神のいない世界、その1~管理者ギルゴマ~
まさかのギルゴマ視点ですね。
ここまで読んで下さった方ならお気付きだと思いますが、この物語はわざと色々な人の視点から主人公の物語を見る展開にしています。
私は常々思っていたのだよ。
人間とはなんと不完全な生き物なのか、とね。
だから完璧な人類を創ろうと考えた。
私はまず手始めに人類全ての遺伝子情報を一人の人間に集約させる事にした。
その為には膨大な時間と人類の交配が必要だった。
当時の人類には、まだ他種族を同族だと思う考えはなくてね。
そこで私は、ニ人の敬虔な信者に私の望みを伝えたのだよ。
一人はエルフ族の女性であり。
もう一人はドワーフ族の男性だった。
その最初のニ人がエルフィンドワーフ族の始祖となった。
血を混ぜる事でより尊い人類を創る。
その結果として人類間の交流も増え、種族間の無駄な争いも減る。
これを一族の是とする事でエルフィンドワーフ族には積極的に異種族間交流と婚姻を薦めさせた。
それがエルフィンドワーフ族に私が与えた使命だ。
勘違いしないで貰いたいのは、私は最初の二人からずっと、一度も無理矢理婚姻を推し薦めた事などない。
彼らの望んだ事を後押ししただけなのだよ。
まあ利害が一致した私にとって、都合の良い存在だった事は認めるがね。
そして私は長い年月を待ったが、私の求める完璧な遺伝子を持つ人類は誕生しなかった。
そこでは私は気付いたのだよ。
完璧な人類に必要な遺伝子を持つ、もう一つの世界の人類。
そう君達の世界の遺伝子情報が足りていないとね。
当時は都合が良い事に、この世界には魔物が溢れ。
強い魔物達が跋扈した時代だった。
魔王と呼んでも差し支えの無い程に強力な魔物も現れた。
だから私はエルフィンドワーフ族に異世界召喚の儀式を伝授した。
これはね、正直に言うならば、単に優秀な遺伝子を持つ者を選択して、召喚するシステムに過ぎないのだよ。
勇者召喚の儀式などは人類が勝手に付けた名称でね。
だが結果は上々だったよ。
私の望む遺伝子がこの世界に混ざり始めた。
そうやって、何度かの異世界人との婚姻も繰り返された末に、本当に長い年月を経て、ようやく全ての遺伝子情報を持つ者が現れた。
それがカミル・エルフィンドワーフだ。
だが私は一つ思い違いをしていた。
カミルは完璧な遺伝子情報を持つ人間だった。
それは間違いないのだ。
ところが彼女は私の考えていた完璧な人類には程遠い存在だったのだよ。
つまりは普通の人間に過ぎなかったという事だ。
そして私は気付いてしまったのだよ。
まだ混じっていない血がある事にね。
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