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瞬撃の魔剣士  作者: Legero
誅世の書篇
30/46

6.

2024/3/4 竜崎董千の価値観を現す言葉を修正

2024/4/21 微修正

2024/5/12 数字を漢数字に変更、三点リーダの書き方を変更

 燃え盛る炎に照らされた部屋の中、待ち構えていたドリア側の人々の視線が、董千の背後に立つゼロへと突き刺さる。それには驚き、恐怖、そして嫌悪など様々な感情が含まれており、とりわけ、彼らの中央で紫髪の魔女サリアに抑え込まれた少女からは、射殺さんばかりの鋭い視線が向けられていた。


 気まずさとも違う、居心地の悪い沈黙に包まれた部屋の中、初めに口火を切ったのは、ドリアの王子アルフレッドであった。


「あー、董千よ。彼のことを私は知らされていないのだが、一体?」


 その言葉に、董千はリィンヴァルナから視線を外し、彼のほうへと向き直った。ゆっくりと腕を組み、首をかしげて述べる。


「ふむ……何、さほど複雑なことではないさ。こちらとしては『誅世の書』を失うわけにはいかないからね。戦力を少しでも増やすために、私が個人で雇っただけだよ。」


 堂々と悪びれた様子のない―実際悪いことではないのだが―董千に、横から青年が話しかけようとする。緋色の翼のリーダー、茶髪の青年ライバートである。


「竜崎の巫女よ、少し……」


 しかし、それはかなわなかった。竜崎の巫女は魔族全体のリーダー。人間の国家でいう国家元首である。従者である蓮が、怒りの形相で横から二人の間に割り込んだ。


「まずは名を名乗れ、無礼な人間よ。董千様は如何なるものの言葉も拒絶なさらぬが、礼を失した者に董千様のお言葉を賜る権利はない。」


 ややもすれば挑発的、高圧的ととられかねない態度ではあったが、言っている内容は間違っていないためか、ライバートは素直に蓮の言葉に従った。


「……失礼した。私は傭兵団『緋色の翼』の団長、ライバートだ。姓はない。」


「うむ、ライバートだね。君のことはアルフレッドから聞いているよ。何でも、ドリア王国随一の傭兵団を取りまとめる凄腕の傭兵なんだってね? 人数は……四人だったか。ちょうどお揃いかな?」


 そう言って四人を見回す董千と、身構え身体を固くする『緋色の翼』の三人。リィンヴァルナは相変わらずサリアの腕の中でもがいている。


「ふむ、結構。君たちのような実力者がいれば、きっと今回の引き渡しも成功に終わるだろう……と、言いたいところだけれど。」


 そう言って、彼女はさらに四人に歩み寄る。


「そのためには我々の間にある程度の信頼関係が必要だ。すなわち、私が『誅世の書』を悪用することが無く、それはまた私の仲間の間でも同様であると。それが分からないと、君たちも素直に任務にあたれないだろうからね。」


 そこまで言って、董千は少し辛そうな顔をする。白々しいことこの上ないが、それを指摘できる者はすくなこともここにはいない。


「しかし、かといってここで時間を使いすぎるわけにもいかない。城に入ってきた客人がどこかに消え、数刻戻っていないとなると……変な勘繰りをする者も出てくるだろう。そこで、だ。」


 そう言って、彼女は指を一本立てた。


「君たちに一つだけ質問を許そう。それに対して私は、嘘偽りのない言葉で答えることを誓おうではないか。その代わりに、というと語弊があるかもしれないが……君たちの納得の材料になるような質問を頼むよ?」


 不敵に笑みを浮かべる董千。実質的な、どんな質問にも答えるという宣言だったが、逃げ道を用意し、さらに余計な質問を許さない隙のなさは健在である。


 反対に、ライバートは彼女の言葉にじっくりと考えこむ姿勢を見せた。そもそも彼は、数日前にドリアへの入都審査の時にゼロともめた過去がある。その時から、董千に対応を丸投げし、後ろで我関せずと黙るばかりのゼロに対する、心証の悪さは変わっていない。ゆえに、思考の果てに彼が口に出した質問は、信用、信頼からは少し離れたものであった。


「……あの時。ドリアへの入国待ちの列で、傭兵ゼロがもめごとを起こしたときだ。」


 ゼロがもめごとを起こしたわけではないのだが、彼が原因の一つであることもまた事実。それを董千も分かっているためか、彼女はそれに言及することなく、ただ視線で続きを促した。


「傭兵ゼロは、ドリアの兵士たちに連れていかれた。犯罪者や、悪質な入都者に対応を行う窓口へと。それなのに……彼はどうしてここにいるんだ? どうして……いや、どうやって(・・・・・)街に入ったんだ?」


