかくすべてが統一されていて、貧富の差がない世界であってほしい、それが俺の理想の世界。」


 俺は彼女に理想の世界について話す。それを聞いた彼女は俺に対して厳しい言葉を放つ。


エルダール「ずいぶんと勝手な妄想ね。そんな細かいことさえも気にするなんて、やっぱりあなたは相当重度な精神障害者みたいね。まぁ、先天性の障害等のようにどうしようもない物事はいくらでもあるけど・・・確かに想いは人それぞれね。だけどね、世の中には神様でもどうしようもないことだってあるわ。だけど、多大なリスクを支払えばできないことはないけど。」


未生「そのリスクとはいったい・・・!?」


エルダール「そうね、例えばひとつの事象を無理やり捻じ曲げるためにはね、自身の寿命を50年分支払うほどのリスクが必要かしら。」


未生「自身の寿命を削るなんて・・・それ、自身の寿命ではなく、人間1人の命を犠牲にするという方法に置き換えることは可能かな?」


エルダール「それなら無理やり事象を捻じ曲げるに値するわね。だけど、命を絶とうとした自分にそれができるかしら?」


未生「できる・できないじゃない、やってみるんだ。もっとも、あくまでどうしようもない状態での最終手段という形でね。」


エルダール「なるほどね。そういう考えもあるんだ。だけど、それは自身の精神にも左右されるから使いどころを間違ったらあなた自身が悪に染まってしまうことにもつながりかねないわね。それでも覚悟ができているのならこいつらを生け贄にしてもいいわ。」


 そして俺の周りには俺に対して暴力をふるったり暴言を吐いたりしたことがある人間の顔ばかりであった。


エルダール「まずはこいつらを生け贄にして自分好みの事象に変えてしまえばいいわ。あなたの両親、そして兄2人、祖母、他にも生徒同士のトラブルさえも解決させようとしなかったクズ教師、そして後輩のくせに敬語を使わなかった無礼な生徒、これだけ見ると数えきれないほどいっぱいいるわね。これなら思いっきり自身の好きなように組み替えられそうね。」


未生「そうだ、もっといいことを思いついた!そう、色々と後悔ばかりの人生を歩み続けたからさ、それを機にもう1度人生をやり直したいと思うんだ。年齢は3歳ごろということで。それと、生け贄の対象のうち今の両親は2周目の人生ではまったくもって別キャラということで、職場の知り合いのうちの1人が俺の姉で、もう1人は妹で、そして俺がもっともあこがれている社員の2人は幼馴染という設定で、そして1周目では実家は銭湯で借地ということになっているが、2周目では洋館であり、借地ではなく自身の土地ということにできればもう最高だけどね。あとはメイドが13人ほど常駐していて、その洋館のメイドと同時にメイドカフェの従業員でもあるという設定で2周目が成立すればと思うんだ。」


エルダール「よっぽど後悔し続けたのね。まぁいいわ。これだけの大人数を生け贄にするんだったらそれくらいは可能かもね。せっかくだから今回は初回限定サービスとして特殊なアビリティを付加しておくわね。そのアビリティというのは、錬金術・リードアイ(相手のステータスを見る能力)・設立(対象の人物の能力などを付加したりするアビリティ)・改変(対象の人物のアビリティの効果などを書き換えるアビリティ)よ。今からそれを与えておくわ。どれも人間1人の生け贄が必要だから、扱いは慎重にね。それと、さっき言ったアビリティにはAPアビリティポイントというのを消費するから、APを稼ぐには人間1人を生け贄を捧げることよ。そしてAPは捧げた人間の残りの寿命の分×100を得られるわ。私のリードアイによるとあなたの今のAPは2000ね。つまり、残りの寿命が20年分の人間を生け贄に捧げると2000得られて、そうなると4000になるというように生け贄に捧げた人間の寿命に依存するのよ。」


未生「なるほどね、これは素晴らしい。さっきも言ったが、あくまで最終手段ということにしておくよ。」


エルダール「さて、チュートリアルはこれくらいにしておくわ。とりあえず君に対して危害を加えたこの人たちはいけにえに捧げておくから、新たな設定で始まったあなたの2周目の人生、いっぱい楽しんでね。あとはどのように世界を設立していくかはあなた次第よ。2周目こそ後悔がないように頑張ってね。」


