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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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鳴り響く不協和音

何やら怪しい雲行きに…

「その事はさっき話し合っただろう?!今さら何故ほじくり返すんだ!」


ホレスは怒りの声を響かせた。


「そうですよ。私達はどうやら兄弟姉妹だったようではあるけれども、これまでと変わらずパーティーの仲間でいよう。そう結論を出したじゃないの。そして共にギルゴマを討ち果たすと誓ったじゃない」


レーナも少し冷静さを欠いた態度でアリシアに反論した。


「ホレス兄さん、レーナ姉さんも、二人は自分の父を…神を討つことに迷いはないの?」


アリシアは二人に訴えかけた。


「馬鹿馬鹿しい、俺は辺境の街イースで孤児として育った。今さら父や母の話など持ち出されても何の思いも抱かない。それに俺の信仰はこれまでの冒険で、とっくに枯れてしまった」


「そうね、私もエルフィンドワーフ族に孤児として拾われたわ。そして、私の信仰の対象はエルフィンドワーフ族の長老や族長であり、大賢者へ向けられるモノよ。私はエルフィンドワーフ族の為にこの命を捧げる覚悟を決めているわ」


「二人とも落ち着くんだ。アリシアは…中央のギルゴマ教が運営する孤児院出身だ。ある意味この中で最もギルゴマに近い存在なんだ」


カナタがアリシアを庇い、ホレスとレーナの二人を諫めた。


「…そうだったわね。アリシアは元々はギルゴマ教の熱心な信者だったわね…ごめんなさい」


「あ、あぁ、忘れかけていたが、そう言えばアリシアは元信者だったな。すまない。無神経ことを言ってしまったようだ」


ホレスもレーナも自分の非を認め、素直に謝った。



この世界では元々、単に「神」と言った場合はそれはギルゴマの事を指した。

あるいは、我らが主、世界の父などの表現もまたギルゴマの事を表す言葉である。


この宗教観を変えたのは先代の大賢者であるゴードンとそれに協力したエルフィンドワーフ族であり、現在ではその旗印をユーリィが受け継いでいる。


彼らが宗教の自由を掲げ挙げたのはそれほど昔の出来事ではない。


むしろ、この世界においてはホレスやレーナの宗教観の方が異端であった。


そして、いつの時代でも、どんな世界でも、宗教の問題と言うのは非常に繊細な事であり。

他人がみだりに触れてはならない禁忌であった。



「その…話してみても良いでしょうか?…父と…」


アリシアの問い掛けは、一体どちらの意味の父だったのであろうか?


「いや、駄目だ。申し訳ないが、今はアリシアの感傷に世界の命運を託して良い場合では無い。アリシア、お前は戦線を離れろ。これは命令だ。残りの五人でクロスファイヤー作戦を決行するぞ」


だが、カナタの決断は揺るがなかった。

他のパーティーメンバー達も仕方がないという反応を示した。


そして、アリシアもまた。

仕方がないと諦めた表情でこの提案を受け入れた。


これは、パーティー結成以来初めての不協和音だと言えた。


この物語の結末は再び揺れようとしていた。





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