PERFECT ANSWER、その4~あと一手~
今までクライマックス詐欺のような事を言ってきましたが、次回からは本当にクライマックスです。
カナタはこのシミュレーションの事を「詰め将棋」のような物だと、以前からアルファとベータに言っていた。
一手一手少しずつ可能性を潰していき、一筋の希望を手繰り寄せる。
そんな気の遠くなるような作業を、これまでカナタは何度も繰り返してきた。
しかし、この「詰め将棋」という表現は、将棋を知らないアルファとベータはおろか、仲間全員にもピンと来る表現では無かったようだ。
しかし、カナタ達はこの気の遠くなるような作業を何度も繰り返して、とうとう、このシミュレーションにおいて、仲間の誰一人欠けることなく、全員が、身動きの取れないギルゴマの元へと辿り着く結果を出した。
「ようやく、ここまで辿り着いたな」
ホレスが感慨深げに呟いた。
「ええ、やっと完璧な答えが出たわ」
レーナもまた息を吐きながら、ホッとした表情で言った。
「最初にダメージを与える事よりも、硬直狙いの魔法を撃った事が最大の勝因ね。あとは、カナタの剣をホレスへ渡した所が大きな転換期だったようだわ」
アルファも疲れた顔をしながらも、安堵の表情を浮かべていた。
言葉にすると何という事もない結論だが、最初の魔法攻撃の答えに辿り着くまでに、大半の時間を費やした。
そもそも、最初に打つ手が、魔法攻撃が正解なのかすら、分からない状態からのスタートだったのだから、これは仕方のない事であった。
さらに、ホレスにカナタの持つ神剣を渡す答えに辿り着くためにも、大半の時間を費やした。
これらは全て、紆余曲折を経て、ようやく辿り着いた答えである。
「あぁ、みんな良くやってくれた。上々の結果だ」
カナタも仲間達にそう言った。
しかし、ベータだけは少し陰りのある表情を見せていた。
(カナタ、これでは一手足りない)
ベータはそっとカナタにだけ聞こえるように囁いた。
(うん?あぁ、大丈夫だ。この先は俺に任せてくれ)
カナタは唇に人差し指をあて、そっとベータに言った。
ベータはカナタのその姿を見て確信を深めた。
(やはり、カナタは自分の手で最後の決着を着けるつもり。ならば私達に出来る事はひとつだけ)
ベータはもはやカナタを止める事は無駄だと知っていた。
ならば、自分はカナタの願いを叶えるために最善を尽くそう。
自分もまた“成すべき事を成す”のみ。
そうして、ベータは自分の役割を果たす事を固く心に誓った。
「さて、アリシアが随分と頑張ってくれたようだ。だが、そろそろ限界が近い。ギルゴマがこちらの動きに気付くのは時間の問題だ。急いで戻るぞ」
カナタは全員に対して、確認するように言葉を告げた。
「おい、アリシアにはシュミレーションをさせなくても大丈夫なのか?」
ホレスは心配そうにカナタに聞いた。
「アリシアには、グループチャットで伝えれば大丈夫だろう。ああ見えて、アリシアの戦いにおける、カンの良さは一級品だ」
カナタはアリシアの心配は要らないと全員に保証した。
「そうね、あの子ならきっと、シュミレーションの結果だけを聞いて、対応してしまうんでしょうね。本当にあの子のカンの良さには呆れるしかないわ」
それを聞いてレーナは、呆れと称賛が入り混じった溜息を吐いた。
一瞬、パーティーメンバー達からは笑みがこぼれた。
…そして最後にカナタが全員に向かって檄を飛ばした。
「さあ、みんな。覚悟は良いか?ここからが本物の…クライマックスだ」
面白いと思われた方は評価を頂けると励みになります。
よろしくお願いします。