 それに対し、董千は余裕の笑みを崩さなかった。


「それを私に聞くかい? まあいい。それは単に、彼の性質がどちらかといえば後者に近かったから、ということではないのかい?」


「っ……!」


 もう我慢できないと言わんばかりに董千の前につかつかと歩み寄るリィンヴァルナ。慌てて止めようとするサリアと、再び怒りをあらわにした蓮を、ライバートが、そして董千が手で押さえる。


「そんなわけないじゃないですか! 傭兵ゼロは、傭兵ゼロは……悪い人です!」


「ふむ、よくわからないね。」


 興奮したリィンヴァルナに対し、董千は何処までも平静だ。否、むしろ純粋に、疑問に思っているのだろう。小さく首をかしげる。


「何を……!」


「それを認めたのは、ほかならぬ君たちじゃないか。彼が今なお自由であることが、何よりの証拠じゃないのかい?」


 確かにゼロは、数多くの人間を殺してなお、罪に問われることなく自由を謳歌している。しかし、その事実によってゼロの犯した罪がなくなるわけではない。ライバートが冷静に反論する。


「だが、この傭兵によって何人もの人間が理不尽に殺されたのは事実だ。その罪は、裁かれなければならないんじゃないか?」


 刹那呆けた董千。しかしすぐさまその顔は嘲笑にゆがむ。


「罪? 裁く?? はははっ! 随分と傲慢なことを言うじゃないか。矮小な人間の身でありながら、己に他者の罪を裁くだけの能があると? 根拠もなく身勝手に、己の嫌悪を正当化しているだけのくせして!」


 神に仕える巫女らしい言葉であった。しかし、この話題を深掘りしたところで現在のドリア王国の―より厳密にいうならば、人間社会の罪と罰、その仕組みすべてを否定することにしかならない。それを彼女も分かっているのか、董千はすぐさま別の話題を持ち出す。そのころには、一瞬覗いた彼女の攻撃性は完全に消え去っていた。


「傭兵ゼロは悪ではない。ほかならぬ我らが水龍神様がそうおっしゃっているんだよ。そして君たちもそうだ。だから私は彼を雇った。君たち基準の罪とやらに、彼は問われていない。ならば、彼はあくまでも、君たちにすごく嫌われている傭兵にすぎない。ここに連れてくることに何ら問題は無いだろう?」


 要するに董千の考えの根幹は、神が排除しろと言っていないのだから、彼は悪しき者ではない。という非常にシンプルなもの。


 ……そんな理屈で、ゼロの生きざまを敵視しているリィンヴァルナを納得させられるはずはない。なおも食い下がろうとする彼女であったが、それを董千は無慈悲に止めた。


「おっと、質問はここで終わりだよ、リィンヴァルナ嬢。次は私の番だ。少し聞きたいことができてね……。」


 そう言って、彼女は再度アルフレッドのほうに向きなおった。


「彼ら『緋色の翼』はドリアでも指折りの傭兵団だって話だったが……アルフレッド。」


「ああ、そうだ。私が個人的に懇意にしているのだが、難度の高い依頼であっても確実に遂行するだけの力を持っている。」


 自分のことのように誇らしげに言う彼に対し、董千は冷や水を浴びせかけた。


「……本当かい?」


「……何?」


 あからさまに気分を害した様子の彼は、訝し気に言った。


「何、簡単な話さ。私は彼らの実力を見たことが無い。そして彼らは、ドリアでは名が知れているのかもしれないが……我々魔族の領域にまで、名声が届いてきたためしはない。傭兵ゼロと違ってね。」


 ゼロの場合は悪名も多分に含まれているため、単純比較は適切ではないが……最早完全に董千の独擅場(どくせんじょう)となったこの場所で、そんな些細な事に気が付ける精神的余裕を保ったものはいなかった。