 そして周りが真っ白な光に包まれ、その光へと進んでいく俺・・・その先は見たことがない世界であった。その場所は、清瀬市のある場所。1周目は銭湯で借地であった実家が2周目では洋館で自身の土地になっていた。1985年10月7日、それは俺が生まれた日であった。それから3年後である1988年、3歳になる日であった。身体が小さくなっている・・・周りが大きく見える・・・そう、俺は3歳に戻ったのだ。とはいえ、1周目とは身の回りが異なる世界で、色々と違和感があったが、特に何も問題はなかった。むしろ望ましかった。そう、姉がいて妹もいる。姉は3つ上、妹は1つ下。近所に幼馴染の女の子2人もいる。両親は表向きでは俺のことを大切に思っていただろうとは思うが、その本性に関しては父親は1周目では何かが食い違えばすぐにキレたり不貞腐れたりするクズ親父で、母親はすぐに人の悪口ばかりを言ったりして、陰口さえもいとわないクズ母親だった。しかし2周目では父親は少し厳しいところはあるが、だれよりも思いやりに優れる人物で、母親は家族のまとめ役として誠実な人物であった。いわゆる同姓同名の別キャラであった。父親は池畑尋いけはたひろ、母親は池畑美玖いけはたみくである。祖母は池畑トミ(いけはたとみ)である。姉が池畑リンネ(いけはたりんね)、妹が池畑栗子いけはたくりこである。そして近所の幼馴染2人は片方は井上千恵美いのうえちえみ、もう片方は大森ノエル(おおもりのえる)という。いずれも俺と同期である。俺は食堂に入る。


美玖「未生ちゃん、お誕生日おめでとう!」


尋「今日で3歳か、おめでとな。」


未生「ありがとう、父さん、母さん。」


 両親は俺の誕生日を祝う。目の前には豪華なバースデーケーキや七面鳥ディナーという素晴らしい料理が並んでいた。


メイドたち「未生ちゃん、3歳のお誕生日、おめでとう!」


 ご丁寧にメイドたち13人も俺の誕生日を祝っていた。だが、メイドだけではない。もちろん祖母も幼馴染もいた。


リンネ「未生ちゃん、ハッピーバースデーね。」


栗子「おにーちゃん、おめでとっ!」


トミ「未生、一生懸命立派に育つんだよ。あたしも応援しているからね。」


千恵美「未生ちゃん、すごく嬉しそうね。」


ノエル「未生ちゃん、いっぱい楽しめてなによりね。」


未生「おかげさまで。すごく楽しいよ。」


 今宵はいっぱいバースデーパーティーを楽しめた。バースデーを祝う習慣は1周目でもあったが、今回ほど大規模なものではなかった。だが今は違う。そう、色々と改変してくれたことで今度こそ後悔を払拭できると思える2周目であることを願うために色々と修正していく。それがプラスアルファ・ニューゲームの目的である。


 楽しい時間は過ぎ、お風呂に入る。さすが洋館、ホテルの大浴場を思わせる素晴らしい浴室であった。そしてメイドたちもお風呂に入ることになった。13人にメイドはうれしいことになんと、みんな美人でおっぱいが大きくて最低Fカップ、最高Lカップという巨乳だらけであった。さすが大量のにっくき人物を生け贄にした甲斐があった!これほどにまで効果が反映されるとは・・・最高のアビリティが手に入った!そして入浴を済ませ、自室に入る。


美玖「今日はいっぱいお誕生日会、楽しめたね。一緒に寝てあげるから、明日もまた楽しい日々を過ごそうね。」


 そして母親と一緒に寝ることになった俺。それから翌日、


美玖「起きたのね。今、朝ごはんつくるから着替えて食堂に来てね。」


 俺は服を着替え、食堂に向かう。


未生「父さん、おはよう。」


尋「おはよう、未生。今日も保育園でいっぱい楽しんでこいよ。俺も教師の仕事、いっぱいこなしてくるからな。俺んとこの学校、問題児ばかりでいつも生徒同士のトラブルが絶えないんだよなぁ。」


未生「父さん、すごく大変だね。頑張って。」


美玖「尋、生徒指導とかいろいろと多いからね。私もしっかり応援しなくちゃねって思うけど。家事や洗濯とか、メイドも何人か手伝ってくれるけど。だからといってメイドたちに任せっきりじゃ母親の威厳が失せてしまうわ。」


