立ち込める魔瘴気
次回あたりにプロローグ的な話を最初に挿入しようと思ってます。
物語には影響のない世界観や歴史を説明する文章にするつもりです。
「これで私の懺悔は終わりよ。これが私とカナタに起きていた真実の話。…軽蔑したかしら?」
カナは自嘲気味に二人へ問い掛けた。
アルファとベータは一瞬顔を見合わせ、二人同時に首を横に振った。
「結果として最悪のタイミングでカナタは貴女を失った。でも貴女に過失はないわ」
アルファの返答にベータも頷いていた。
「そう言ってもらえると、少しは気が楽になったわ。ありがとう」
カナは苦い笑い顔を浮かべながら言った。
「で、その召喚陣に包まれた時に同じ場所にいたのが魔王の正体って事かしら?」
アルファが先程の質問を再び問い掛けた。
「えぇ、間違いないわ。と言っても確信できたのは本当についさっきなの」
カナは少し申し訳なさそうに答えた。
「ギルゴマの言葉で確信した。と言ってたわね」
アルファが頷きながらカナに話を促した。
「えぇ、私が召喚陣に包まれていた時、同じ場所にいた存在はただ一人。それが魔王の正体。そして、それは…」
カナが魔王の正体について話そうとした瞬間、突然、辺りに黒い煙の様な物が満ち始めた。
「!!これは、二人とも離れて!」
カナの声にアルファとベータは即座に反応して後ろへ飛びのいた。
そしてカナの方を見ると、周りには黒い瘴気が立ち込めている。
おそらく常人であれば触れただけでも正気ではいられない程の魔瘴気だ。
その魔瘴気が二人とカナの間に壁のように立ちはだかっていた。
「…どうやら、私だけを招待したいようね」
カナは肩を竦めながら二人に言った。
魔王はこの先に居るはずであった。
しかし、アルファとベータは魔瘴気の壁に阻まれて先へ進めそうにもない。
「貴女は平気なの?」
アルファはカナの体を心配した。
「えぇ、どうやら私には影響がないみたいね」
カナは全く問題なさそうであった。
「貴女達はカナタの元へ向かって。ここから先は私の役割よ」
そう言ってカナは魔法を唱え、アルファとベータの足元に召喚陣を出した。
「そんな一人で魔王の元へ向かうなんて危険よ!」
アルファは一歩前に踏み出そうとした。
しかし、ベータがアルファの裾を掴み、首を横に振った。
カナはその様子を見ながら微笑んでいた。
「大丈夫よ。この子はただ怯えているだけ。そして私に助けを求めている」
カナは二人に向かって言った。
しかし、それでも納得できずにいるアルファに対して、ベータはさらに強く裾を引っ張った。
「彼女なら大丈夫」
ベータが不安そうにしているアルファに向かって、ハッキリと断言した。
「ベータ、あとでちゃんと説明してもらうわよ」
アルファはとうとう諦めて肩を落とした。
ベータはそんなアルファの横を通り過ぎて、瘴気の満ちた壁ギリギリの所まで近付いた。
「ごめんなさい。私は貴女の事を信じていなかった」
ベータがペコリと頭を下げた。
「私は予知能力をはは様から借り受けた。その力を使って、何度も貴女の未来を予知しようと試みた。でも、いつも上手くいかなかった。だからきっと貴女には魔王を倒せない。ずっと、そう思っていた」
ベータは濃い瘴気の中にいるカナにずっと頭を下げていた。
「今なら分かる。これは私のミス。大前提が違った。貴女には初めから魔王を倒す気などなかった。貴女は初めから…魔王を救うつもりだった」
ベータの言葉にアルファは驚きの表情を見せた。
そして、ベータの言葉に微笑むカナの姿を見て、それが真実だと理解した。
やがて、ベータは顔を上げた。
「どうか、魔王を救ってあげて。貴女なら出来る。勇者カナ」
そう言ってベータはカナにニコリと微笑んだ。
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