神のみぞ知る世界
戦闘シーンを書くのが苦手だと最近知りました。
苦戦してます。
長くなったので一回切ります。
今後も少しずつ投稿していく形になりますが、最後までお付き合い頂けると幸いです。
カナタはギルゴマの言葉を聞いても不敵な笑いを崩さなかった。
ギルゴマはそんなカナタの様子を不思議そう眺めていた。
「君は本当におかしな人間だね。勝てないと分かっていても、なお不敵に笑える。本当に興味深い人間だ」
そう言いながらギルゴマは再びカナタに剣を振るった。
カナタはそれを剣で防ぎ、つばぜり合いの恰好になった。
「勝てない事が、全て負けとは限らないさ」
「ほう?君は本当に面白い事を言う人間だ。勝ち負けの他にこの戦いの決着があるのかね?」
「それは価値観の相違ってやつだな!」
そう言ってカナタは魔法を放った。
「無駄だと言っているだろう!」
ギルゴマは魔法を躱さずにそのまま受け止めた。
そしてやはり傷ひとつ負う事は無かった。
しかしここでギルゴマは魔法の爆発によりカナタの姿を一瞬見失う事になる。
ギルゴマがカナタの姿を探す一瞬の隙を付いてカナタはギルゴマの背後を取り、手に持った剣を切りつけた。
そして、ギルゴマはこの戦いで初めて傷を付けらる事となる。
「な?!馬鹿な!なぜ人間ごときが私に傷を付けられるのだ!」
「何度も言っているだろう?お前は人間を舐め過ぎている!」
カナタは驚くギルゴマに対して再び剣を切りつける。
その剣は良く見るとまるで脱皮するようにポロポロと表面が剥がれ落ちていた。
そして、その中から黄金色に輝く淡い光が溢れ出していた。
「な?!まさかそれは、ルクレシアの剣か?妹がお前に、自分の半身とも言える剣を貸し与えていたというのか?!」
「おっと、驚く点が違うぞ。お前が驚くべきなのは、この剣に偽装を施したゴードンに対してだ。見事に偽装されていただろう?」
神殺しの剣、ゴッドスレイヤー、神剣ルクレシア。
地球の管理者であるルクレシアがカナタに貸し与えたのは、自分の名を冠した、ルクレシア本人すら傷付ける事が可能な剣であった。
自分を害せる物を人間に貸し与える事など、管理者の常識的に考えてもあり得ない事であり、ギルゴマを驚愕させる出来事だった。
さらにこの事にいち早く気付いたゴードンの手によってこの剣は普通の剣に偽装されていた。
「クックック、なるほどね、それが君の自信の正体か。だが残念な事だが、その剣で私に傷を付ける事は可能でも、君には私を殺す事は不可能なのだよ!」
そう言ってギルゴマは傷付いた箇所に手を触れた。
すると傷は見る見る内に塞がっていった。
「確かに驚いたが、それは私に傷ひとつ負わせる事の出来ないはずの存在が、蟻のひと噛み程度の脅威になっただけの話だ」
「フッ、知ってるか?俺達の世界には蟻の一穴という言葉がある。強大なモノすら、最初の綻びは小さなモノから始まるってことさ!」
カナタはそう言って続けざまに剣を振り下ろした。
今度はギルゴマがその剣を防ぎ、再びつばぜり合いとなる。
「君は本当に不思議な人間だ。不思議な事と言えば、君はなぜ魔王に対して一切触れないのかも私は疑問だったのだがね?魔王召喚の前まではそれを防ごうとしていたようだが、召喚がなされた後は一切の関わりを見せていない。一体なぜだね?」
「はっ、魔王を倒すのは勇者だろう。それを無視するのはロールプレイングのタブーってもんだ」
「それは一体何の話だね?」
「要するに役割違いって事さ!」
そう言って両者は再びつばぜり合いから距離を取った。
ここまでの戦いは互角に見えた。
しかし、カナタの攻撃は決定打に欠ける事もまた事実であった。
一方、ギルゴマは一撃当てれば良いだけである。
どちらが有利かは言うまでもなく理解できた。
しかしまだ、勝負の行方は分からない。
この後に起きる世界の行く末。
それこそがまさに、神のみぞ知る世界なのかもしれなかった。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
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