「つまり私としては、彼らの強さや素行の良さといった話、言い換えるならば彼らの信頼性を、心の底から信じ切ることができないわけだ。」


 そう言って、彼女は後ろを振り返った。ちょうど、『緋色の翼』の面々が並ぶ場所を。


「……そう、君たちと同じようにね。」


 その言葉が決定的だった。緋色の翼の三人、そしてアルフレッドからわずかに殺気が漏れる……そうして怒りをあらわにしたことで、この場の趨勢は完全に決した。


「……もうよい、アルフレッド。」


 それに気が付いたのだろう、今まで全く存在感を放っていなかった初老の男性―アルフレッドに合図を出した程度だ―が歩み出てくると、董千の前に堂々と立ちはだかった。


「久しいな、竜崎董千。」


「君も元気そうで何よりだ、アルベルト・レベティリア。そろそろ後継者は決まったかい?」


「否。まだ早計よ。貴様も知る通りみな優秀ではあるが、国王たる器は未だ育っていない。」


「そうかい。それで……どうしたい。」


 軽い雑談の後に、董千が彼の目を見つめ、言った。国王アルベルトは、少し考えてから重々しい声色で答えた。


「……我々が用意した戦力の責任は、我々が取る。貴様は、傭兵ゼロの立ち振る舞いの責任を負え。互いに互いの抱く不信を、統制でもって覆すのだ。」


 国王の案に、董千は満足そうに頷いた。


「うむ。すばらしい。このまま議論を続けたところで、永遠に平行線だ。何時までも本題に移れない。さすがだね、国王陛下。」


 董千の満足げな笑みでもって、この場の争いは強引に収められる。反論できる者は、もはやいなかった。

 ~~~~~~~~~~








 ~~~~~~~~~~

 言い争いを終えた一行は、最奥の扉の前まで移動する。扉から少し離れた位置に並ぶ董千一行に、国王が厳粛に語り掛ける。


「例の書はこの部屋に安置されている。」


「ふむ、文句なしに堅牢だ。封印の結界も、素晴らしいねこれは。」


 その封印の頑強さを、董千は素直にほめたたえる。とても一人では動かせなさそうな大扉には、見上げるほど大きな、白い魔法陣がかかっている。


「書物の封印は彼ら、バータ家に解かせよう。」


 彼の言葉と同時に、王のそばに控えていた騎士が一人、質素なローブの集団に向けて合図を出す。それに呼応して、バータ家の人々が早足で部屋の奥の扉に向かうと、立ちふさがる結界に向かって一斉に手をかざした。彼らの掌が淡い青に光り、小声の呪文詠唱が部屋に響く。


「「「我ら、地上を謳歌す霞流(りう)の民。封ぜられし魔、解き放たれば収束し、揺るがぬ神世(かみよ)の礎とならん。甦れ、継承の邪悪。再臨せよ、悪辣なる(いにしえ)の意思。忠実なる神のしもべ、霞流(かすばた)の名がここに命ずる。」」」


 詠唱が終わると同時に、部屋の奥の扉が大きな音を立てて左右に開きだした。バータ家の魔族たちはそれを見届けると手のひらに炎を発生させ、部屋の中に入ってゆく。


 開いたまま炎の光を漏れ出させ続ける大きな扉に目を向けながら、董千が隣に立つ国王に言葉を投げる。


「ずいぶんと性急だね? もう少し、さあ始めよう、みたいな口上があるかと思っていたのだけれど。」


「時間をかけても良いことはない。余計な火種を呼び込むことにもつながりかねん。」


「ははは、これは手厳しい。しかしだね。人は皆暗闇に炎を持ち込むだろう?」


「洞窟に炎を持ち込めば、空気を失い死に至る。」


「それでもなくては先が見えない。だから頼らざるを得ないわけだ。」


 国王がため息をつく。厳めしい顔をした男ではあるが、少し苦労人の気があるのだろうか。その絵面は彼の見目に何かと馴染んでいた。


「お前は炎などいらんだろう。灯りの魔術を使えるのだから。」


「おっとそうだね。いやはや、これは一本取られたよ。」


 全くそう思っていなさそうに額を叩いた董千。同時にちらりと奥の部屋に目を向ける。部屋の内部は十分に灯りが灯っているようで、うっすらと中に安置された何かの影を確認できた。


「ふむ……さて、そろそろ私たちも行くかな。蓮、ゼロ。ついておいで。」


「はい、董千様。」


「……。」


 堂々と歩く董千、しずしずと歩く蓮、そして音もなく歩くゼロ。三人が部屋に向かうのに合わせて、部屋の中央の人だかりが割れる。その中には複雑そうな表情のアルフレッドや苦々しい表情の『緋色の翼』一同もいたが、彼らが董千達の邪魔をすることはなかった。彼らが扉に差し掛かったあたりで、ドリア側の人々も順番に部屋に向かい、部屋の入り口を『緋色の翼』とドリアの騎士が人の壁で固める。これで、部屋の中からの脱出はほぼ不可能となった。


 さて、彼らが踏み込んだ部屋の中央に、禍々しい存在感と共に鎮座するは、薄い青色の光を放つ、巨大な正八面体の封印と、天井、そして床に取り付けられ、封印を維持しているであろう装置の一組であった。床と天井に取り付けられた、三角錐の形をした金属の先端から伸びた青色の光線が反対側の同じ装置に受信され、それらの装置からもまた、今度は金色の光線が伸びている。その光線はまっすぐ部屋の左右、合計二か所に照射され、壁に描かれた円の外周に沿うように入射しており、その円の内部には、外周を基準として金色の光を放つ魔方陣が描かれている。


 そして、青い光線の軌跡を面で繋げたその中央に、それはあった。


 一見すると、それは単なる本であった。封印を隔てているためか、本当に普通の本にしか見えない。茶色い皮で装丁された、片手で持てそうな大きさのそれは、封印の中心でゆっくりと、閉じられたまま回転している。


