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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
99/109

彼だけがいない世界

これで“彼”の物語は終わりです。

次回からネタバレとエピローグです。

「リーダー!」

「あの馬鹿!」

「教官!」

「カナタ!」


全員が不意を突かれた形でカナタとギルゴマの姿は、世界から音もなく消えた。


カナタらしいと言えばそれまでだが、人間が命を懸けて何かをする瞬間においてこれほど呆気なく、そして何の躊躇いもなく行われた死があっただろうか?


「クソ!あの馬鹿、何を勝手に終わらせてやがる!」


ホレスが怒鳴り声を上げた。


「本当にあの人は最後の最後まで、信用できない人です」


レーナは泣きながら憎まれ口を叩いた。


「教官、うわあぁん!」


アリシアはただただ泣きじゃくるだけであった。


「全く、カナタらしいと言うか…あら?ちょっと待って。何故私達はカナタの事を覚えていられるの?」


アルファが本来であれば有り得ない事実に気が付いた。


「カナタは本来であれば地球の人間。地球では今頃、カナタの存在は無かった事になっている」


ベータが怒った表情で答えた。

恐らく怒っている相手は、呆気なく死を選んだカナタに対してだ。


「もしかして、ここまで視えていたのね?!」


アルファがベータに問い質した。


ベータはコクリと頷いた。


「あまりにも呆気なく認証を許可したからおかしいとは思ったのよ!どういう事か、説明してもらうわよ!ベータ!」


アルファが怒りながらベータに言った。


「説明はする。でもその前に、カナと…、もう一人、全ての絵を描いた、張本人の到着を待つ必要がある」


ベータはそう言って、空を見上げた。


「カナと、もう一人?それってもしかして…」


アルファが言葉の続きを言おうとした時、足元に転移魔法陣が描かれた。


数瞬遅れてそこからカナの姿が現れた。


「カナタは無事?!」


カナは必至の表情でパーティーメンバーに聞いた。


しかし、全員が何も言えずにいた。


不安そうにしているカナに、その答えを言うべきベータは、ただ、真っ直ぐに一方向の空を見ていた。


やがて、ベータが睨んでいた方角の空は、歪んだようにグニャリと弧を描き、そしてその中から…地球の管理者であるルクレシアが現れた。


「アルファ、ベータ、そして皆さんも、今回の出来事は本当にごめんなさい。これから全ての真実をお話しします」


そう言ってルクレシアは全員に向かって頭を下げた。


“彼”の物語はここで終わった。


しかし、彼の仲間と、勇者の物語がここより始まる。



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