尋「まぁな。いつまでもメイドばかりに頼るわけにはいかないからな。少しでも家計を確保するためにここのメイドたちはメイドカフェも開店していっぱい稼いでるからね。」


 家族そろって朝食を楽しむ俺たち。そして母親が自転車で俺を乗せて保育園へと向かう。上城かみしろ保育園、俺が通っている保育園であり、幼稚園のシステムも兼ねている。年少組は「こだま」、年中組は「みずほ」、年長組は「はやて」というようにそれぞれ呼び名がある。この日はハロウィン系の行事などの準備もあった。


未生「千恵美ちゃんとノエルちゃんの魔女コンビ、すっごくかわいいよ。」


ノエル「未生ちゃんの猫耳コスプレも似合ってるわね。」


千恵美「未生ちゃんもすっごくかわいいね。」


 すごく楽しそうな3人であった。園児たちも先生たちも色々と楽しみがあってなによりであった。そして給食・・・


未生(この給食・・・そういえば、1週目ではいつも思うように食べられず、いつも園児たちの中で最後になってたな。だが今は違う!)


 俺は1周目で見たことがある給食のメニューを見て色々と思ったが、今はもう心おきなく食べられる。1周目の人生で初めて漬物などを克服したのが小学2年生のころであった。それ以降、好き嫌いがなくなったのだが、この2周目ではもうこの時点で食べられる。そう思って美味しく味わった。


衣代川「もぅ、未生くん、食べるの早すぎ。もっとしっかり噛んで食べないと。」


 彼女は衣代川夏江いよかわなつえ、俺たちの組である「こだま」の担当の先生である。


未生「ごめんなさい、あまりにもおいしくて食がすすんでしまって。」


衣代川「あんまり羽目をはずしちゃダメ。食べるときはゆっくり食べなさい。あんまり遅すぎてもダメだけど。ね、キミならできるよ。」


 あまりのおいしさに早く食べてしまった俺・・・食欲すらも受け継がれてしまったか。さすがに不自然な行動をしないよう気をつけねば。そして昼寝・・・


未生「ねぇ、千恵美ちゃん、起きてる?」


千恵美「起きてるけど・・・なかなか眠れなくて。」


ノエル「でもちゃんと寝ないと怒られちゃうよ。」


未生「僕、将来、公務員になりたいなって思ってね。それでね、悪い奴らを取り締まって二度と悪いことをしないように正していきたいっていつも思うんだ。」


千恵美「私はね、いつかどこかのホテルで働きたいなって思うわ。そしてね、いっぱいお客様を出迎えて、色々とサービスをしてあげたいなって。」


ノエル「私も千恵美ちゃんと同じね。千恵美ちゃんと一緒に助け合えればなって思うわね。」


 3人は将来のことを話し合っていた。そして園児たちが寝静まっていた。それから、昼寝を終え、午後3時はおやつタイムであった。


未生(やはりそうきたか。スルメにおしゃぶり昆布、スティックチーズ・・・1周目とほとんど変わってない。だが今の僕なら余裕だな。)


 おやつはもちろん、1周目同様ほとんどおしゃぶり昆布にスルメといった硬いものが出た。しかし今はもちろん余裕で味わえた。


未生「すごくおいしいね、このおやつ。このスルメとか、噛み応えがあって最高だね。」


 1周目ではおしゃぶり昆布やスルメ等の硬いもの、トマトやきな粉餅等の栄養価が高いものばかりで苦戦していたが、2周目では言うまでもなく余裕で食べられた。そして帰る時間・・・定時チャイムの夕焼け小焼けを聞きながら自転車で母親と自宅に帰ることになった。


美玖「今日も楽しくてよかったね、未生ちゃん。」


未生「スルメとか昆布とか食べられるようになったよ、僕。最初は硬くて大変だったけど、噛んでいるうちにしっかり食べられるようになってよかったよ。」


美玖「そう、それはよかったね。ちゃんと好き嫌いしないようヘルシーな大人になろうね。」


未生「はい!」


 こうして公開続きの1周目からのやり直し人生が始まった。3歳にて硬い食べ物をマスターし、給食も残さず食べられるようになり、これはまさに素晴らしい再起劇となるであろう。あとは自堕落にならないように気を付けなければ1周目よりも悲惨な結果になりかねない。生まれ変わった以上は1周目よりも多大な努力をせねばならない。そう決心した俺であった。


第1話 おしまい

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