 部屋に入ってきたアルフレッドが、呆然とつぶやく。緊張からか、あるいは恐怖からか。彼の声はわずかに震えていた。


「あれが『誅世の書』……呪われた本。」


「ふむ……一見普通の本にしか見えないね? よくありそうな装丁、よくありそうな色、そして無題ときたか。」


 一方何処までも自然体な董千は、これは厄介だ。と小さな声でつぶやいた。彼女はその場でくるりと振り返り、尋ねる。


「封印は解けているのかい?」


 バータ家の当主がそれに答えた。


「いいえ。今解除いたします。」


 彼の合図に合わせて、部屋の左右に立っている、彼の妻と娘が壁の魔方陣に手を当てる。妻が向かって左、娘が向かって右の魔方陣の傍らに立っている。


 彼らが手を当てた場所から、折りたたまれていた布を開くように、壁に書かれたそれより一回り大きな魔方陣が出現する。それは壁に張り付くと強い光を放ち、壁に合った魔方陣とまじりあい、そして数秒後に元と同じ程度の光具合に戻る。それと同時に、壁から伸びていた光線がぷつりと途切れ、部屋の中央の封印を形作る光線もまた消滅する。中央で音もなく回転していた『誅世の書』が、ゆっくりと直下の台座に舞い落ちた。


 董千がそれを拾い上げる。


「ふむ、特筆することもなさそうな普通の書物だ……ん?」


 怪訝そうに後ろを振り返る董千。顔にはありありと困惑が浮かんでいる。


「アルフレッド。これは本当に『誅世の書』なのかい? ああいや、君たちを信用していないわけではないのだが何かこう……いくら何でも普通過ぎる(・・・・・)んだよ。これが本当に、あの竜崎呉羽が作った魔の書物なのか? と思ってしまう程度には。」


 先の口論と印象の悪化があったとはいえ、今でもそれなりに彼女のことを信頼しているのだろう。問いかけられたアルフレッドは、彼女が向けた表情をそっくりそのまま彼女に返した。声は未だ僅かに震えていたが、それが顔に出ることはない。


「いいや、それは間違いなく本物だ。ここに、封印の間に入ることは何人にも許されなかったし、抑圧の間……この一つ前の部屋だ。その部屋にだって、王族が同行したうえでバータ家のみが入室を許可されていた。それ以外の時は常に通路を封鎖していたし、あまり仕組みは公表できないが、いくつもの防犯措置もとっていた。この部屋に王族が把握していない入室があるはずはないし、把握しているすべての入室においても、本自体の封印どころか、封印の間の封印さえも、解除されたことは一度もない。」


「ふむ……じゃあやはりこれは本物なのか……?」


 明らかに納得していない声色で、手に取った書物を()めつ(すが)めつする董千。しかし、封印すらされていた危険な代物だからだろうか、中を読もうとはしない。


 妙な緊張が走る部屋の中、動くものは誰もおらず、董千の怪訝な声ばかりがこだまする。誰かが生唾を飲んだ音すら聞こえてきそうな静寂。


 その静寂を切り裂いたのは、この時に至るまで董千をじっと見つめていたゼロであった。音もなく歩きだした彼に部屋中の人々の視線が突き刺さり、ドリアの騎士たちと『緋色の翼』の面々が警戒態勢を取る。


 彼はまっすぐ部屋の端に歩いてゆく。人々がかたずをのんで見守る中、彼はおもむろに立ち止まる。次の瞬間。


「ぐべぇっ!?」


 ゼロの右に立っていた人影がすさまじい勢いで壁に激突する。彼が回し蹴りを放ったのだ、ということに気が付けたものはどれほどいたのだろうか。背中をしたたかに打ち付けもだえる人影……バータ家当主の首を鷲掴みにし、壁にたたきつけるゼロ。彼の苦しそうなうめき声に、ドリア側の人々―特にリィンヴァルナ―が一気に色めき立つ。


「待ちたまえ!」


 今にも戦闘が始まりそうな切迫した状況を、ひとまず董千が静止する。部屋の入口方面から飛んできた風の槍を彼女の青い魔方陣が打ち消した。


「……ここは私に任せてほしい。そういう約束だっただろう?」


 董千の言葉に、アルフレッドはしぶしぶ頷き、後ろに控える戦力たちを手で静止した。その手が振り下ろされた時、封印の間に死体ができることは想像に足りる。董千も緊張しているのだろうか、普段の彼女からは想像もできない、慎重な声でゼロに尋ねた。


「ゼロ。君も知ってはいるだろうが彼はドリアの貴族でも上位に位置する、バータ家の家長だ。それ相応の証拠があるのだろうね?」


 彼女の言葉に、ゼロは鋭い視線を返すのみで答えた。

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