カナとカナタの物語、その4~その後のカナタ~
カナが召喚された後に行われた、地球の管理者ルクレシアとカナタの会話です。
「貴方には、恐怖というモノはないのかしら?」
地球を見下ろすような空間でルクレシアはカナタに向かって尋ねた。
「恐怖というのは未知に対して起きるモノだ。死への恐怖。未来への恐怖。失うことへの恐怖。今の俺に何を恐れるモノがある?」
カナタは平然とした態度でルクレシアに答えた。
「貴方には今、人の身を越える力が宿っているはず、そして貴方はそれを自覚しているはずよ。それは未知の力ではなくて?」
ルクレシアは、真剣な顔つきでカナタへ問い掛けた。
「…これはあいつを救うための力だろう?それのどこが恐ろしいのか、逆に聞きたいくらいだね」
カナタは肩を竦めて、ルクレシアへ言い放った。
「全く、困ったモノね。その力は本来であれば、中田佳奈さんが受け継ぐべき力だったのよ。向こうの世界の人々の願いや希望。そういったモノが力となって、彼女へと宿るはずだった。それは、人の領分を越えた力。その力を使って、彼女は超越者となり。あちらの世界を救うはずたった。今回は特に強い力が流れて来たようね。その力が全て彼女に受け継がれていれば、彼女は無事帰って来れたかもしれないと言うのに…」
ルクレシアがため息と共にカナタへ非難ともとれるような言葉を告げた。
「俺があいつの力を奪ったから、あいつは帰って来れなくなったのか?」
ここで初めてカナタは動揺を示した。
「それは正直言って、私にも分かりません。ただ、今の貴方からは通常召喚された人間よりも、強い力を感じます。貴方も自分に異常なまでの力が宿っていると気が付いているのでしょう?」
「…その気になれば、簡単に国のひとつや二つなら吹き飛ばせるだろうな。いや、使い方ひとつでこの世界そのものすら壊すことは可能だろう」
「それは人の身に余る力よ。そして、貴方は、その力を使い、やがて向こうの世界に行く方法を探し当てるわ。あぁ、ごめんなさい。貴方の未来を少し見させて貰ったの。貴方はもう答えに辿り着いているのね。今はその方法を探している最中と言った所かしら?」
ルクレシアは呆れたようにカナタへ言った。
「なるほど、どうやら俺の考えは間違って無かったようだな。俺に宿っているこの力を使い、次元の壁を越える事は可能なようだ」
カナタはニヤリと不敵な笑いを浮かべて言った。
「えぇ、私は本来、時を司る管理者なのよ。管理者の中でも時間に関することを得意としているの。そして、少し先の未来であれば、確実に起きる未来を視ることが出来ます。貴方はそう遠くない将来に、向こうの世界へと渡ることが出来るわ。でも、それでは間に合わない」
「…そう、か」
ここで初めてカナタは肩を落とした。
「だからこちらからの提案よ。貴方のその力を封印させてもらう変わりに、私の力で貴方を過去の異世界へと送還するわ。そして、未来で起きる彼女の危機を救ってもらえるかしら?」
そう言ってルクレシアは、微笑みながら、カナタへ悪魔の提案を行った。
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