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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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最後の言葉

もしかして予想がついてましたかね?

でも良いのだ!

最も書きたかったシーンのひとつです。

やっとここまで辿り着いた!


カナの視界は徐々に明るくなっていった。


そうして、やがて自分が元の位置と寸分違わない場所に立っている事に気が付いた。


どうやらアルファ達が言っていた通り現実の世界では全く時間が過ぎていないようであった。


カナは体を動かそうとしたがピクリとも動かない。

意識は現実世界へと戻ったが、まだ時間は動き始めて無いようだ。


カナは改めて静止した時間の中でカナタの姿を見た。


よくよく見ると、カナタの体にはあちらこちらに古傷がある。

中には、どうやったらこれで無事だったのか、と思えるような。

そんな大きな傷痕まで確認出来た。

そして、その顔つきはカナの知っている頃より精悍になっており、何よりも年齢を重ねている事に気付く。


カナはカナタの十年間。いや、百年以上の月日を思い、泣きそうになった。

しかし、ぐっと感情を抑えて涙を堪えた。



カナタが命懸けで伝えようとしている言葉を、一言一句逃さず最後まで聞き届ける。

それが今のあたしに出来る精一杯の事よ。

泣いている場合じゃないわ。



そう覚悟を決めたカナの思いに応えるかのように、やがて時は再び動き出した。




そして、静止していたカナタが、ゆっくりと口を開く。



「…この言葉を伝える為だけに…俺のエゴの為に、多くの命を犠牲にしてしまった」



カナタがそう言った瞬間、カナの中に様々な感情が流れ込んできた。



これは…カナタの感情が逆流してきているの?



そこにあるのは彼の思いを、そして言葉を凝縮した心の内そのものだった。


懺悔、後悔、自己嫌悪。


しかしそれでもなお己の意思を貫こうとする覚悟。


そしてある種の狂気。



「俺の手は血まみれだ。とても勇者と共にあるべき手ではない。だがそれも、そろそろ贖罪の時が来た」



カナはそのカナタの言葉に諦観とも安堵とも取れるような複雑な思いを感じた。



「なあ、カナ?ずっと一緒にいたから、今まで一度も言った事なかっただろ?」



カナは理解した。

カナタは自分が思っている以上に罪悪感を抱いているのだと。


この優しく不器用な幼馴染は己の行いを…罪を償おうと考えているのだ。



「本当に、このたった五文字を伝える為だけに、あまりにも多くの犠牲を出し過ぎた。それでもなお、言わずにはいられない俺は…やはり狂っているのだろう。だが…最後に聞いてくれ」



カナはすぐにでもカナタを抱きしめたかった。

そして、言いたかった。

貴方は悪くない。

何も恥じる事はない、と。

だがそれは無情にも叶わぬ事だった。




そして、カナタが、最後の言葉を言った。





「愛してる」




その瞬間に魔法陣は完成し、カナの目の前からカナタの姿は消えた。


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