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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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それぞれの役割

色々とエピソードをすっ飛ばしたお陰で、話は一気にクライマックスになりました。

完結させる事を優先するとは言え、あまりにも展開が早くなった事には若干の後悔はありますが、いよいよ戦いに決着が着こうとしています。

システムの、エラーを知らせる声が聞こえた後に、カナタとパーティーメンバー達は、一斉に、アルファとベータを見た。


第二管理権限者とは、即ち、この二人の事である。


パーティーメンバー達は何も言えず、固唾を飲んでいた。


「第二管理権限者ベータの名において認証を許可する」


そこにベータが全員の意表を突くようにあっさりと認証を認める言葉を言った。


「ベータ!?」


アルファが驚きの声を上げた。


「姉様ごめんなさい。ベータにはこの先の運命が視えている。これが生きとし生ける全てのモノに対して、最小限の被害で今回の出来事を収める唯一の方法。ならばベータは自分の成すべき事を成すのみ」


ベータは伏し目がちにアルファへと答えた。


「…第二管理権限者べーたノ認証ヲ確認シマシタ。殲滅ぷろぐらむノ実行ニ移リマス。実行者ハきーわーどノ宣言ヲ行ッテ下サイ」


システムがまたしても告げた。

セキュリティが厳重なのは、それだけ危険なプログラムである証拠であった。


カナタはキーワードと聞いて、ベータを見た。


しかし、ベータは首を横に振った。


「キーワードは姉様しか知らない」


ベータがそう言った時、アルファは、信じていた者に裏切られたかのような表情を見せた。


「アルファ、キーワードを言うんだ」


カナタはアルファを詰問するように聞いた。


「貴方はこれが何を意味するのか分かっているの?」


アルファは涙を流しながら、カナタへ問い掛けた。


「最初から全部分かっていたさ。お前も承知していたはずだろう?」


カナタは聞き分けの無い子供に言い聞かせるように言った。


「なあ、アルファ。俺には俺の役割がある。カナにはカナの役割があった。ベータもまた、役割を果たした。お前の役割は何だ?」


カナタは優しくアルファに言った。


「…勇者を、中田佳奈さんを、無事地球へと帰す事よ」


アルファが半分諦めたような表情で答えた。


「ならばお前もまた、成すべき事を成せ」


カナタは優しく、しかし、強く言い切った。


アルファは一瞬迷いの表情を見せていた。しかし。


「…コンプリート、オーバー」


アルファが小さな声で言った。


「何だって?」


カナタは小さな声を聞き逃して再び質問した。


「ミッションコンプリート、オーバーよ!リーダー!」


アルファは泣きながら、大きな声で答えた。


カナタはそのキーワードに対して、少しの可笑しさを感じて、いつもの不敵な笑みではなく、普通の朗らかな笑みを浮かべていた。


「しすてむれでぃ、ぷろぐらむ実行可能デス。実行者ハきーわーどヲ宣言シテ下サイ」


そうして、システムが無情な言葉を告げた。



やはりこれが彼の逃れられない運命なのだろうか?


世界はただ静かに最後のキーワードを待っていた。

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