残された時間の中で、その1
この作品にしては長い回になったので一回切りました。
中途半端で申し訳ないです。
カナは突然、足元に現れた魔法陣に驚き、一瞬反応が遅れた。
そしてカナタが立て続けに結界を張るのを見て、初めて何が起きているのかに気が付いた。
え、何故?
カナが咄嗟に思ったのはこの一言だった。
目の前に現れた結界にカナは力いっぱい両手を叩きつけた。
「ちょっと!どういう事!?何を考えているのよ、カナタ!」
ドンッドンッ、と音を立てて何度も両手を叩きつけたが、結界は小緩ぎもしなかった。
「これは“俺の運命”なんだ。お前が付きあう必要はない」
「馬鹿なこと言わないで!いつも二人でやって来たでしょう?!」
「カナ、これは俺の戦いだ。"こいつ"は俺の敵だ。誰であろうと邪魔はさせない。例えお前でもな」
カナタは親指で後ろを差しながらカナに向かって言った。
「あんたの敵はあたし達の敵でしょう?!お願い、この結界を解いて!」
「思い出すんだ、カナ。お前の敵はまた別にいるだろう?」
「そんな事はどうだって良い!そんなものはあたし達二人で倒せば良いだけじゃない!」
「違う、そうじゃない。そうじゃないんだカナ。聞いてくれ、これは俺の運命なんだ。こうなる事は初めから分かっていたんだ」
カナタはまるで聞き分けの悪い子供に言い聞かせるように言った。
「何よそれ!?それじゃまるであんたが…」
カナはその続きを言う事が出来なかった。
それを言ってしまうと、本当にそうなるような気がして怖くて言えなかった。
一瞬の沈黙が二人の間に流れる。
カナはなんとなく、今からカナタが命を懸けて何かをしようとしているのだと分かった。
カナタのこの表情は知っている。
この顔をした時、カナタは絶対に折れない。
絶対に自分の考えを変えない。
これは…カナタが覚悟を決めた時の顔だ。
嫌な予感がカナの心に走る。
駄目、聞きたくない!
カナは耳をふさぎたくなった。
「カナ、転移魔法陣が完成するまで余り時間がない。頼むから聞いてくれ。俺はお前に、この言葉を伝える為だけに、時間を超え、次元を超えてまで、旅をしてきた。その間、たくさんの言葉を聞いてきた。だが…やっぱりこの言葉以外には他に思い浮かばなかった…」
カナが足元を見ると魔法陣がゆっくりと完成しつつあった。
残された時間は何十秒、いや、何秒といったところだろうか?
二人が離れていた時間に比べると、残された時間は…あと僅かだった…。
良かったら下のボタンから評価を頂けると励みになります。
よろしくお願いします。




